むしょくとうめいのらくがき

鉄道と酒と野球ではしゃぐ4歳魚と26歳児の気ままな放浪記とか落書き 

魚、ここに棲める?

 増えた業務から季節の移ろいを実感するとは、何とも悲しいものだ。

 

 いつからか「夏=忙しい」というイメージが自分の中では定着し、そこには湧き上がる入道雲も青々と燃える草木も眺めている余裕はなくなった。

 その割には、ある日は酷暑に悪態をつきながら更に不快指数の高いはずの文藝部室へ出かけ、ある日は最高気温に達する時間帯にバットとグローブを抱えて友人を付き合わせ、ある日は大月駅のホーム上自販機で「濃い目のカルピス」を買って、さて今日は上るか下るかと思案して、211系のボックス席で頬杖をついてはいつにも増して輝きのある水面を見下ろしてみたりするーそんな学生がいたような気がする。

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中央東線 211系普通列車 -JR大月駅にて いつ撮ったんだっけ......

 進路はともかくとしても、八月の間にもう千字くらいは書いてもいいものだが、本当によくその年度限りで卒業できたものだ。

 

 

 少なくとも「余裕がなくなった」のは完全に嘘である。少しでも肌が焼かれ服の裏が蒸されるのを感じ始めたときの、遠くの山や土手の遊歩道に並ぶ木を、毎年のように待ち詫びている。お察しくださいな去年でも例外ではなかった。今年とて隙を見つけては五頭連峰を仰ぎ見、能代川の堤防で湿った草の香りを嗅いでいる。車を持ってからの定番コースとなった県道41号の山道も、季節の装いとなった。

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石油の里の付近にある「白玉の滝」 -2021.6.6だったはず

 こんな気候だからであろうか、母は最近ダム巡りがブームらしい。 平日休日問わず、隙あらば車を走らせて、細い道を抜けてまでダムを見に行く。時には野生の猿が道を塞いでいたとか、車がすれ違えなくて困ったとか、遊歩道散策のつもりが軽い登山をさせられた……とか。猿の大群がこちらを見たまま道を譲らないので、通り過ぎるまでおとなしく停車してあげたのだ、と語る表情はしかしうれしそうである。ダムではなく猿に会いに行っているのだろうか。

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茨城県にある「袋田の滝」 -2019.8月某日

 なるほど、ダムや滝の飛沫や、森林の静寂というのはこの時期では「マイナスイオン」と称されて丁度いい安らぎになる。冬の夜にはまずやれない。豪雪や豪雨、それによる倒木で物理的に道がふさがれたりする場合はあるし、手ぶらでも視界が確保できる程度の街灯は大抵無い。

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鹿瀬のあたりで見つけた発電所?のダム -2019.9月某日 

 発電所のダムでもそれは例外ではなく、辿り着くまでに黄色い看板がこれでもかと注意を促してくるような土地に造られる。ゆえに行くなら雨も雪もなく、且つ水飛沫が心地よい天候・気温の時に限られる。

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山梨・都留市にある「太郎・次郎滝」 -2019.8月某日

 だからというわけではなかろうが、あらゆる条件をクリアして滝にたどり着くと感動はする。飲み水と同じで、実は空気も「美味しい」。舌触りや喉越しを尋ねられても説明はできない。むしろこれがおつまみなら、瓶ラムネや天然水がちょうどいいんじゃないだろうか。

 

 やはり「余裕がない」は嘘である。こういう風景を楽しむ余裕は、仮にないとしても無理矢理作ってしまえばいい。

 

 実際のところ、現パート先でも例外なくこの時期業務は増えて、(昨年の自分と同じように)短期のアルバイトの方が入ってきて、まあ賑やかになってたのしい。しかし一年前のことを思うたび、常勤ではあるが正社員でもない微妙すぎる立ち位置もあって「どうしてこうなったのだ」と首を傾げずにはいられない。いやまあ、仕事と名がついている時点ですでに疑いだらけなので、今更気にするのも変かもしれないのだが……。

 それでも自分の扱い云々や、業務量を差し置いても、勤務していて「余裕がない」と嘘をつかずにはいられない。和気藹々として、作業や客待ちをしながらの雑談が絶えなかった去年とは、打って変わっている。いくら仲が良くても勤務中な以上、作業も何もせずに寛いで、お喋りしてばかりいるのはまあ「あるべき姿」ではないことは違いない。

 常勤になって残れたのも、毎日雑談や励ましあい(?)をするなど仲の良かった職員がやめてしまい、欠員が出たからであった。残った職員によって澱みは一掃され、別に仲が悪いわけではないにせよかなり締まった職場になった気はする。

 あるべき姿なのはわかっている。ただ僕にとって、仲の良かった職員が幅を利かせていた時というのはまさに「濁る田沼の水」だったのだ。清らかな流れの中で、指示したほうがいいのかされたほうがいいのか分からないような立場になり、それとは関係なくポカをやって怒られた。

 どうやら長居しすぎてしまったようである。しかし今年入ってきてくれたアルバイトの方はこれまた良い人たちそうなので、その点はやりやすい。悉く知り合いの関係者なのが恐ろしいのだが。

 

 

 ところで過去画像を貼り付けようとしてフォルダを漁ったが、データ移行にしくじって2019~20年の数か月間がごっそり消滅してしまった。もっとも大事なデータがあるわけではないのでいいのだが、データの引っ越しと旧PCの初期化に手を焼いて3連休の初日が潰れたのは「虚無」としか言いようがない。しかしいろいろ作業をやっている間に『SSSS.GRIDMAN』を流し見し、休憩中に『SSSS.DYNAZENON』最新話を見たので、やはり充実していたかもしれない。

 

dynazenon.net

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アツい。