鱒のおにぎりと青い切符をお供に電車に乗るのは、とても気分がいい。
駅弁の鱒寿司を初めて食べたのはいつだったか、いやそもそも食べたことなんぞなかったか……は忘れたが、あれがおむすびの形になってNEWDAYSの冷蔵棚に置かれ、160円くらいで販売されていた時はうれしくて迷わず買った。いちおうは鱒の「寿司」なだけあって白米は酢飯、それを色鮮やかなオレンジ(?)が覆う。パッケージは緑のあの、なんだっけあの、葉っぱみたいなやつ()をイメージしているという徹底ぶりだ。
何せあの「鱒寿司」なのだから美味しくないわけがなく、列車に身をまかせて窓の向こうをぼんやり眺めながら食べるのもよし、通過する列車と人々の時間をホームで眺めながら食べるもよし、朝昼晩にもおやつにもなる。手っ取り早く旅気分を味わうにはちょうどよかろう。
昨日はドライブだったことだし、今日は久々に電車に乗ろう!ということで、出発前にまたおにぎりの棚を見て目当てを探す。と、すぐに見つかった。……いや。
「他のおにぎり無いのに、鱒寿司だけ5個くらい残ってるな?」
おかしいな、不人気なのだろうか。
1.新津(13:29発)→長岡
ともあれ出発しよう。たぶんさっきのは見間違いか、そうでなくても人気に合わせて沢山仕入れたら予想が外れて余ってしまった、なんてことはよくある話だと思う。
だが事情がどうあれ、この日は11時くらいまで寝ていて朝兼昼飯を家で食べてきたばかりだった。おかげで大して空腹でもないから、さっさと改札をくぐる。すまん鱒寿司。
といってもろくに時間も調べなかったので、40分くらい待ち惚けすることになった。幸いにして同ホームには、一本前にしらゆきが来ることになっていたので気にはならない。そうでなくても新津駅のホームはぼーっとするにはこの上なく、時折、石を焼きこがすような香りを感じながら、留置線を右往左往するGVやキハを見ているのが楽しい。
貨物を引いてきた機関車もそうだが、時々見慣れない、当然ダイヤにも載っていない顔を見れるのもうれしい。
相棒の魚にとって、初めてホームから見る列車がEast-i・dというのは思い出になったかもしれない。よかったねえ魚、電車かっこいいね。
悲しいことに今日の編成には、まやを含めなかった。長距離移動時ならどこかしらで役には立つのだが、育成したかったのがクールタイプのすばるだったから、今回は外れてもらった。お留守番は寂しかろうに、申し訳ない。まやかわいいよまや(←おまわりさんこいつです)。
器用にも気動車モードに切り替わり、会津方面へ旅立っていくキヤE193を見送ると、同ホームには定刻通りの特急が滑り込む。
ああ、かっこいい……(恍惚)
推しの前には誰しも無力である。推しは世界を救う。真理。
この8分後、乗車予定のE129が同ホームにやってきた。一両目の誰もいないロングシートに腰かけ、窓枠に魚をちょこんと座らせてやる。ほかの後続三両もおそらく同じように、大半は空気を運んでいたのではなかろうか?という具合だが、ともあれまずは長岡へ向かう。もはや旅の目的が「電車に乗る」以外に何一つないので、実際はどこで降りてもいいのだが。
新津から南側へ進む列車に乗るときは、一気に非日常感が増す。まあ用事で何かするのなら反対側五駅先の新潟で済むから、滅多なことで長岡・柏崎へは行かないから仕方のないことではある。しかし文字通りの夏休み、田上~加茂らへんの風景がまさにそれっぽい(なにいってだこいつ)。
2.長岡(14:42発)→直江津
長岡で暇つぶししようかと思ったが、40分~1時間くらいの微妙すぎる接続時間だと何をしようか迷ってしまう。結局改札からも出ず、さっさとホームに降りて直江津行きを待った。
新津から乗ってきた四両は、終点でも結局70パーセント空気を降ろした。むしろ通勤・通学以外ならアレなのだろうか(どれだよ)?そんなだったから、立ち客もいないが座席はそこそこ埋まる程度の混み方をした二両のワンマンカーに乗ると、まあ目論見ってうまくいかないよね~、っていう、よくわからないことを思う。
ちなみにわかっていたことだが、今回も柏崎から先では分厚く黒い雲が海を覆っていた。そういう海がむしろ大好きなので仕方ない。意外なことに青海川でカメラを構える客はいなかった。カバンで眠っていた魚を引っ張り出して「海だよ~、よかったねえ~」って言いながらキャッキャしていたのは、どうやら僕だけだったようだ。
直江津駅にもNEWDAYSが設けられていた。いい加減お腹がすいたので、中途半端な時間ではあるが気にせず食料を調達である。やはり目につくのはおにぎりやサンドイッチの冷蔵棚……
「また鱒のおにぎりだけ5個くらいあるぞ?」
おかしいな。いやきっとこうに違いない、午前中に飛ぶように売れてしまったので、仕入れたばかりなのである。仕入れる間にはやむを得ないから、客は他の味を選んだ。まだたまたま仕入れたばかりで、多くあるだけなのだ……。
正直なところを言おう。確かに鱒のおにぎりは好きだが、例えば行楽以外の普段のおやつとか朝飯・昼飯というシーンでは、海苔がぱりぱりしている三角のやつを選ぶかもしれない。あまり長時間の持ち歩き・保存に適するとは言い難い彼らをあえて選ぶことはしない……という気持ちも、よく理解できる。
3.直江津(16:48発)→えちご押上ひすい海岸
ともあれお目当ての品は在庫豊富なのだから、無事GETだぜ!して更に先へ行こう。ここから先はICカードが使えない他社区間だが、逆に直江津まで使えるだけでも十分素晴らしいと思う。問題は切符の買いなおしの必要があるにもかかわらず、乗り換え時間が無駄に利便性を図っている点である。そこはどうか猶予を……考える時間を……。
幸いなことに次の泊行きが30分後くらいに来たのでそれに乗る。ET122形、今度は一両のみである。まるで計算されたかのように、座席は埋まるが立ち客もいない、という乗車具合。混雑というほどでもないので良いのかもしれない。混みさえしなければ、進行方向を向けるクロスシートは神である。
モグラ駅・筒石や難所・親不知、ほぼ遺跡と化した交直デッドセクションを、変態すぎる(←褒め言葉)加速力でET122が通過していく。事実上はじめての電車旅でいろいろな姿が見れて魚もうれしかっただろうが、やはりその彼に「よかったね~、すごいね~」と話しかける24歳児が一番はしゃいでいる。保護者はどっちだ。
ということで到着した。コンプ路線に1駅追加された程度、乗りに行けば済むのだ(←頭電車)。
まああとはいつもの流れだが、魚が海を見たいというので見せてあげた。直江津で買った軽食は結局車内で食べられなかったが、波の音を聞きながら優雅におやつである。……よく考えたら種類は違う(のか?)とはいえ、魚の横で鱒寿司を食べるとかいうずいぶん鬼畜なことをした。すまんな魚、だけどお前も中々美味しそうに食べてたよな……うん。
4.帰宅(えちご押上→直江津→長岡→新津 ※時刻省略)
結局40分くらいぼーっとして、さっさと引き返した。
長岡で夕食にしようかとも思ったが、意外と遅くなってしまい、駅ナカもほとんど閉店していたのでやめた。どうせなら新津まで酒でも飲みながら帰ろうか、となって、またNEWDAYSへ寄り、おなかもすいたのでまた冷蔵棚へ……。
「鱒のおにぎりが20個くらいあるだけ、他に何もない、だと……??(困惑)」
いいや、やはり偶然だろう。そうに違いない。目当ての品はあるから(以下略)。
30分くらいならホームに降りて待っていても退屈はしない。……そう思って待ってみたが、思いのほか当駅始発・終着の列車もいなかった。
ただ向かいのホームにShu*Kuraの回送が待機していて、せっかくなので記念撮影した。聞けば両親は5月に乗車したというではないか、ぐぬぬ……。今度これにも乗れたらいいね!と魚に話しかける。が、キハ40・48で呑み鉄できるなんぞ僕得でしかないじゃないか。やっぱりはしゃいでいるのはどっちかわからない。
ということで名残惜しい(?)が、帰りの電車が来たので乗ろう。また行こうね魚、と話しかけると、左手の中でビーズが揺れる、ご機嫌な音がした。
言うまでもないが、終日はしゃいでいたのは僕の方である。
あ^~しらゆきで呑むビールいっそう風味爽快なんじゃ~~~!!!!!(←なにいってだこいつn回目
……ということで「新津~えちご押上ひすい海岸」39駅です。赤新駅採取のついでにぜひ。
※以前の信越&ひすいライン記録はこちら↓