むしょくとうめいのらくがき

鉄道と酒と野球ではしゃぐ4歳魚と26歳児の気ままな放浪記とか落書き 

【鑑賞】笑顔と「激アツ」を信じ愛すもの(←いつもそれでありたい) ~ウルトラマントリガー エピソードZ~

鑑賞『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』&劇場版『ウルトラマントリガー エピソードZ』

 

※ネタバレ(をなるべくしないように書きますが一応)注意

 

 

 

 

0.劇場が遠い(切実)

 

 3月終盤の三連休、最終日は映画館へ。18日(金)より公開となったトリガーの劇場版を観るため、西区にあるイオンシネマまで車を走らせた。

 

 トリガーを上映しているのは新潟県内ではここだけである。……「県内で」ここだけって中々やばくね?って感じであるが、タイガ(ニュージェネクライマックス)の時もそうだった。あの時は最終日ギリギリに観に行ったものだが、公共交通で行くのは至難の業であった。

 何しろ最寄り駅までの電車は限られていて、最寄り駅の小針からは歩くと1時間弱*1で、最寄り駅の近くのバス停がどこかわからなくて、最寄り駅近くのバス停から会場へアクセスするバスは限られていて……ってな風に、幾つも関門を潜り抜けなくてはいけなかったのである。

 そしてタイガの上映は午前中であった。本当、無事に劇場に辿り着いて鑑賞できたことを褒めていただきたい。その点今回『トリガー』は、土日祝は13:45~のコマがあったので良心的だったといえる。

 そして今回は電車・バスの兼ね合いを気にしなくてよくなった。……うむ。これが公共交通推奨や環境保全が叫ばれたところで、地方民が車を手放すわけにはいかない実情である。

 

1.TV本編に対する劇場版として

 

 さて、トリガーである。

m-78.jp

 まず、劇場広告。Pixivで復習をしていたら「ミスリード」などと一蹴されてしまった。んなもん、騙されるなってほうが無理、ってもんである。

 結論から言うと、劇場版は非常に面白く、「激アツ」であった。良い意味で大いに期待を裏切られた、といえる。

 

トリガーの真・最終決戦&ゼット外伝としての「新・イーヴィル事件」

 イーヴィルトリガーが劇場版にて登場。そりゃあ、どっかで出てきてもらわねば!と思っていただけに今回の登場は嬉しく、何だかんだでとても楽しみだった。

 そのイーヴィル登場回と、ある意味では「ゼット劇場版」も兼ねたような立ち位置の作品を描くのは至難の業だったと想像できる。ここで、ゼットの登場怪獣であるゲネガーグを出したのは、もはや前作から伏線を張っていたのか?とすら思わせる。「ティガ」におけるゲオザーグとイーヴィル、という関係性でこそないと見ていいだろうが、それにしてもよくぞ引っ張ってきた、と感心した。

 

「ティガ」と異なる、”闇の巨人”たちとの戦いの後に起こる、”影”との争い。これを「トリガー」の世界=TV本編を損ねずに落とし込んだのも、見事だったといえる。

 ”光”と”闇”と、”影”。このへんの関係性も描写が巧みで、「どれか一つだけ」ではないんだな、ということのメッセージを我々に訴えている。”光”は一人では成り立たない。強すぎる光は、時に簡単に闇に落ち、また時に影となり、時には輝きを失ってしまうのだ。

 そのうえで、「ゼット」の世界におけるストーリーのメッセージも、このエピソードZに組み込まれている。

「ティガ」のいた世界=ネオフロンティアスペースでもイーヴィルティガ事件やF計画などの事件は、まさしく「ゼット」におけるウルトロイドゼロの一連の事件と通ずる。それが今回「トリガー」によるティガへのリスペクト=イーヴィルトリガーの登場に乗じる形で、トリガーだけでなくゼットの「続き」として描かれたのは、見事だったといえる。

 強大な力と歪んだ心。ウルトラマンの力を使ってなんとするのか。今作では、ウルトラマンに一時なれなくなったケンゴの葛藤も、合わせて描かれる。

 

「原点回帰」は何よりの名作 ~余計なことはしないこと~

 TVシリーズには、後述のように言いたいことは沢山ある。だが、あくまでも「TV本編」に対する「劇場版」としての立ち位置を貫いたのは、とても好きであった。

 また、戦いに関しても、余計なもの・ことをせず、あくまでもウルトラシリーズにおけるセオリーを貫き、原点回帰の直球勝負を挑むようなアクションには、大いに感服させられた*2。やはりウルトラマンを見ていて熱くなるのは、最強怪獣やニセウルトラマンに対する小細工なしの戦い、壊滅寸前に追い込まれながら希望を信じて戦う防衛チーム、そして終盤で満を持して流れる本編のOP曲をバックに力を振り絞るウルトラヒーロー。……これに尽きるのではないかと思う。

 登場ヒーローを3人に留めた点もよい。敵が巨大・多数であればその分ヒーローが多くてもよいが、揃い踏みしたはずのウルトラマンが少数の敵に圧倒される光景ははっきり言って「冷める」。やはり今回の場合、2対2ないし3対2で行われる戦闘だったことで、見た目的にもバランスが良かった。

 登場する味方ヒーロー及び、その形態や武器、必殺技においても、この劇場版『エピソードZ』は、トリガーTV本編の流れにあくまでも準拠したうえで、ゼット外伝といっても差支えはない作品となっているといえる。

 

 欲を言えば、必殺技のカットはもう少し「これぞトリガー/ゼット/トリガーダーク!」という魅せ方が欲しかった。左右上下のどちらから撃ってもかまわないし、敵との撃ち合いでなくてもよい*3が、ポーズを決めたときのウルトラマンが一人で大きく映り、且つ一定以上の射程が確保されているのは、要素としては重要だと考える。

 

2.TV本編を含めた「トリガー」への純粋な(?)コメント

 

どんどん進化し続けるウルトラシリーズの「破壊と戦闘のリアル」

 TV本編では確かに思うところ(&言いたいこと)は沢山あったけれど、観るものを引き込む「戦闘シーンの迫力」、且つ共闘する仲間の「絆(一体感)」、また身長40m~50m級の巨人・巨大生物が大暴れすることの「リアルさ(被害・それによる責任)」という点では、過不足なく、一定のレベルを満たしていたといえるのではないだろうか。

 特に「迫力」という点に関して言うと、ジード、ゼットなどにもいえるが高度な撮影技術で、破壊や衝撃のリアルをより実現している。TV版のトリガーは、ティガ~コスモスの平成ウルトラマンではしばしば見られながら、近年は姿を消した「人形爆破」を久しぶりに用いたことでも話題となった(と記憶している)。

 ただやはり、言いたいことがあるのも事実である。

 

「玩具を売る」がストーリーを支配している

 まず商業として「トリガー」は非常に上手い。キャッチコピーとフォルムでティガ世代を引きつけ、子ども向けの玩具を買わせる。ティガに比べるとアイテムも形態もその充実度合いが違うけれど、子どもが欲しいと言えば……まあ、プレゼントには困るまい。

 この「商業のうまさ」はトリガーに限らず「ニュージェネレーション」を通して言えることではある。ただ、その一方では玩具の普及(売上)があまりに先走ると、ストーリーが迷子になるだけでなく、折角発売した玩具=アイテムが本編中で1話しか活躍しない、なんてこともある。

 

 アイテムというより、ウルトラマン自体の強化形態にも同じことがいえるだろう。例えば特定の1回でフュージョンライズして無双、次の回であえなくボコボコ、というのは、もはや「お決まり」と化していないか?それも、かつて「年単位」で組まれていたウルトラシリーズとは違い、2クール(=24話程度)が限度のニュージェネレーションヒーローズである。

 トリガーで言えば、マルチ・パワー・スカイと既に3つのタイプチェンジができるなかで、果たして強化形態を追加で、ましてや中間形態として盛り込むのは正解だったのか。特に「ティガ」にも馴染み深い世代である1人の「大きなおともだち」の視点からは、大きな×の印を掲げたい気持ちではある。

 

リメイクやリスペクトよりも重要な「子どもの笑顔」と「激アツ」

 ニュージェネレーションウルトラマンにおいては、「○○の息子」というコンセプトのヒーローが何体か登場した。ベリアルの遺伝子を持つウルトラマンジード」は名作だと思った。ところがタロウの息子「タイガ」は、うーん……*4。そもそも「ゼロ」に至っては”セブンの息子”という触れ込みのはずが、完全なる独り歩きをはじめたといっても過言ではないだろう。……そして今回の”ニュージェネレーション・ティガ”こと、「トリガー」である。

 だが、かつてのヒーローに対してのリメイクやリスペクトよりも、ウルトラマンの使命はまず「当該世代」である子どもたちを喜ばせ、熱くさせることにあることを忘れてはならない。

 

 今回の「トリガー」の話でいえば、先代は25周年を迎えた「ティガ」である。しかし「NEW GENERATION TIGA」というサブタイトルは、我々の思考を働かせすぎたのではないか?ティガとの関連性は?超古代の巨人?遺跡?ユザレー?

 何しろ「ティガ」が難しい設定であったため、余計にこの作品は作るのも、それを読み解くのも困難な作品だったといえる。それをすべて「御想像におまかせします」で片づけられてはたまったものではない。

 

 だがまず、トリガーに限らず「ウルトラマン」の使命はそこではない。いかに子どもを引き込み、熱くさせ、笑顔にするか―。ヒーローとして、仲間と成長し、苦戦を強いられてきた悪役を最後にはBGMをバックに、”磨いてきた戦い方で””メインの必殺技で”ぶっ倒す。それが見たいのである。

 

 確かに、「先代」との繋がりを一切放棄して「俺は□□だ!○○(父親)ではない!」と開き直り、全く方向性の読めない作品を完成させることを多とするものではない。

「俺は俺だ!父親とは違うんだ」というメッセージ性は確かに重要なことだが、であるなら「○○の息子」というコンセプトはもはや「○○(先代)を見ていた大人(親世代)」の注意を引く為の広告に過ぎなくなる。それが過去ウルトラシリーズに対する「リメイク」でも「リスペクト」でもないのなら、何だったのだろうか。

 

 それでも、”ニュージェネレーション・ティガ”という重すぎる看板を一旦忘れるのであれば、ウルトラマントリガーは我々を熱くさせるヒーローであり、また作品としても筋の通った素晴らしいものだったということは、じゅうぶんに出来ると思うのだ。

 我々もあの頃「ティガ」に声援を送ったような、純粋な少年の心で楽しもうではないか!スマイルスマイル!―というのは、ファンを名乗るには愚かな提案だろうか。

 

 ならば、と余計に「”あの頃少年だったあなた”世代への広告目的で」先代ヒーローの名前を出すのかと、突っ込まずにはいられないのだが……。

 

3.「トリガー」全体への感想まとめ(上記に上げたものも含む)

  • スタートが火星だったのは次作への伏線と捉えていいのだろうか?
  • 喋らない*5ウルトラマン、おかえり。待っていました。
  • 結局ディアボロ×リブットの回は宣伝以外に何をしたかったのだろう?
  • スカイタイプめちゃくちゃかっこいい!
  • サタンデロス戦は神
  • ウルトラヘッドクラッシャーどこいった??
  • パワータイプもう少し真面目に戦って(ヒロインが閉じ込められてんのになにわろてんねん)
  • タイプチェンジが武器のウルトラマンのはずが、後半戦……
  • 個性豊かな隊員たち(なお、その過去は誰も触れない模様)
  • ユナ、アキト、ケンゴに重点が偏りすぎなのでは?
  • っていうかユナをいじめすぎでは?
  • 「Trigger」(OP)神
  • BGM神
  • 「なないろのたね」(前期ED)神
  • ゼット回2話はただの「帰ってきたよ」ではなかった
  • ↑そしてしっかりやらかしてくれるの神(草)
  • 戦闘シーンの迫力は激熱
  • 結局ティガとの関連性は不明なまま……
  • だけども難しいストーリーを劇場版含めて一定の地点へ着地させたとはいえる
  • 劇場版は激アツ

 

 

 

 デッカー楽しみにしてます(←テノヒラクルー)

 

 

 

 

*1:Googleの経路では徒歩だと「40分」と出る。イオンシネマ新潟西から小針駅 - Google 検索

*2:ただしパワータイプのくだりを除く。

*3:ただし、特に偽ウルトラマンやラスボスとの撃ち合いが胸熱なのは事実。

*4:ストーリーにおける「タロウ」の影響を感じない点もさながら、必殺技である。第1話の”ストリウムブラスター”にはある意味衝撃を受けた。

*5:ニュージェネレーションヒーローズから、必殺技発動時の技名の口上だけでなく、戦闘中でも「シュワッ!」以外の掛け声ではなく会話するウルトラマンが主流になっている。好みの問題だけどね。