むしょくとうめいのらくがき

鉄道と酒と野球ではしゃぐ4歳魚と26歳児の気ままな放浪記とか落書き 

無死満塁では転がせ ~併殺になっても1点は大きい~

 この前の日ハム戦、僕の大好きな試合してて歓喜。※超今更 ※選手・監督名敬称略です。

 

0.6裏無死満塁、「併殺打+1点」は両軍にとって良い結果だった

 

 先週の金土日で行われた、甲子園での阪神日本ハム三連戦。

 かつて阪神でもプレーした大スターが、飽くなき挑戦の果てに「BIGBOSS」となって帰ってきた。そんな彼の采配はもちろんだが、日ハムのドラフトは高校生を多く指名する傾向が強い。在籍中の選手にも、かつて球児として聖地を沸かせた清宮幸太郎、吉田輝星、万波中正……といったプレイヤーが揃う。また万波を筆頭に、野村佑希、松本剛など、”大砲”の活躍も目覚ましい。

1点返し、なおも3点を追いかける6回裏

 交流戦で贔屓の試合と対戦するのにかこつけて、日ハムの野球を見るのはとても楽しみだった。結果こそ阪神の3連勝となったが、随所に日ハム選手の魅力を感じる試合でもあったと思う。

 さて、その阪神対日ハムの第一戦目―6点ビハインドをひっくり返した試合に関して、僕的にポイントだと思ったシーンを挙げたい。この試合は先述の万波などの活躍もあり、3回までに日ハムが7得点。一方の阪神も大山悠輔の2打席連続本塁打で追いかけるが、後続が中々チャンスを作ることができないまま、試合は日ハムペースで進む。

 6回裏無死満塁。日ハム先発の上沢直之を攻め、7対4と追い上げてなおもチャンスが続き、前打席で三塁打を放った8番・長坂拳弥が打席へ入る。

日ハムは2点まではOK、ただし早く1死を取ること

 日本ハムがこの時、どういう守備陣形だったか忘れてしまったが、たぶんカーブ、ストレート、ストレート……の配球を見るに「犠飛での1点なら成功」か、あるいは捕逸の危険性がなく且つ力の残っていた球種を選択した、といえる。……いや、後述するがこのときの日ハムは「2点」まで取られてもよかった。シングルヒットで2人還ってくるリスクを選択しても、まずは1つ近い塁か、打者を確実にアウトにすること。これが命題だった。

 ただ、結果は3球目で長坂=阪神が強行をした結果、遊ゴロ併殺打に。三走の大山悠輔は生還で1点を挙げ7対5と詰め寄ったものの、一気に状況は2死3塁。反撃ムードは消沈した……かに見えた。

併殺になっても、ゴロの1点は打者のファインプレー

 以上が、よくある新聞の戦評に書かれそうな風の、一連の流れである。

 阪神側としては、代打やスクイズを選択しなかったことに対する懐疑・批判があるのも、それは仕方ないと思う。まして、ゴロ併殺打という流れを断ち切りかねない打撃結果を「最悪」と評すのも無理はない。ただ、自称「併殺マニア」だからこんなことを言うわけではないが、あそこでゴロを打ったことはむしろ評価されるべきである、と僕は思うのである。

 事実、ここで1点でも入ったことで、阪神の最終盤での逆転劇に繋がったともいえる。流れを断ち切らなかったのにはこの後の救援陣の奮闘も讃える必要があるが、無得点で終わってしまうよりは1点でも返した方がはるかに良い。―ただでさえ、ノーアウト満塁は点が入らないのだから。

 

1.点の入らないノーアウト満塁

 

 僕自身もプレーしている中で、こういう無死満塁に出くわすことはよくあった。

 記憶に新しいのはちょうど一年前の7月末、練習試合の時。2表、同点の無死満塁機で僕に打席が巡ったが、結果はセカンドフライ*1。後続も倒れ、追加点を取ることはできなかった。

 草野球と一緒にするな!と言われそうだが、プロ野球でもこの「ノーアウト満塁」というのは実に点が入らない。先述の僕のように、チャンスになって最初のバッターが凡退してしまうと、後続の打者にプレッシャーがかかる……っていうのはよく聞く話である。

守備側は「近い塁、アウト優先」で開き直ろう

 さて、守っている方はどうか。点差・アウトカウントによって守備陣形は変わるだろうし、ケアするのは外野フライか、スクイズか、はたまた2点目以降の走者なのか……という問題もある。そうはいっても、多くの場合は結局アウトを1個ずつ取るしかないので、いい意味で開き直るのではないだろうか。

 まして、昨夏の僕のケースでは2回表という試合序盤だし、今回の日本ハムも6回裏で3点リードの場面である。後者であれば「2人生還まではOK」なケースだし、前者ならあまり考える必要もない。

 ただ、いずれにせよ1個はアウトを取っておきたいし、暴投や押し出しは厳禁である。何でもいいからまず1個アウトが欲しい日本ハムは、狙い通り1個、どころか2個のアウトを一度に取って、リードを保ったまま状況を2死3塁と変えた。

打者は「三振」「内野フライ」を避けよう

 だが、併殺に打ち取られた側の長坂も、(打点が付くわけではないが)走者を1人生還させた。大きな、とは言えないかもしれないが、ポイントの一つになったとはいえる。なぜか。

 まず、阪神―攻撃側としては、最初のバッターにまず求めることとしては「フライを上げない」だろう。外野フライなら話は別だけど、場面を考えても深い打球でない限り走者は自重する可能性が高い。内野フライなら、そもそもインフィールドフライが宣告されて即アウトだ。三振も避けたい。三振やフライでは、点が入らないし走者の入れ替わりもないままで、1死満塁と変わるだけである。

 やはり「転がせば何かある」というか、何か起こすためにもゴロを打ちたい。転がせば、送球エラーやイレギュラーなどの危険も潜んでいる。

投、一、三だとバックホームされるかも

 でも、サードゴロやピッチャーゴロ、ファーストゴロはなるべく避けたい。確かに「何のための前進守備だ!」案件は起こりうるので、守備側は冷静にプレーしたいところだが、少なくともピッチャーゴロならホームゲッツーで2死2・3塁、点が入らない……と変わる。捕手が打球を処理でベースを空けることも考えられるが、やはりホームゲッツーのリスクのほうが大きい。

 だが、ショートゴロ、もしくはセカンドゴロならどうか。内野手の中で、この2人だけは二塁経由の併殺を伺っている、なんてシチュエーションは少なくない。つまり満塁機でもバックホームするケースはあまりなく、二塁ベースよりに打てばそのまま近い塁をフォースアウトにして、一塁転送、ということが大半なのではないか。

アウトだけが増えると、一気に守備有利になる

 というわけで、長坂は二塁ベース寄りの内野ゴロを転がし、1点を返すことに成功した。もちろん、日ハムが逆に二塁経由でダブルプレーを取り、最少失点で切り抜けた、という見方もできるわけだが。

 しかし、である。長坂がもし三振・フライのいずれかで、1死満塁になって次打者にバトンが行っていたらどうなったか。

 例えば長坂が内野フライに倒れ、次打者の代打・小野寺暖が遊ゴロで併殺を打った場合、当然ながら阪神は無得点である。守備側の「とにかく1個アウトを」には、1アウト満塁なら併殺で終了、という目論見も少なからずあるはずだ。

 

2.沢山見たい「痺れる試合」、極力控えたい「炎上」

 

 結果論かもしれないが、併殺打とはいえ得点を挙げて2点差とした阪神は、8回裏に大山悠輔がこの日3本目となるソロ本塁打を叩き込むと、一気に流れを引き寄せた。一方の日本ハムは、追加点を挙げられなかったことで流れを手放し、点差が縮まるにつれて守備陣にプレッシャーがかかってしまい、奇しくも満塁からの押し出し四球で勝ち越し点を許した。  

 散々併殺打ばかりを取り上げてしまって申し訳ないが、5月終盤以降の阪神・長坂拳弥捕手の活躍が光る。その前の打席で放った三塁打や、巨人戦で決めたスクイズなどバットでの貢献度も高く、またツイートでは「長坂チャレンジ」というフレーズを目にするほど盗塁阻止も目立っている。ううむ、めちゃくちゃ痺れさせる。

 今週のホークス戦からは、梅ちゃん=梅野隆太郎が復帰し、火曜日のゲームでは長坂は控えにまわった。確かに捕手は固定できればベストではあるものの、投手との相性や打撃・走塁など持ち味もあったりするから、スタメンでも控えでもチームを盛り立てていってほしいところである。

 

 第一戦目の逆転勝利をはじめ、先週の甲子園は併殺あり劇場あり本塁打もありで、大いに沸いた。見ている側としては気楽なもので、面白いから10対11みたいな乱打戦ばっかりやってほしい。所謂馬鹿試合とか泥試合と評されるようなものも、もっとあっていいのにな、と思う。

 先の無死満塁の場面だって、三人もいる走者が全員黙って立っている必要はない。日ハムもそうだが、ほぼ自棄ぎみっていうくらい「超積極的」に走ってばかりきた虎さんなのだから、ホームスチールでもしてみたらどうか。うん、絶対面白い。残っていても還ってこれない?走ればいいじゃない。案外いけるかも?

 

 いや、どうかな。プレーする側としては滅茶苦茶疲れるし、一応ピッチャーの端くれとしては防御率だって気になる*2ものだ。ジエンゴが出来るくらいの打力を持っていないので、5回10失点くらい*3にはまとめたいところである。

 

 

*1:ちなみに配球は3球全部ストレート

*2:なお直近2年間で5試合の登板で、防御率は余裕の10点台越え。無失点に抑えたのはわずか2イニングのみという炎上ぶりである。

*3:なお主の自己最長は3回(6失点)