むしょくとうめいのらくがき

鉄道と酒と野球ではしゃぐ4歳魚と26歳児の気ままな放浪記とか落書き 

冷たい夜、提燈とホットコーヒーを連れて -2022.10.06

 昨夜の朧月は幻ではなかった。カーポートの上を走り続ける雨粒と風が教えている。

 

 寒い。室温22度なんて絶対嘘である。

 例年の如く残暑・多湿に包まれていた越後平野は、田の稲がすっかり刈り取られるのと同時に、すっかりその空気が冷え切ってしまった。土手道の並木なんかを見ていると、紅く染まる前に葉が散ってしまうのではないか?と危惧してしまうほど、10月初めの金曜日はなおも冷たい雨が吹き付けている。

 

 昨日、相棒・マスコロと一緒に深夜ドライブに出かけた。

 本当なら散歩にするつもりだったが、冬の備えをする前の自分には正直堪える風であった。昨夜の時点で10月7日の降水確率は100%、その割には月も星も灯りが美しかったが、よく見るとわずかに雲がかかっていた。

寒い!長い夜、長い冬のはじまり

 少なくなったガソリンを足して、適当にハンドルを切る。それにしても冷えるのは足元だ。長袖アンダーにパーカー、ウィンドブレーカーにジャージのズボンと、野球着と寝間着を適当に組み合わせただけである。しかし半袖Tシャツで「適温」に感じる気温からの落差と、一週間という数字を考慮すると、どうも猶予が無い気がするのだ。

 22時半くらいにコンビニに寄った。本当であれば「夜のコンビニ」という文字列が背徳感の象徴となるには、もう少し時刻を遅らせたほうがよかったのかもしれない。それでも震える夜にわざわざ出かけて行って、ホットコーヒーを買って温まるというマッチポンプを果たした我々に不足はなかったといえる。ついでにチョコバナナクレープも食べた。

 一部嘘がある。僕が買ったのはホットコーヒーじゃなく、ホットカフェラテだった。ブラックにはまだ抵抗があるのだ。

 

 寒い。この初秋の寒さですら、著しい拒否(または動揺?)を覚える自分を見ると、これから先の長い、長すぎる冬に耐えられるのか?という気がしてくる。分厚い雲が今年もこれから何カ月にもわたり、越後を覆いつくす。一気にこの郷は冷えていく。

 職が決まり、応募したコンテストで評価を受け、ここだけ切り取ると「順調に過ごしている」と言えそうだ。だから同級生と会って近況を訊かれたときに引きつった顔をする必要も、現実に逆らおうと夜を逃げ回ることも、訳も分からず泣くこともないはずである。

 現に僕の手に入れたかった幸福は、白い息を吐きながら空を見上げ、ホットコーヒーで温まることではなかったか。深夜帯と言われる時間帯に、牛丼やコンビニのスイーツを食べることではなかったか。

 

 いま窓の外は少し、寂しく悲し気な模様に映る。だが風景がどんなであろうとお腹は空くし、このまま部屋にいるのも退屈である。まずはポットの湯を沸かしてから考えるとして、震える手で思いつくままに日記を綴ってみたのだった。