むしょくとうめいのらくがき

鉄道と酒と野球ではしゃぐ4歳魚と26歳児の気ままな放浪記とか落書き 

バランス? -2023.3.5

 気絶から覚めて、日曜夜の寂しさと空白の中に取り残されている。

 

 あの書類はどこへいった、この手続きどうやるんだ、嗚呼電話が鳴りやまない、長蛇の列が出来てあわあわあわ、と繰り返して、一週間が過ぎた。言うなれば「3分の1日」のみのシフトでも、6回続くと流石に身体には堪える。だが、こんな状況―繁忙期が故に勤務の必要性が生じる、と考えると、全く嫌な疲れ方ではない。多くの人に贔屓にしてもらい、また日々の充実に役立ててもらわねば。

 もうすぐ春である。最近三日間ほど天気は非常によく、夕方でも16度くらいの日もあった。かと思えば雨が降ったり、夜には4度とか3度になるわけで、まあ不安定な気候である。

 人と同じで、きっと落ち着かないのだろう。4月から住む場所、やる仕事、その他あれこれが変わるなんて場合、この時期は見慣れた光景に対する気持ちの清算と、新しいことに対する準備に追われているはずだ。冬眠を終え、種を撒き、蕾を膨らませる生命も多い。自然が発する、そういう「芽吹き」のサインに、我々の五感は時に過剰に働き、アレルギーを起こす。あれほど寒く長かった冬も名残惜しい……なんてこともあるのかもしれない。

 

 それはそうと、束の間の癒しを求めた結果、さらに慌てることになったのだけはいただけなかった。

 昼間の勤務だった日、この日も長蛇の列にただ慌てることしかできないまま4時間を過ごした。夜間両親の不在により自由行動になったので、温泉でも行こうかな、と思った。久しくシャワーだけで済ませていたので、湯船が熱すぎて秒で茹蛸になってしまったが、まあ多少の疲労は取れたと思う。夕飯は適当に済ませて、一人には広すぎる空間で、のんびり夜を過ごすか―そう思って車に乗り込む。

「……なんか腐敗臭がするなあ」

 問題はこれが風呂の後、ということだ。温泉にまで入ったというのに、身体の汚れは取れていない……?おやつに食べたベーコンナントカパンかと思ったが、どうも違うと気付く。何かが焦げている感じでもない。よりにもよって、腐敗臭である。舞い上がるのを防ぐため、エアコンは停止し窓を開けて、速やかに帰宅。雨こそ降っていないが、夜の風は容赦なく、温まった身体の熱を一気に奪い去っていく。

  家に到着する。車の機器に原因があるのかと思い、エアコン・エンジンを停止しても、やっぱり臭っていた。試しに今一度、自分の服を嗅いでみる。……ん?

「ジャージのズボンがなんか茶色く汚れてる」

 嫌な予感がして、嗅いでみる。……的中した。だが、汚れは一部だったのだ。ごくわすが、右足の裾を掠めた程度の汚れで、車内に腐敗臭が充満するだろうか。念のため靴をひっくり返してみる。……瞬間である。

「くぁあwせdrftgyふじこlp;@」

 変な声が出た。もっとマシなシチュエーションでこの志摩リンリスペクトな台詞を言ってみたかったものだが、いかんせん、「右の靴底に知らぬ間についていた、得体は知れないけど茶色くて腐敗臭を放つ若干湿り気を含んだ物体」に気付いてこうなったため、なんとも情けない。向かいの家のワンちゃんが何やら「うるさいですよ」と言いたげにこちらを見ていて、メンタルはズタボロである。「お前が犯人か?」と疑う元気すら湧いてこない。

 とにかく僕は可能な限りの消臭と掃除・服の洗濯に追われることとなった。時刻はもう夜9時を過ぎている。束の間の癒しとなるはずが、何でこんなことに……と思いながら、現場検証を実施。ガレージや道路のアスファルトスマートフォンのライトで照らすと、”現物”と思われる跡、及びそれを(僕のと思われる)靴が引きずってしまった痕跡が浮かび上がった。

 どうにもならない怒りの感情と、誰がこんなことを……?という疑問が、ようやくこみ上げてくる。だが、これ以上突き止めることは不可能であり、ましてとっくに日の落ちてしまった状況と、身体の疲労、翌日のスケジュールを考慮すると、そんな気力もなかった。靴を徹底的に洗い流し、消臭剤を吹きかけ、翌日は別な靴を履くことにした。

 

 空は良く晴れて、そろそろ野球日和という感じになりそうである。そりゃあ、屋内で我慢していたけど使えるならグラウンドで、となって当然なのだ。ドライブや乗り鉄にもそろそろ適した気候になってくるだろう。だが、逸る気持ちだとか、名残りを惜しむ気持ちだとか、そういう忙しなく不安定なものに、身体はなかなかついていけないものだ。

 この前確か連休だわーい、まあ儚い夢だったなあ、みたいなことを書いたから、その次の週は逆だったのだ。なるほど、バランスが大事である。

 

快晴 山の雪はまだまだ溶けない

近くの丘に日は落ちて ※信号待ち停車中に撮影

 幸「運」に恵まれますように(神頼み)(っていうか違う)(汚い話で恐縮です)