今季開幕カードを戦ってきた。
1.「そんなこと(ズル)して勝っても嬉しくないです」(マジレス)
「やきうの時間だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「ツイ廃やきう民うるさいよ」
はい。
2シーズンぶりの復帰
しかし実に2シーズンぶりの「一軍昇格」、且つ実戦復帰。多少うるさくなるのはやむなしである。
地元での自主トレこそ重ねていたものの、投球以外の連携や他の守備、走塁など、不安材料は考えれば尽きない。一方で、まあ、嬉しく、楽しい。1シーズン丸々出来なかった昨年とは変わり、「今シーズン」を迎え、どう投げ、どう抑え、どう守り、どう戦っていくべきか―準備し、実戦に臨むという過程が、今年はある。
この一年半、まあなんだ、あんなこともこんなこともあったが、少なくとも野球では「何もなかった」といえる。野球で何もないと、まあ、つまらない。それが「ある」のだから、あとはぐだぐだ余計なことを考えず、遊ぶべきである。何かグラウンドは曇っているが、前日の天候は雨だったというから、むしろ幸運に恵まれたといえる。
……しかし、ただで終わるわけはなかった。何事もなかったのでは、それは「芸術点」に欠ける。
控え選手とかいう贅沢
相手チームが急遽の戦線離脱が相次ぎ、ついには1人不足した状況になったらしい。一方で、自チームでベンチ入りしたのは11名。つまり、2人の「控え」がいる。
草野球で控え選手を作れるというのは実に贅沢で、ましてどんなに選手を獲得しても試合になれば9人ギリギリがデフォルトの自チーム事情を考えると、違和感さえ覚える光景だった。出場機会という点では確かに悩ましいが、プレーするものとしては、疲労や有事を考慮し、控え選手は常にいたほうが良いと考えている。極めて個人的なことを言うと、センターとベンチを7往復(×2試合)もすると、イニング間の移動だけでバテる。小・中の間で唯一レギュラーだった小6のシーズンでさえ、そのうちの半分は途中に代走や守備固めを送られていたのだ。繰り返しになるが、控え選手、僕は欲しい!
……で、残念なことに(?)第一試合=今季の開幕戦、その2名のうちの1人に僕がなった。開幕スタメンから外れたのである。だが、1回表が終了すると、僕は右翼のポジションへ駆け出して行った。実戦では2010年8月以来となる、ライトのポジションだ。
つまりこうである。
「守備中に1人貸してクレメンス。ライトで」
「ええんやで」
ということで、敵チームの守備陣に混ざり、ライトのポジションから味方選手の打球に備える……という控え選手(?)の図式が出来上がった。味方選手が守備を終えて戻ってくるのをタッチで出迎えて、入れかわりにフィールドへ走り出していく選手は、どう映っていただろうか。こんな声をかけられる。
「スパイ行為で草」
「わざとエラーして得点毟り取る?」
「そんなこと(↑)して勝っても嬉しくないです(マジレス)」
マジなスパイ行為?
結局どうすればいいのかわからないが、ポジションに就いてしまったらもう、僕自身も「アウトにする」ために守るしかないのだ。それがプレイヤーの性であり、ましてや元々外野を守っていたものとしてのある種のプライドである。
1回裏の攻撃、先頭打者を出すも幸先よく(?)併殺打を取り2死。しかし、何だかんだあって1・2塁と再びピンチ(チャンス)が拡大。初回で1点のリード(ビハインド)ではあるが、勿論食い止めたほうがいいのは間違いない。
ランナーがセカンドにいる。シングルヒットで本塁を突く走者を刺すor三塁で止めるのが、外野手のミッションだ。勿論、フライなら捕って終了。打者が右バッターだったということもあり、ポジショニングとしては当然、前に行く。打者のデータは(チームメイトだが今日が初対面だったので)未知数だが、勘とセオリーとセンターのポジショニングと、投手の状態を当てにする。
……その初球であった。
―カァン!
金属音に弾かれて、打球が舞い上がる。上がり過ぎ、という表現の合う、力のない上がり方だった。だが、点から丸になるその影を見て、これは自分のポジションーライトに上がっているのだ、と理解する。
上がり過ぎのライトフライ。右バッターにとっては流し方向で、このケースなら「差し込まれた」ともいえるだろう。打球の上昇がちょうど頂点にさしかかるころ、僕の足もとまる。落下点はこのあたりかな。力ない下降が始まる。グラブを出……。
(……あっ)
冷や汗が走る。あらゆる語彙力を喪失する。オワタ。草。ウホホングダメだダメであるよ。辛いです。あかんすよ。シンジラレナイ。
次の瞬間、僕は膝をついていた。胸の高さくらいに落ちてきた打球は、伸ばしたグラブの土手のあたりを弾き、芝生に転がった。慌てて拾い上げる。懸命に返球を呼ぶ(敵の)ファースト。呆然と立ち尽くす(敵の)キャッチャーと、失点して肩を落とす(敵の)ピッチャー。悠然と本塁を駆け抜けていく(味方)の2塁走者、その奥では同点に追いついた(味方の)ベンチが湧いて……。
「マジなスパイで草」
「あっ……(絶句)」
「うちのがすいませーん!!!」
わざとじゃないんです(味方が一番よくわかってる)
湧いてなど、いなかった。
ある意味、当然の反応と言える。チームメイトは味方の同点劇より、味方のエラーに肩を落とすほうを選択したのだ。イコール、僕は敵扱いにはならず、きちんと味方扱いされたということである。……もちろんそんなことで喜べるはずがない。
思ったよりも打球が失速し、慌てて前進し最後は膝をつくも、落球。打ち取った、ほぼ正面のライトフライを、落とす。勿論、味方が同点に追いついた喜びなんてものはなく、ただ「落球」=「エラー」という事実だけが、「外野手」である僕の今シーズンの記録に刻まれる。
……いや、正確に言うと、記録上は相手チームの失策にカウントされるから、僕がしたエラーなのに、相手チームのメンバーが誰も犯していない「チーム失策数」の数字にしっかりと+1がされることになる。当然、失点だ。エラーだから自責点にはならないものの、投手及びチームの防御率は悪化する。味方に足を引っ張られたわけでも、打たれたわけでも無いのに、防御率の数字だけが膨れ上がっていく。
セカンドランナーが悠然と本塁を駆け抜け、プレーが止まった後、僕はがっくりと肩を落とすことしかできなかった。投手のほうがそうしたい気持ちなのは誰よりわかっているはずなのに、である。声を、すみませーん!と振り絞るのがやっとだった。内野手の、
「ドンマイ!」
「切り替えね!」
「ナイストライよ!」
という声掛けが、なんかもう、キターン!って感じである。やめろ、死ぬ……、ってなもんである。
この後、次の(味方の)6番バッターを内野ゴロに打ち取り、同点のまま1回の攻防は終了した。守備陣が皆一塁ベンチに引き上げる中、それに逆らって三塁ベンチに走っていく。すぐ、投手の下に駆け寄る。
「本ッッッ当に、すいませんでした……」
「全然良いって全然!本当気にしないで!!wwwww」
無理である。
ベンチに戻り、今度こそ味方に励まされる。……まあ、全員微妙な顔をしていたのは言うまでもない。ただ、工作ではなく「実力で」落としたのだ、ということは、残念なことに味方もよくわかっているようだった。
しかし一個弁明をすると、元々相手方は「8人」=1人欠けていたわけなので、文字通り、
「誰も守っていませんがッ!?」
「誰も守っていないッ!!」*1
なところへ打者が打ったのだ、つまり打者が上手かったのだ、ということには……。
ベンチの一番奥から、ギロリ、と睨むものがいる。声は発しないが、誰よりも雄弁に、その大きな瞳と口が言っている。
「ならないよ、言い訳してると球団ごと捕食するよ」
はいすみませんでした。
なおチームは僕のスパイ疑惑事件以降=2回以降わずか1安打に抑えられ、何だかんだあって7-1で開幕戦を落とした。僕は5回以降の守備から今度こそ味方の選手として出場。レフトのポジションで外野フライを捌き、やはり疑惑がかけられた(後述)ものの、直後巡って来た打席では普通に凡退(後述)。さらに2戦目では先発登板で炎上(後述)するなど、完全に疑惑を晴らしたのであった。
2.その他試合ふりかえり
- 1試合目;5表からレフトの(味方の)守備位置に就き、外野フライを一度捕球。スパイ疑惑継続。
- 1試合目;5裏1死1塁で打席が巡るも、併殺コースのショートゴロに倒れる(結果は二塁封殺のみ)。スパイ疑惑やや解消。
- 2試合目;先発に指名され、「最低3回、できれば4回投げる」と意気込んで登板。先頭打者を打ち取るも、続く2番打者に10球粘った末に四球を許すと、以降4安打を浴び5失点。1表にもらった2点の援護を早々に吐き出す。
- 2試合目;2裏も1死からヒットを許すと、色々あって再び炎上し、この回でKO。結果2回58球を投げ、被安打7・3四球・4暴投・8失点*2。当然の如く敗戦投手になる。
- 2試合目;3裏からセンターの守備に就き、外野フライを一度捕球。スパイ疑惑再燃……かと思われる。しかし前述の炎上ぶりと、打撃でも3打数ノーヒット*3だったため、やはり疑惑解消。
- 2試合目;(推定)12-4で敗北。戦評は言うまでもなく、「先発・白幸虎仁朗が大誤算だった」である。
- 2試合目後;記録に残らない「2.5試合目」が始まる。当然疲れたので、3イニング目の守備から退く。ちなみに審判中「ノーガード」の胴体に、(味方選手の)ファウルチップが計四度ほど直撃*4。普通に痛かった。
「白幸、いいところなし」
ウッ……ウッ……(泣)。
3.おまけ
「あまりに久しぶり且つ束の間」
はい。