春が息吹き、花が開き、この戦いが始まった。

1.開戦 -2025.4.26
「や、やきうの時間だ……」
余裕が無い
舞い上がって稚魚に怒られる「ツイ廃やきう民」の表情をしている余裕が、この日はなかった。数日前に自分の誕生日を盛大に祝ってもらい、相棒の誕生日は華麗にすっぽかしたために激怒される、というくだりはあった。
だが、この日はとにかく、余裕が無い。
鞄の隙間的な話でもあるが、それ以上に今日はなんというか、越後平野を今年初めて脱出できることや、新幹線ホームに立ち、E7系に乗り、見慣れない車両たちとすれ違い、黄色い新駅を獲得し、それで東京の大都会へと繰り出す―そんな高揚が、あったにはあった。当然、久しぶりにチームメイトたちにも会うし、「やる」にせよ「みる」にせよ、これは「やきうの時間」である。
試合会場に着く。いつもなら、ここでツイートする。

が、しなかった。
立派な球場名に相応しい、両翼98m、センター122m、スタンド収容人数3000名、(今回は使用しないが)電光掲示板を備えたバックスクリーン。内野が土、外野が天然芝の本格的な野球場は、高校や大学の公式戦でも使用されるという。ベンチは所謂「ダグアウト」的な構造(←伝われ)になっていて、トイレや更衣室(シャワーブースもあるみたいだ)もある。ブルペンは2人の投手が同時に肩を作ることができる。
「本当にここでいいのか?」
そういう不安もあった。だが、チームがここで開幕戦を戦う、という点では、疑いよりも「アガる」ほうが勝る。無事僕も、開幕スタメンを勝ち取ったので、この素晴らしすぎる球場で、チームの開幕メンバーとしてプレーすることができる。
先発ピッチャーとして、である。
重み
現チームに入団して5年(=2024年終了時点)。7試合に登板し、いずれもイニング数以上の失点・暴投、イニング数を大きく下回る奪三振数(通算3個)を記録。勝利・ホールド・セーブはゼロ。
一昨年の初め、2年ぶりにチームに復帰したとき、投手陣は大型補強がなされていた。自分より球も速いし、コントロールもいいし、見逃しや空振りを取れる球種も豊富だった。その年の初登板で2回8失点と大炎上し、これはいよいよ……と思った。かといって、外野手にもライバルは加わったうえ、自分は致命的な守備難・走塁難・打撃難を露呈したために、それこそ割って入るポジションなんかなかった。
そんな僕が、開幕投手を担うことになった。
このいい球場で、今年のチームを代表して、今年の1球目を投げる―。
「ただの1試合」ではない重要さを、年間140試合以上を戦うプロ野球選手が唱えるわけである。それが意味するところはあまりに大きい。分母が140だろうと、60だろうと、はたまた1だろうと、これが今年のチーム1球目。代表するのに、相応しい投球をしなくてはならない。
まっさらなマウンドに上がる。濃い色の土と、緑の芝生、よく晴れた空を感じる……ように努める。……落ち着かない。脚が震え、力が入らないように感じる。マウンドから打者って、こんな風に見えるんだっけ?同じ18.44mのはずなのに、近いとも遠いとも思わないのに、違う距離に感じる。
ハジマッタンゴ、オワタンゴ
「プレイボール!」
試合開始がかかる。ボールで遊べ!って言われても、いやいや、野球って確かに遊びなんだけど。もうどうしようもないので、とりあえず投げる。
2025年の、第一球―。
「あぁッ!?」
……に、あまりに相応しくない声と、ボール。
「……オワタンゴ」
正直、そう思った。 もはや「インハイの直球」ですらないよくわからない球は、右打者の背後を通り抜けた。1ボール。遅すぎたので打者は難なく回避したものの、直撃すれば当然、危険球退場である。もはや野球なのかどうかを疑う一球は、あろうことかこのチームの「開幕投手」が投じた第一球だった。流石にそんなのは、聞いた事が無い。
続く2・3球目も高めに外れる。……「投げ急いで、左肩が下がったり、ボールを前でリリースしてしまう」なんていうのは、後から冷静になってわかる。それをマウンドでは気付かずに、ずるずるいってしまうのが、これまで幾度となく繰り返された「16番という投手」の炎上劇であった。
結局3-1から先頭バッターに四球を与え、走者一塁。
だが、もうやってしまったものは仕方ない。それに、4球目に高めのスライダーで1つストライクをとったことで、ようやく冷静になった。投げ急いで慌てている、そんな投手心理を見越したかのような、捕手のファインプレーであった。
二盗を許したものの、2番バッターには低めの直球で、生涯4つ目となる空振り三振。進塁打で2死3塁となり、4番の適時内野安打で1点を失うも、5番は遊ゴロに打ち取り、チェンジ。
冷静に
「はあ……」
深い、深い溜息が漏れた。どうなることか、という始まりで、何とか打者5人・15球で1イニングを終えることができた。「15球で済んだ」なのか、「15球投げれた」(=1球で退場になるところだった)なのか、「1点で済んだ」なのか「1点取られてしまった」なのか。点数に関しては、まあ前者だ。点数は入るものである。それが打って取られるなら、別にしょうがない。打たれていないのに、点数だけが嵩んでいくような、そんな展開が多すぎた。
それでも、投手に出来ることは「その後」を打ち取り、一個でも多くのアウトを重ねることしかない。納得いくボールが投げられなかった、と悔いても、どうしようやってしまった、と焦っても、退場も交代も告げられない限りグラウンドには残るし、試合はゲームセットまで続く。である以上、できることもやるべきことも、一個も増えないのである。
味方は直後の1裏、3連打で満塁とすると、押し出しで同点。さらに2死から2点適時打で一挙3点を挙げ、逆転に成功。
援護をもらった直後の2表、先頭バッターから通算5個目の三振を奪い、結果この回を打者3人・7球で終える。過去に記憶の無い「三者凡退」。いくら劇場マニアでも、自分でやるのは本意ではないし、できれば3球で帰ってくるのが理想だ。続く3回も3人・10球で終え、その回限りで御役御免となった。
その直後に自軍は適時打で1点を追加するも、中盤以降は相手の継投に流れを断ち切られてしまう。攻守に目立ったミスも無く、積極走塁や選球眼など、随所に光るプレーが見られたものの、相手打線の猛反撃に遭い、試合をひっくり返される。

結果は5-8で敗戦。球団史上初の開幕戦勝利とはならなかった。
投手がすべきこと
降板後やMTG、帰り際など、ナイスピッチングと褒められた。よく試合を作ってくれた、と讃えられた。だが、初回の投球内容は、決して褒められたものではなかった。一歩間違えればまた自滅の道を辿っていたところで、バックの好守と捕手のリードに助けられ、何とか形になったに過ぎない。
派手に打たれるのなら仕方がない。それはもう、凄いボールを投げられるようになりましょう、という話になる。が、今まで被安打1で3失点するようなピッチングばかりしてきた。何となく「いやいや、打たれる前にできることがあるだろう」と考えてきた節があったが、その「できること」はボール球を投げることではない。それこそ「野球ではない何か」の引き金である。
「(10回中)7回失敗するんだから、そこに賭けろよ!」
オイシックス・野間口貴彦コーチは選手に言う*1そうだ。なんで走者なしなのに、ピンチを背負ったような投球をするのか。打たれて、走者を出してから考えればいいのではないか。……あろうことか開幕戦の1表・1番バッターの1球目で、まるで無死満塁を背負ったかのような心理状態にあるのだから、実に勿体ないし、実に間抜けである。
要するに、

「いいから真ん中放れ」*2
はい。
「今シーズン」がある喜び
「開幕」という二文字、そして「開幕投手」という四文字は、あまりに重い。これはスタンドで「みる」方ですら重圧で、趣味で「やる」に過ぎないものですら重圧だった。僕にとっては四つ*3の「開幕戦」がこれで終わったことになる。
……気楽に考える、ということはこの先もできないだろうけれど、もう少し、楽しんだらいいのにな、と我ながら思う。折角そこそこの人数が集まって、良い球場でプレーする機会が巡って来た。
「今シーズン」が今年もやれる。
あの白いボール1つに一喜一憂、どころか百憂くらいするし、寿命が縮む音(?)がする。一銭の儲けにもならないのに、自分のキャリアにはそんなに関係ないのに、脳味噌のほぼ半分~7割近くはそこに割くことになる。
「やる」方でも「みる」方でも、もうここからは逃げられない。それを僕も、結局は望んでいる。
今日の成績&インスタ
投手(先発)
3回32球 被安打1 与四球1 奪三振2 1失点
2.開花
春が来ましたね。





あとマスコロは6歳に、僕は28歳になりました。
そして今日もやきうを追いかけます。
と言っても1カ月間行けなくて悲しい。
飢えたので社会人と浅野君を観に行きました。






電車にも乗りました。

戦いに来るのも良いけど、たまにはゆっくり味わいたいね。
新幹線も久しぶりでした。


マスコロ「後半コメント少なくない?」
はい。
すっかり更新減ったけど、変わらず楽しく生きてます。