我が地元・新潟に、阪神タイガースがやってきた。

- 1.夢を拓け、栄光を取り返せ -2025.5.13 横浜DeNA対阪神(ハードオフエコスタジアム)
- 2.挑め、秘めた猛虎魂を震わせて -2025.5.15 オイシックス新潟対阪神(ハードオフエコスタジアム)
- 3.おまけ
1.夢を拓け、栄光を取り返せ -2025.5.13 横浜DeNA対阪神(ハードオフエコスタジアム)
決戦前夜(色んな意味での「やり返したい」)
5月12日の夜。暖かくなったようで、しかしまだ3月でいたいかのような中途半端な寒さに、僕は震えていた。
実際には寒かったのか、はたまた暑かったのかは覚えていない。ただ半袖では寒く、上着を羽織れば暑い。冷えなのか、はたまた緊張かで腹は壊す。なのにビールは美味かった。そんな中途半端な気候が、僕の心象をそのまま映しているようで、気味の悪さすら感じる。
初めて「エコスタ」にプロ野球が来て、新潟で金本・新井・鳥谷のいる阪神を観に行ったあの日から、実に16年近くが過ぎたらしい。
まだ純真無垢(?)な虎党少年だった僕は、応援歌もわからず、野球場がどんなものかということも知らず、ユニフォームなんぞ持っておらず(帽子はあったけれど)、ただ選手のことはよく知っていて、でもテレビの画面越しにしか見たことが無い、そんな光景が目の前に広がっていることが、信じられなかった。やはりテレビに映るような広島・栗原のホームランを肉眼で見た。で、ルイスに完投されて負けた。
これは夢か、とも思った。しかし一方では、1対3というスコアを突き付けられて、阪神が負けたという現実も見せられた。野球場とは夢があるが、ここで起きていることが現実で答えなのである。
それは何年と経って、認めたくないけど勝機が全然ないとか、限りなく優勝が遠のいた瞬間とかも見たりして、思ったことでもある。どちらかが勝って、どちらかが負ける、たった1試合ながら、そういう残酷な現実を目の当たりにしているに過ぎないのだ。
で、明日はその1試合を取るために、スタンドを埋める虎党として戦う。
場所はハードオフエコスタジアム新潟。阪神は2012年・広島戦以来の同球場一軍公式戦。その時は勝ったらしい。どうやら相性が良いと、メディアは報じていたような。
だが僕にとってエコスタで阪神(一軍戦)*1を観るのは、あの2009年7月8日以来。奇しくも同じレフトビジター。
相手は横浜。今季は下位に沈んでいるが、昨季日本一の栄冠に輝いた。阪神にとっては、秋に敗れ、夢を打ち砕かれ、王座を明け渡した相手。


僕にとっては、昨2024年9月20日、横浜スタジアムで敗れたあの日以来。
色々な意味でのリベンジマッチが、始まろうとしていた。
開戦
そして5月13日はやってきた。

「やきうの時間だ」
「おーん」
はい。
?
しかしよく晴れた。霧のような雨に濡れた16年前とは違う装いである。だが夏ほど暑くなく、弥彦角田から吹いて来たのだろう風が、やや冷たくも感じる。半袖では寒い。しかし「野球日和」ではある。
もっとも日和、というほど暖かい目で、この一戦を見守る気なんか、さらさらない。
スタメンが発表される。よく知る応援歌を、今日は叫ぶ。もう歌詞がわからないと嘆く、あの日の少年ではない。

- センター近本光司
- セカンド中野拓夢
- ライト森下翔太
- サード佐藤輝明
- ファースト大山悠輔
- ショート高寺望夢
- キャッチャー梅野隆太郎
- レフト中川勇斗
- ピッチャー才木浩人
ほぼ「いつものメンバー」が並んだように思えた。小幡竜平のアクシデントにより、昇格した高寺を6番・遊撃へ、左投手対策なのか、本職は捕手の若虎・中川を左翼で先発起用したくらいで、あとはもうなんというか、岡田政権で「形になった」ものが並んでいる。大山が5番、テルが4番になったという違いはある。だがいずれにせよ、
「いける」
としか思わない。いや、
「行くしかねえ」
このコールを合図に、戦いを始めよう。
「突撃!突撃!近本!!!!!!!」

「打てグラウンド駆けろ 燃えろ近本」
「さあ夢を拓け 打て走れ中野」
「渾身のフルスイング 翔けろ森下」
「振り抜け 輝け 打て輝明」
「スタンドへはじき返せ 栄光掴むその日まで」
「どでかいアーチ 勝利への一撃」
……。
………。
………………。
均衡(拙攻)

「……打てねえ」
「ちーん。(笑)」とか効果音をつけて誤魔化したい気分である。もちろん、笑えない。何やら初めて野球場に来て、中野や森下、大山を初めて生で見るという野球少年もいるが、ともあれ新潟の野球ファンにこれでもか、というくらいに現実を突き付けてくる。
1回、1死から中野が内野安打で出塁、森下が四球を選び、好機を演出。打席には1年ぶりの新潟に、今度は一軍の4番サード・佐藤輝明。……が、奇しくも(?)遊ゴロ併殺打。場合によってはまた併殺マニアとして歓喜していたところかもしれなかったが、そんな場合ではない。横浜先発のアンソニー・ケイは最速160キロをエコスタガンにも関わらず計測するなど、直球は走っていた。が、安定感があるという印象は抱かない。この日も走者は出す。が、得点にならない。もどかしい展開が続く。
不安定、というところでは、今年の才木浩人も同じだ。今日も初回、1死1・2塁を同じように4番・オースティンの遊ゴロ併殺打で切り抜けるも、その後ピリッとしない。横浜打線がよく粘っている、と見るべきなのかもしれないが、2ストライクと追い込んだ後に決め球のスプリットが決まらない、ファウルで粘られる、で、3ボールになる。というパターンが多い。スタンドから見ている限り、序盤に4~5点くらい献上していてもおかしくない内容だったように映る。
5回には2つの四球から好機を作るも、中川が三振、才木が右飛に倒れ無得点。その裏、投犠打を処理した才木が二塁悪送球。自らの失策でピンチを背負うも、牧を三振。度会を左邪飛。中川も不慣れな守備位置・球場でフェンス際で好捕した。
お互いに「あと1本」が出ないし、それを許さない。お互いに重い、そういう展開だ。
重い空気
7回にはテルの安打からチャンスを拡大し、1死満塁と攻める。8番中川に、代打・渡邊諒。……が、痛恨の三ゴロ併殺打。普段なら芸術点を付与しているところだが、そんな場合ではない。
7回裏、先頭の山本祐大の打球がこちらへ飛んできた。レフトスタンドからではその打球の大きさ、捉え具合を認識するのにいまいち時間がかかる。だが、点が丸になり、左翼に入った前川右京がフェンス際まで後退する。スタンドから歓声と、「あ、あ」という声が交差して―。
ドスッ
鈍い音がする。打球はフェンスに直撃した。
次の瞬間には、向こうから歓声。白いボールが右京の足元を転がった。センターから近本が走ってくる。それが間近で繰り広げられる。言うまでもなく、興奮している場合ではない。いくら佐野の顔がはっきりと見えても、近本に守備位置を確認する中川や右京が見えても、それどころでは全くないのである。あと一伸びで本塁打だった打球だが、エコスタの広さに助けられた。
しかし続く林琢真が犠打を決め、ケイに代打・松尾汐恩。1死3塁の危機。才木は100球をゆうに超えていて、今度こそ1点を覚悟した。1点で済めば、むしろ上出来だ。
結果、浮いたボールをセンターに打ちあげて、これが犠牲フライ。とても「0」が並ぶような展開ではない中で、ようやくスコアボードに「1」が刻まれる。
重い1点だ。ホームランが出れば。誰かが1回ホームベースを踏めば。簡単なようで、とても遠い。8回は伊勢大夢に抑えられ、9回は横浜の新しい22番・入江大生が守護神として登板。
最終回、ホームランコールも虚しく、テルは三振。大山も倒れた。
あと1人―。
望みを繋げ、夢叶え
ここで阪神を応援できるリミットが、もうあとアウト1つに迫っている。スタメン発表とラッキー7以外、ここまで六甲颪を叫べていない。もう1回叫びたい。
打席には6番・高寺。今日は犠打も決め、先発起用に応えている。……スタンドの想いは、決して一つではなかった。追い込まれた事実に、諦めムードも漂った。
だけど、このまま終わって言い訳が無い。そんなのは絶対嫌である。
「高寺なんとかしてくれ!!!!!」
カキーン!!!!!
「えっ?」
1-0からの2球目、直球を捉えた。痛烈なライナーがライトへ伸びる。だが、伸びすぎである。
……伸びすぎである??
………伸びる????????
………見送った。
打球はフェンスに当たり、勢いよく跳ね返ったボールをライト神里が処理し、すぐさま二塁へ返球……。
………返球しない??????
「えっ??は、入った????????」
理解するまでに時間がかかった。塁審が手を回す。
周りのファンが歓喜する。高寺は二塁上でガッツポーズし、転びそうになりながら走り出した。
パッと見はフェン直だったが、打球はフェンスを越えてスタンドで跳ね返ったのだ。
「うわああああああああああああああああああああああああああああああやったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「六甲颪に 颯爽と
蒼天翔ける 日輪の
青春の覇気 麗しく
輝く我が名ぞ 阪神タイガース」
「オウオウオウオウ 阪神タイガース
フレ フレフレフレ」
万歳!万歳!!バンザーーーーイ!!!!
1点ビハインドの9回2死、クローザーからのホームラン。
これがプロ初となる高寺望夢の、まさしく「起死回生」の一発で、同点。
新潟虎党の戦いも、延長だ。
野球ってすげえ(語彙力)
正直、この場面での本塁打を誰が予想しただろう。まして広いエコスタでは、なかなか本塁打はお目にかかれない。高寺は決して本塁打を量産できるパワーヒッターではないし、まして相手投手は守護神・入江。この日も150キロ超のスピードボールに、テルは高めを空振り、大山も打ち取られた。
だが、ハイライトを見返したら、高寺のスイングは「芸術」そのものだった。左バッターが弾丸ライナーでスタンドへ放り込む。その一切無駄のない、洗練された美しさ。奇しくも(?)鳥谷敬と同じ、左打ちの遊撃手だ。
ネットでは、「新潟で」「阪神の背番号67が」「ホームラン」という事実に、クレイグ・ブラゼルを重ねる声もあった。2010年のオールスターで見たあの放物線も、めちゃくちゃ興奮した。同時になんか、野球ってすげえな、って思った。
振り返ればそうである。まず野球場に着いて「やきうの時間だああああああああああ」なんて言って、実際に野球選手を目の当たりにして思うのは、

「すげえ」
これだけである。一回語彙力を全部失ってから、野球観戦は始まっているような気がする。これは幾つになっても変わらない。時として現実を突き付けられて、野次の一つでも飛ばしたくなるが、今日は高寺が全て吹き飛ばしてくれた。
決着(価値あるドロー)
才木浩人は悪いなりに試合を作った。内容は酷いものだったが、投手にできるのは「その後」を変え、アウトを一個でも多く重ねることである、と「やる」方の記事でも書いた。四球を出してしまった、エラーを犯してしまった。だがそれを試合中に嘆いても、何も変えることはできないのだ。5回のあの二塁大暴投の後、1点も与えなかったのは素晴らしかった、というべきだろう。
守備陣もよく盛り立てた。初回の併殺、ファウルフライを好捕した中川や佐藤輝明。テルは8回にも先頭打者のライナーを好捕し、桐敷を助けた。

好機に繋がりを欠いた打線は、勿論いただけない。近本光司は今日は全打席凡退。中野拓夢は猛打賞で好機を演出したものの、中軸が振るわず。この前の週、巨人3連戦の3戦目、田中瑛斗にシュートで遊ゴロ併殺打に打ち取られてから、森下翔太も阪神も「一つ流れを切られた」印象は拭えない。大山悠輔は言うまでもなく、本来の姿とはかけ離れた状態にある。
このように打線が援護できず、夏~秋にかけて投手陣が我慢の限界を迎えるのも、よくあるやられ方な気がする。この後の甲子園では、大山・森下は復調気味で、良い野球ができたように思う。どこかで投手陣は必ず綻びが出る。その時にカバーできるチームではあってほしい。
後を受けた救援陣も、瀬戸際の攻防となったが、懸命に凌いだ。
凱旋登板となった桐敷拓馬は、8回裏を三人でピシャリ。9回は代打・九鬼のあわや本塁打の大飛球を、またもやエコスタの広さが阻む。ピンチを背負った石井大智が得点を許さず、延長戦では岩崎優・及川雅貴・湯浅京己と継投。
1対1のまま迎えた12回裏。湯浅が2死までこぎつける。走者を一人出すも、

最後の打者・桑原を二直に打ち取り、試合終了。4時間を超える戦いに終止符が打たれた。
インスタ
2.挑め、秘めた猛虎魂を震わせて -2025.5.15 オイシックス新潟対阪神(ハードオフエコスタジアム)
二日後。

「やきうの時間だ」
「おーん」
「……」
はい。
?
ジェフとのぼる
ちなみに自宅には虎が二匹眠っていたので、起こして連れてきた。黄色とグレーなのでちょうどいい(←何が?)。名前は、

【ジェフ】←黄色
【ノボル(昇)】←白
である。由来はまあ、何となくお察しいただけるものと思うので、あえて述べない。ちなみに二匹とも推定20歳以上、ジェフに至っては僕より年上だ。
しかしジェフはともかく、ノボルはおひめ(かえる)並みに年数が経過するにもかかわらず、ほぼ劣化していない。せいぜい腹部にシミがあったくらいで、風呂に入れたら落ちた。……いかに長いこと眠っていた(というか放置されていた)かがよくわかるが、まあ、これ以上は触れまい。
新潟虎党として(今日がラストチャンス)
とにかく彼らには、長い眠りから起きてもらった。まあ、

「おまえたちもトラなら球場で戦いなさい」
ということである。
そう、もう今日しかないのだ。新潟虎党が、球場でタイガースと共に戦い、声を枯らし、歓喜の六甲颪を叫ぶチャンスは。
オイシックスと阪神は、普段はイースタン・ウエスタンに分かれているから、対戦の機会は年1あるかないか。且つ、来年も阪神が遠征してくるとは限らない。資金を蓄えたオイシックスが今度は遠征するかもしれないし、現在のリーグ・球団編成のまま来季を迎えるという保証もない。

……改めて思う。新潟球団のNPB参加は、県内野球ファンの夢であり、悲願だった。これは新潟球団だけでなく、ビジターチームのファンにとっても言えることなのだ。オイシックスを応援することは勿論だが、遠征してきてオイシックスと戦う贔屓球団を応援することも、こうして叶った。
ならばもう、後悔のないようにやることをやる。スタンドを埋める虎党として、できることもやるべきことも、たった一つなはずだ。
今日の試合開始は12時30分。
一昨日の喉の疲労は、気にならない。そんなものは、気にしてはいられない。
「突撃!!突撃!!佐野!!!!」

「情熱を燃やして 夢を勝ち取れ」
「胸に宿るその魂を 奮い立たせて挑め」
……。
…………。
……………………………。
翻弄(+拙攻+自滅)
「打てねえ」
「打たれた」
「ちーん。(笑)」とか効果音をつけてしまいたい気分である。当然笑えない。
先発・川原陸は1死1・2塁から大川陽大に適時打を献上。続く高山俊、投ゴロで併殺で最少失点……と思いきや、何と川原、二塁へ悪送球。一昨日の才木といい、今日の川原といい、自らの失策で危機を広げてしまうのはいただけない。……と言っているのが全部ブーメランにならないよう、守備練習もきちんと行おうと思った。で、流れを逃さないオイシックス、6番知念大成が適時打で追加点。知念を6番にできる白鳥打線、強すぎる。
打線は初回、2番小野寺暖が右翼線へ2塁打を放つも、後続は続かず。3回は先頭の藤田健斗が四球を選ぶも、やはり後続が倒れ無得点。……重い展開だなあ、とか思ってたら、職場から僕のやらかし疑惑のメッセージ来て、二重の意味で重い気分になっていた。2点ビハインドなのに、5点くらいとられた気分である。

そんなことを言っていたら、高山俊にしっかりとタイムリーヒットを打たれ、ビハインドは3点に広がった。一塁スタンドにはアルファが現れ、サポーターと共に白鳥打線を後押しする。
さらに、知念を牽制で挟んだのにセーフにしてしまい、挙句の果てにはモーションを完全に盗まれて三盗を許してしまう。こちらは地力で上回られ、翻弄され、自滅し、流れは最悪である。
好機
なんとか0対3で踏ん張り、4回の攻撃。

猛虎打線はオイシックス先発・笠原祥太郎を打ちあぐねていた。しかし先頭の戸井が安打で出塁すると、1死からヘルナンデス・野口と連続四球。満塁のチャンスが訪れる。
いざ三塁側から見たときに思うのは「地元出身の選手」ではなく「中日時代に散々虎を翻弄してきた憎い敵素晴らしい投手」である。だからこそ、少しでも恨みを晴らしたい勝ちたいのだ。
いや、
カキーン
「コンスエグラがレフト線へタイムリー2ベース!!」
「走者一掃で同点!!!!!」
チャンス襲来
— DAZN Japan BASEBALL⚾️ (@DAZNJPNBaseball) 2025年5月15日
ドミニカの名門・セナペック高校出身
コンスエグラ 同点タイムリー
⚾プロ野球 ファーム(2025/5/15)
🆚オイシックス×阪神
📱Live on DAZN#オレをみろ #イージースポーツ#阪神タイガース pic.twitter.com/vbD06s10zN
カウントを取りに来た、直球(もしくはカット?)を逃さず捉え、走者全員を返した。コースは甘かったが、プレッシャーのかかる場面でそれを仕留める技術と集中力は素晴らしい。異国の地での生活、支配下・ポジション・外国人枠といった激しい競争と、クリアしなければいけない課題は沢山あるが、どうか一皮も二皮も剥けて、猛虎打線に割って入って欲しい。
さらに、
「山田脩也タイムリーで勝ち越し!!」
「佐野太陽タイムリー!!」
「小野寺暖タイムリー!!」
期待の若虎・山田脩也がしっかりとタイムリーを放つと、二盗でチャンスを拡大。続くルーキー・佐野が適時三塁打。楽しみな若虎がいっぱいである。

同じ97年世代・小野寺暖も、今日二本目の安打を右前へ運び追加点。どこかで一軍でも起爆剤になってくれ。
集中打でこの回一挙6点を挙げ、逆転に成功。序盤は翻弄されてきた先発・笠原を、マウンドから引きずり下ろした。
僅差
戦局は一気に変わったかに見えた。だが、オイシックスは5回表、3番手・今井亮太が流れを断ち切ると、その裏に阪神2番手・松原快を攻める。田中・園部と連打を許すと、大川が2打点目となる遊撃への適時内野安打。
1死2・3塁となったところで、阪神は松原から3番手・椎葉剛へスイッチ。内野ゴロの間に1点を与えるも、続くピンチを三振で脱出。4番手・木下里都は7回裏を完璧に抑えた。8回にはなんとハビー・ゲラが登板。最速161キロをマークし、走者は許すも無失点。執念(?)の継投で僅か1点のリードを守る。

この後の阪神打線は、三上朋也・小林慶祐という継投策に見事に封じられる。小林は2イニングをパーフェクト・2奪三振と好投。昨2024年の同球場・同カードでは1死もとれず降板となったが、そのお返しをされる、という形になってしまった。
切実な問題
1点差で終盤。やはり、勝ちたい。
当たり前だが、一軍だろうと二軍だろうと、勝ちたいのは当たり前である。そして六甲颪を三番まで歌うのだ。……一昨日、外野席で選手のヒッティングマーチを叫ぶ僕に対し、同行した親父が「おまえ全部応援歌覚えたんか……すげえな」と謎に感心していた。覚えやすさはこの球団の良さとして(良いことにしておくか)、問題がある。
「たまに六甲颪の二番・三番を忘れそうになる」
あまりに切実な問題だった。最後に「フルver.」を歌ったのは、2019年8月23日の神宮ヤクルト戦以来。実に6年が経とうとしている。その時も、
「あれ、”獣王の意気”と”勝利に燃ゆる栄冠”と、どっちが先だっけ?」
「闘志溌溂って何番だっけ?」
となった記憶がある。
虎党のくせにどういうことだ、と怒られそうな問題である。一方では「球場で阪神の勝利を観ない限り歌えない」部分である。二番・三番を歌うことは即ち、阪神の勝利を生で見届けるという、虎党の悲願を果たしたときだ。
その悲願がようやく、近づいて来た。実は昨2024年5月の同カードも、現地観戦・勝利したため、チャンスはあった。だが、何となくチャンスを逃してしまった。あまりに惜しいことをした。今日は応援団も来ていることだし、リベンジがしたい。
逃げ切りへ
そしてついに1点差のままで迎えた最終回。
阪神はクローザーとして、

マウンドへ送った岡留英貴が、先頭の代打・坂口に安打を許す。
「劇場いらねえええ」
全く楽しんでいる余裕はない。劇場併殺マニアを名乗る資格はこの3日間で喪失したが、そんな場合ではないのだ。8回のゲラも、先頭を四球で歩かせて、結局牽制死などもあって無失点だった。
走者が一人出る。さらに、
審判「ボーク!!!」
は????
走者が二塁へ進む。一塁スタンドが熱を帯びる。この日は1800人*3を超える観客が詰めかけた。一・三塁とも、同じくらいに埋まっていたような気がする。
……球場に入った時、客入りと飲食ブースとグッズ販売に、「あれ、今日って土日だったっけ?」とか思った。それにしても、阪神打線が凡退するたびに「ソイヤソイヤ!!角上角上!!」*4なんて言う、この気合の入りよう!!
オイシックスの怖さは、僕もよくわかっているつもりだ。いつも感じている「魅力」は、今日は「怖さ」である。
幾度となく「ミラクル」と呼べる同点・逆転劇を演じてきた。その背後にはホーム・新潟の、オレンジ色に染まるスタンドからの大声援。今年も圧倒的にホームに強い。そのうえ、堅実な野球で1点を取り、その1点を守る、確かな地力がある。それを今日は、対戦チームとして味わっている。
だが、負けるわけには当然、いかなかった。
オイシックスは予想に反し強行策も、代打・篠田を中飛、代打・浅井を三振。2死まで漕ぎ付けた。打席には田中俊太。
……勝利を願う叫びが始まる。これは阪神の勝利を渇望する、虎党の魂の叫びと心得る。
「そおおおおっっれ、あと一人!!」
「あっとひっとり!!」
「あっとひっとり!!」
決着
1-1から低めのスライダーを打たせて、セカンドゴロ。二塁手・佐野太陽が捌いて、試合終了。
6対5。見事1点差を守りきり、阪神が勝利を収めた。
「劇場いらねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
「でもやったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「闘志溌溂 起つや今 熱血既に敵を衝く
獣王の意気 高らかに
無敵の我らぞ 阪神タイガース」
「鉄腕強打 幾千たび
鍛えて此処に甲子園
勝利に燃ゆる栄冠は
輝く我らぞ 阪神タイガース」
「オウオウオウオウ 阪神タイガース
フレフレフレフレ」

「万歳!!!!!!!!!!!!!」
実に6年ぶりの、勝利の六甲颪・フルver.を熱唱。
虎党として渇望した勝利の喜びを、現地でかみしめることが出来た。
インスタ
3.おまけ
今年も新潟で猛虎戦士を応援し、六甲颪を叫ぶことが出来た。今年は三番まで歌い、昨年のリベンジを果たした。案の定喉はイかれたが、全く後悔はない。
来年も来る、という保証はどこにもない。そもそも対戦があるのか、今季と同じ形を来季に引き継げるのか?というところも、わからない。でも実現したら嬉しいな、とは思う。
虎二匹に酒を与え、僕も充足感の中で眠りに……

つきたかったが、一軍は15日にしっかりと完封負けを喰らい、完全に幸福にはならなかった。つくづく野球ファンとは地獄のような趣味である。
この2戦、確かに阪神を応援出来て幸せだったが、寿命は15年くらい縮んだような気がする。こうやって望まれてもいないのに、勝手にすり減って、勝手に戦って、勝手に喜んだり、ムカついたり、落ち込んだりする。

それでも何度でも言う。始まったら、もう逃れられない。たのしい地獄はしばらく続く。
……ん?

「虎だけで行く野球場は楽しかった??????????????????????????????????」
いやせやかてお前はっきり言うtおおおおおおおooooんnnn
言い訳をする前に、ガブリ、と噛み千切られる音がした。