栄光を掴み取るべく、戦場へやってきた。

- 0.序
- 1.鍛えて此処に甲子園 -2025.10.15 セ・リーグ クライマックスシリーズファイナルステージ第1戦 阪神対横浜DeNA(阪神甲子園球場)
- 2.ホーム・甲子園
- 3.何度でも言います、我々がリーグチャンピオンです
- 4.おまけ
0.序
9月7日日曜日。
優勝前夜・9月6日の時点では、2位・讀賣に17ゲーム差をつけていた。両リーグ史上最速で成し遂げた優勝―「独走」「圧倒的な強さ」と評する声は、一定数あったように思う。
だが、1試合という括りで見てみると、全部が拮抗し、痺れる展開を競り勝ってきた、という印象だったと書いた。本当になんとか、ギリギリで勝った。ギリギリの窮地を制し、拾った1勝や1分を積み重ねた、その末に掴んだ結末だった。
そんな歓喜に沸いた2025シーズンだったが、2年前―実に18年という期間を経てようやく栄光に辿り着いた2023年と、違ったことがある。選手・監督らメンバーが、という話ではない。それは僕自身が現地に行って六甲颪を叫び、行けなくても「できること」を尽くして応援することができた、という自負、故に味わった喜びである。
今年も1・2軍を含めてもたった3試合と、虎党としては寂しい数字になったことは自覚の上である。しかし、新潟で高寺望夢が放った起死回生の同点ホームランを見届けるなど、2勝1分けで負け無し。グラウンド上で躍動する猛虎戦士を、この目で見ることができた。また、現地に行けなくても配信等、極力リアルタイムで観戦し、遠くからでも虎党として「できること」を尽くせたかなと思っていた。
だが、まだ阪神タイガースの2025年は、終わっていない。
甲子園でのリーグ最終戦を終え、セレモニーで藤川球児は号令を出した。それは選手や関係者だけではない―スタンド・そして全国の虎党たちに向けたものであった。
「バックネット裏の、2023年の隣のVの色が何色になるかという戦いが始まります。まずはこの甲子園で、3つ勝たなければいけません。その為には、スタンド以外の―全国のタイガースファンの応援が必要です」
虎党を自称している限り、おまえも例外ではないぞ、と言われている。ならもう、戦うしかない。
どちらにしたって、目の前に試合があり、倒すべき敵がいる以上、勝つしかないのである。
だから僕も、できることをする。

甲子園のライトスタンドで、である。
1.鍛えて此処に甲子園 -2025.10.15 セ・リーグ クライマックスシリーズファイナルステージ第1戦 阪神対横浜DeNA(阪神甲子園球場)
全国の虎党と共に、3つ勝つ
昨2024年秋。最後の最後まで望みを繋ぎながら、讀賣にも横浜にも敗れた。僕自身、あの2024年9月20日に横浜スタジアムで負けて、悔しい思いをした。
その横浜はこの秋、監督・三浦大輔の退任が発表される。向こうも番長をもう一度胴上げするべく、昨年以上の気合で挑んでくるはず。2位でシーズンを終え、ハマスタでのCSでは何かと物議を醸した。思う所がなかったわけではない。ただ、我々は勝つしかない。自分も、チームも、もう昨年のような屈辱は味わいたくない。
シーズン同様、痺れる、厳しい戦いとなるだろう。だが、このチームなら大丈夫だと、勝てると信じる。根拠のない、ただの願望だけど、そうするしかないのである。
鍛えて、覚悟を決めて
それにしても、

甲子園である。それはそうである。
ただ、いざ「阪神甲子園球場」という外壁の文字を目にした時、ゲートをくぐり、黒の重厚なバックスクリーンと、緑の天然芝、内野の黒土が見えたときに、細胞が震えた気がした。約7年ぶり2度目―それでもどうしても、甲子園なのである。このあまりに美しく、荘厳なこの風景は確かに現実であり、画面越しではない、確かに自分の目で、これを見ているのだ。
過剰な表現になったかもしれないけれど、僕にとって、そのくらい「甲子園」は神聖さを持った場所だ。プレイヤーにとっては言うまでもなく、激戦を重ね勝ち抜き、選ばれてようやく立てる場所。だが、スタンドも同様だと思う。
虎党の想いを背負って
阪神の試合では、日々のリーグ戦からスタンドは超満員。観に行きたくてもチケットが取れない、という虎党の嘆きをSNSでよく見る。藤川は言った―”その日”しか来られないファンが、この球団には伝統的にいる。僕のようなスケジュールや距離的な事情を差し引くにしても、”その日”しかチケットが巡ってこない虎党が全国に沢山いる。
まして、ポストシーズンだ。はっきり言って、ダメ元で申し込んだ抽選だった。

果たして10月4日、「チケットをご用意しております」のメールを受け取った時は正直、目を疑った。だが同時に、事の重大さに気付く。只の観客としてはいられない重圧が、のしかかる。
「今日、来たくても来られなかった虎党が全国にいる」
「おれは今日、全国の阪神ファンの中の想いを背負ってるんだ」
持っているチケットは只の紙切れなんかじゃない。あまりにその字面が、価値が、重すぎる。でも、やらなくちゃいけない。あえて極端に言うのなら、虎党を代表して今日、球場に来ているのだ。昨夜家を出てきた時に決めた覚悟を、もう一度問う。
それでもおれは、甲子園に行くのか?
それでもおれは、虎が好きでいるのか?

「頑張れ!頑張れ!村上!!!!」
大好きなようである。
点が入らないのはわかっていた
この日の阪神は、
- センター近本光司
- セカンド中野拓夢
- ライト森下翔太
- サード佐藤輝明
- ファースト大山悠輔
- レフト中川勇斗
- キャッチャー坂本誠志郎
- ショート熊谷敬宥
- ピッチャー村上頌樹
対する横浜は、
虎の村神様
ともに今季14勝を挙げ、最多勝のタイトルを分け合ったエース同士の投げ合い。尚のこと、接戦になる、いや「接戦にする」しかない。先に点を与えず、しぶとく1点を取るまで何としても耐えること。「点が入らないのはわかっていた」ってなもんである。
今季、村上が投げて完封したゲームを観ている。村上は他、勝率・奪三振でもタイトルに輝き、投手三冠を手にした。球速は150前後だが、伸びがあり空振りを取れ、且つその球威が終盤になっても衰えない。

また球種も豊富、且つ何といってもそれらを自在に操るコントロール。全ての球種は勝負球にもなり、カウント球にもなる。そうしたら、捕手・坂本が組み立てて、村上が応える。最優秀バッテリーに輝いた2人が、今日もゲームを作る。
結果ゼロなら
……はずだったが、そんな面影を今日の村上からは感じない。スタンドから見ている限りでは「大荒れ」だった。
先頭の蛯名に安打を許す。2番の桑原がすんなりバントに来てくれたが、これを2塁封殺を選択しアウト。3番佐野も打ち取り2死一塁。しかし、ファーストステージ好調だったこともあって、筒香には慎重になったのだろう、四球を与える。いきなりチャンステーマが響く中、牧の痛烈なゴロを熊谷が弾き、オールセーフ。それでも三塁・佐藤輝の好守もあり、山本を抑えて無失点で終える。

2回以降も村上は毎回ピンチを背負った。特に、落ちる系が引っかかったのか、ベース板かなり手前でワンバウンドになるシーンがあった。勝負球が決まらず、ストレートで押そうにも見極められたり、カットされてしまう。好調な相手打線に慎重にならざるを得ないのもあるだろう。
その後も訪れる得点機に、レフトスタンドの、限られたエリアが大いに沸く。少人数ながら、その全員が立ち上がり、気合の入った声援を送っている。……正直、こちら側(特に僕の座席周辺)の空気との違いもあった。3アウト目を辛くも取ってスコアボードを見たとき、
「えっ、結局この回ゼロだったの?」
と思った。
押されてる
対する阪神打線は、全く横浜先発・東にタイミングが合わない。2回に中川が相手失策で出塁するも、結局3回まで打者10人ノーヒット・無得点に終わる。試合が始まっても、まあスタンド(というより僕の座席近く)で色々あったから、びっくりするくらい空気が悪い。こちらは打てないし、向こうには押されている。
4回、森下がヒットを放つと、ようやくスタンドが沸いた。まるで点が入ったかのような大歓声で、僕も「行くしかねえ!」と気合を込めたつもりだ。しかし続くテルはバットが出ず、大山も凡退。無情にも叫びは通じなかった。
すると5回、先頭の桑原が安打で出塁。1死から筒香もライト前にはじき返した。1・2塁。動いていないのはスコアボードだけ、という展開で、またしても耐えなくてはいけない状況になった。
ここで牧―。
前の打席では低めの変化球を振らせ、三振。しかし、その勝負強さは誰もが認める通り。1点でさえ重くなる局面だが、3点入る危険だってある。
エースを信じろ
だが僕に出来ることは、可能性の危惧でも、戦術を練ることでもない。虎党にできる唯一にして、それが大きな役割である、そう心得てきている。
何より。 ここからは、願望でしか野球を観ない。それでいい。そうするべきなのだ。

うちのエース・村上頌樹なら大丈夫。
(頌樹なら大丈夫や!!!!)
大丈夫だった!!
牧を三ゴロ二塁封殺。続く2死1・3塁で、山本に外のカーブを打たせた。三ゴロをテルが捌いて、3アウト。この回もギリギリで耐えた村上は、ここで御役御免。5回103球を要しながら、結局はゼロで切り抜けた。
ワンチャンス
均衡
そろそろ攻めるに転じたい打線は5回、スタメン抜擢の中川がヒットで出塁。これで現地観戦時、5試合ながら打率.462(13-6)*1となった。
ここで藤川は早くも中川に代走・小野寺暖を送る。が、牽制で際どいタイミングになり、リクエストの末辛くもセーフとなるなど、走れそうな雰囲気はなかなかない。となると、坂本の犠打・熊谷が進塁打としぶとく、手堅く走者を進める。
だが、これも実らない。0対0のまま前半戦が終わる。
6回。2番手・及川雅貴が走者を出すも、無失点に抑える。その裏阪神は打順よく、1番・近本から攻撃が始まる。
横浜・東は5回を投げ、60球しか投げていなかった。2安打・四死球0・5奪三振。あまりにエースとして相応しい投球に、ここまでは翻弄されている。
このように、打線が沈黙したり拙攻を繰り返しながら、最後にワンチャンスをものにして勝ったゲームもあった。明らかに「悪い流れ」の中でものにした試合もあった。今年のタイガースは、そういうチームである。
突撃
なので、

「チカ内野安打!!」
願望でしか見ていない、でもきっと何とかなる、そういう自信めいたものが今は持てる。というより、そうあるべきである。
打ち取られたゴロでも、三遊間の深い所に飛べば、チカの足なら悠々セーフだ。そういう自分の個性と、ここで必要な役割、さらに相手のことが分かっているから、こういうバッティングになる。綺麗なヒットである必要は最初からない。
安心と信頼の中野送りバント。こういう場面なら何の異論もないし、こういう場面できっちり決めてくれる安心感が半端ない。1死2塁で森下という、願ってもない好機を迎える。こういうシチュエーションなら、当然バッテリーは相手の中軸に全集中。 ……というシチュエーションだっただけに、
「チカ三盗!!!」
あとのバッテリーの談話で「警戒はしていた」というコメントを見た。しかし、である。6裏同点1死2塁、打者が森下。ここでスタートを切れるだろうか?自信は100%でなければならず、120%でも足りない位だ。少なくともサインで出すにはリスクがありすぎる。
全員で
1死3塁と1死2塁では明らかに状況が違う。犠牲フライでも1点、何なら当たり次第では転がっても1点だ。ずっともどかしい展開だっただけに、(流石に)ボルテージが上がる。(流石に)叩くメガホンの音が大きくなる。
流石にもう、全員がこうだったはずである。
「森下打ってくれ!!」
\カキーン/
近本選手が奇襲の三盗成功!森下選手が期待に応えるセンター先制適時打! #JERAクライマックスシリーズセ #さぁいこう日シリへ #hanshin #虎テレ #阪神タイガース #鼓動を鳴らせ_虎道を進め pic.twitter.com/Kq9ddiZLEU
— 阪神タイガース (@TigersDreamlink) 2025年10月15日
「森下ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
ついにスコアボードが動いた。喉から手が出る程だった1点が、ようやく刻まれる。歓喜の六甲颪を叫ぶ。もう誰にも「うるさいよ」などと言われる筋合いはない。我慢して耐え忍んで、ついに取った点だ。これで嬉しくない虎党がいてたまるか。
もう1点
さらにテルがヒットで1・3塁と攻める。続く大山は三ゴロで凡退。ここで三走・森下が挟まれ時間を稼ぎ、その間にテルが果敢に隙を突いて三塁へ到達したのがよかった。
「流れ」は失っていない。
\カキーン/
6回裏、チャンスを掴んだ小野寺選手がライト前タイムリーヒットで追加点! #JERAクライマックスシリーズセ #さぁいこう日シリへ #hanshin #虎テレ #阪神タイガース #鼓動を鳴らせ_虎道を進め pic.twitter.com/MZ4tyYkI5d
— 阪神タイガース (@TigersDreamlink) 2025年10月15日
「小野寺あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
あまりに大きすぎる「もう1点」を、小野寺暖のバットが叩き出した。情熱と根性で、外の球にしぶとく合わせライト前に落とす。
この小野寺、1軍のシーズン中は打点が無かった。この大一番でやってくれるとは、まさしく気合と度胸を体現している。なお代走の途中出場から回って来た打席で、この1打席のみで試合終盤では守備固めを送られベンチに退いている。冷静に考えれば代走起用も「?」となるが、コメントにあるように華麗過ぎる伏線回収である。
ちなみに試合後、小野寺はこう答えている。
「今日も凄い歓声だったんですけど、2軍の時からずっと応援してくれるファンの方がいて、その人たちに良い姿を見せられたんじゃないかなって思います」
絶対泣かせに行ってるやん。
決着
圧倒的・超偉大
2点リード。僅差なことには変わりないが、こういうゲームばかりをして、それで勝ってきた。あとは、
「及川雅貴、及川雅貴!」
「石井大智、石井大智!」
2人なら大丈夫だ。
安心してはいけないが「安心感」はある。そのくらい、圧倒的に今年は圧倒的及川雅貴であり、超絶偉大石井大智だったのである。2人なら大丈夫だ。
安心・安定のしんどさ
まあ良くも悪くも、シーズン通りの、阪神らしい野球をしてくれたものである。
体感的にはこちらが押され気味で、序盤はピンチの連続。ヒット数はこちらが6本に対し、向こうは8本で、四球も出している。「点さえやらなければ」は確かにそうだが、それでも押され気味のところをギリギリ踏みとどまる。こちらの打線は好投手の前に沈黙しながら、巡って来たワンチャンスをしっかりとものにし、さらに隙を見せず1つ先のベースに進み、大きすぎる「もう1点」を取った。
最後は、

「岩崎優、岩崎優!」
いつも通り岩崎が抑える。最後はファウルフライを熊谷が好捕し、3アウト目をがっちりと掴んだ。
結果は2-0。
言うなれば、阪神らしい「安定のしんどい」ゲームを、見事勝ち切った。
やりましたよ!!!
— トモヒロ(シラユキコジロー) (@tomo16tsurage) 2025年10月15日
とらほー!!!!!!!!! pic.twitter.com/GOisJyi1N7
2.ホーム・甲子園
それにしても、甲子園では色々あった。
どこでも自分の「できること」「すべきこと」をやる
先日の配信で「離脱も過った」ということをお話しした。上述のように、この日は「全国の虎党を代表した」「来たくても来れなかった虎党がいる」ことを自覚し、覚悟の上で臨んだ一戦だった。
文化の違いは仕方ない
それは他ならない自身の”エゴ”に過ぎないけれど、そういう虎党の為にも今は「最後のアウトまで出来ることをする」ことが義務とすら思っている。自分自身が「最後まで見たい」というのは当然あるにしても、上のことを思えば、中途半端な真似はできない。
だが、応援席にいながら、途中までは野球にすら集中できないような空気も感じた。確かに後述の通り文化の違いがあって、僕が「郷に従う」べき面はあった。それでも同じ虎党として、やはり「それは違うのでは?」と感じることは少なくなかった。
昨今言われているような、甲子園とビジターのスタンドの雰囲気の違いは、僕も話には聞いている。中継やyoutubeなんかを見ていても感じるところだ。

僕がよく神宮や東京ドーム*2へ行っていたから、というのはあるが、どちらの言い分*3だって理解できる。「立とうぜ!」っていう声は上がっていて、僕も賛同はしている。けれども、根付いた文化である以上、余所者がその場の空気に抗うことはできない。
応援歌だって、6回のチャンスのような声量は出せない(自分もペース配分をミスってしょっちゅうバテてしまう)のは仕方ない。まあ……同志が多かったらそれは幸運なことだと思う。
せめて試合は見よう
でもまず大前提として、試合は見て欲しい。どちらを応援するとかは抜きに、まず野球を観るという目的で、今日野球場に来たのではないのか。
これだけの人がいて、密集して、そりゃあ生まれも育ちも違うし、年齢も違うし、座席によっては他球団ファン同士が隣り合うことにもなるだろう。が、まず本分は野球の試合であるべきで、僕たちは同じボールを追いかけて、選手のプレーに一喜一憂しているはず。それを見て欲しいし、それを見ることを妨げてはならないと思う。僕もインスタに投稿している通り、飯も食うし、球場で呑むビールって最高にうまいから、わかる。人によってはそっちの方が目的になる人もいるかもしれないけど、あくまでもここは野球場で、主目的は野球の試合。そうあるべきなのだ。
一緒にとらほーがしたいだけだ
特に甲子園のライトスタンド=阪神専用応援席は、虎党がタイガースを応援する場所として設けられたはずだ。応援歌を歌うことも、攻撃で立つか座るかも、それぞれの文化ならば仕方あるまい。
だが、同じ虎党を名乗るなら、チャンスで「あと1本打ってくれ」と祈り、得点して喜び、ピンチを迎えて「抑えてくれ」と祈り、抑えて喜び、勝って六甲颪を合唱したいという願いだけは、許されて然るべきだ。

タイガースの勝利を共に願い、共に喜ぶという目的があるなら、野球以外のことで喧嘩してる暇なんかない。まだ「○○がミスした」「采配がどうのこうの」で言うならわかる。けど、「野球以外のことで」「虎党同士が」「試合中に」「甲子園ライトスタンドで」揉めているのを見ると、こう思ってしまう。……いやまあ、何なら球場周辺とかでやってるのも聞くし、電車内でも見てしまったんだけど。とにかく。
「そんな場合ちゃうやろ、おれら全員で勝たなあかんねん!」
もっとも球場がどこだったとしても、他人のことはコントロールできないし、自分の価値観だって押し付けていいものじゃない。あくまでも僕がその場でできることをする、これが出来なかった時に後悔が残るのだ。
やはりここがホームだ
それでも試合が進むにつれて、再三ピンチを凌ぎ、チャンスでボルテージが上がり、得点した時に共有した喜びは、素晴らしい瞬間だった。やはり散々地獄だ戦場だと言いながら、それでも球場に来ることの喜びはこれだ。
ちょうど隣に家族で来ていた、地元民と思しきお姉さんがいて、何か色々あってビールを奢ってもらい、乾杯した。のぼるのことも可愛がってもらい嬉しかった。一生懸命声を出していたので何度も来ているベテランなのかと思った、と言うから、新潟に住んでてまだ甲子園は生涯2回目のクソにわかです、と答えて驚かれた。
「新潟!?遠すぎん!?どうやって来たん?」
「夜行バスで……でも阪神の為なんで(キリッ)」
「なんで新潟にいて阪神好きなん?」
「魂はこっち(西宮)にあるんで」(キリッ)(2回目)
「ならもう移住しいや!サンテレビ映るで!しかも仕事帰りに観に来れるやんか!」
「うわあだいぶ魅力的っすね……皆さん温かい*4ですし、ここは阪神が生活の一部みたいになってていいです」
「ほなもう1杯いっとこか?」
「いや、普段飲んでも1杯だけなんで笑笑」
「いやいや、今普段ちゃうやんか!!爆笑」
また、8裏の攻撃だったかな。
「立ちましょう!」
さらに隣にいたお兄さんに声をかけてもらった。
甲子園のライトスタンドは上述のような状況だが、最上段と、僕のいた「31段」は例外らしかった。というのも、31段はちょうど下段と上段の境目に位置しており、後ろは通路になっていて、柵が設けられていた。32段とは距離があるので、構造上立ち上がっても邪魔にならない、というわけだ。もっとも、立ち上がるか否かはその場の空気次第、みたいなところがあるが……。

とにかく、涙が出そうだった。
僕にとっては2025シーズンの現地最終戦で、結果的にそのイニングが最後の攻撃になったわけである。得点にはならなかったけど、全身全霊を込めてタイガースの為に叫んだ1イニングは、凄く良い時間だった。
ビジターファンはかっこいい
それにしても今回、横浜ファンは敵ながら「かっこいい」と思った。
チャンステーマや個別の応援歌が好きなのもある。しかし、何よりそう思うのは、今日この圧倒的アウェーであろう甲子園で、必死に声を届けるファンの姿だった。その一角で確かに「青」を主調し、そのチームのファンであることを誇り、声を枯らす。世界は変えられる、おれたちが変える―その確固たる意思である。勿論、応援席は全員総立ちだ。最終回も誰一人として諦めることなく、応援し続けていた。
先のハマスタでも、ウィングの讀賣ファンに対し、かっこいいと思った。色々と問題になったけど、讀賣ファンの声は中継越しにも凄まじかったし、それこそ「できること」を全うしていたのではないだろうか。
甲子園は少し事情は違うものの、”ビジター用応援席”はレフトのあの一角にしかない。2013年~19年あたりの広島のような事例は可能な席配置でこそあるが、大抵の場合は三塁内野でも黄色一色―ほぼ虎党である。
この辺りの事情については、僕から言えることは特にない。強いて言うなら、甲子園はビジター席拡充の気配があり、非常に良いと思う。どこの球場でも、野球はどちらがホームでアウェーで、というよりも、どちらの応援もあってこそ盛り上がると思う。それこそ、東京ドームでビジターレフト全開放だった時の伝統の一戦は、(まあ勝敗はさておき)バチバチしていて見ていて楽しかった。
それと、少数精鋭で、完全アウェーともいえる状況の中、必死に各々の贔屓球団に声を届ける姿には、心から敬意を表したい。日本シリーズのホークスファンに対してもだし、甲子園に来てくれたビジターチームのファン全てに、かっこよかったです、と伝えたい。
3.何度でも言います、我々がリーグチャンピオンです
「阪神優勝」の価値は絶対不変
阪神は翌16日の第2戦、延長までもつれる死闘を森下の一発で制し、続く17日の第3戦ではテルの先制3ランと遥人の快投で勝利。 見事クライマックス・ファイナルステージを制し、セ・リーグ覇者の誇りを胸に、日本シリーズに乗り込むことができた。
虎党にしてみれば、どう考えても今年は「素晴らしい」「良い」一年だった。そうであるはずだ。

今この文章は、2025のプロ野球全日程終了後―10月30日の第5戦で2対3で敗れ、福岡ソフトバンクホークスの日本一を見届けてから、約1週間後に書いている。
日本一になろうが最下位になろうが、野球が終われば一気に寂しく、寒い冬が来るのは等しく逃れられない。それはそうと、この日本シリーズに至るまで贔屓球団の勝利を願い、その雄姿を見ることができたのは、非常にありがたいことだ。それに藤川はしきりに「まずは優勝の報告を」と唱えているが、
「阪神優勝」
これにあまりに尊い価値があるからだ。
この四文字は、ずっと追いかけてきながら手が届かなかった、あまりに欲しかった、尊い、価値のあるもの。虎党の皆様が一番よくわかっているだろう。これが消えることは、ない。しっかりと来年3月には甲子園球場に黄色の「V 2025」が刻まれるのだ。億が一にもこの事実を忘れる虎党が(いないと思うけど)いないように、何回も言う。
2025年、阪神タイガースは優勝しました。我々がリーグチャンピオンです。
タフな試合ばかりだった
CSは星勘定だけで言うと3勝無敗。だが、とてもそうは思えない、終始押され気味の展開だったような気がする。
横浜には今年も、重量打線*5と東・ケイ*6・ジャクソンといった好投手に大変苦しめられた。選手・コーチ・監督と横浜一筋を貫き、低迷期から今日に至るまでチームを引っ張った三浦大輔に、心から「お疲れ様でした」と申し上げる。
もうチームごと宇宙へ行け、無敵の若鷹軍団
あの戦いに関して言えるのは「相手が強かった」、もっと言うと「意味不明」「理解不能」「狂ってる」「常軌を逸脱」などが挙がるが、そんな感想だ。第5戦の柳田悠岐の同点2ランは言うまでもなくそうである。普通なら三塁ファウルになるはずのコース・球威、且つ打者の反応だ。
つまり虎としては、全てやることを尽くした。結果、全て上回られて負けた。たったそれだけだ。
無敵の若鷹軍団ホークス、おめでとうございます。全員世界を越えて宇宙へ行け。実質世界一()のウチに勝ったんだから、もう地球すら出るべきである。あれだけ大型補強をしながら、実質は次々と生え抜きが育つ*7のだから、本当に凄いとしか言いようがない。
虎党として、やきう民として
僕自身は上述の通り、この試合で2025年の現地観戦が球団問わず終了。阪神は新潟開催があったことで、1・2軍を合わせて4試合3勝1分。オイシックスと合わせると、実に32試合も「やきうの時間」を過ごせたことになる。
どのくらい贔屓球団の背中を後押しできたかわからないが、できることは全うした、という自負がある。同時に、虎党やオイシックスサポーターと、沢山の喜びを共有できた。今回もそうだが、1人で行ったとしても、周りの人たちに温かく迎え入れてもらい、楽しく・熱く応援出来たことは思い出になった。
野球場での現地観戦が素晴らしい思い出になるのは、選手の頑張りも必要だ。ただ、周りで応援するファンにも大いに恵まれた。これから自分も、隣の見知らぬやきう民にとって、良い思い出の一助になれるよう、お互いにできることをしていきたいな、と思う。

「輝く我が名ぞ 阪神タイガース」
100周年・200周年を迎えても、そう誇れるように。
4.おまけ
インスタ
もう1つ超大事なあれ
そして能登嵩都さん、絶対に優勝しましょう。
*1:ちなみに1本塁打・4打点。なお1軍戦だと8打数4安打。今年の1軍戦は全て左投手が先発だったこともあり、機会が増加したと言える。
*2:と言っても僕自身はそもそも外野席が取れずに内野に落ち着くことが大多数だから、結局は座っていることになるのだが。
*3:「座る」派のコメントとして「椅子があるのに何故座らないのか」というものがあった。なるほど、確かに椅子は座るものだが、正直あの席間隔だとすぐ前の方に膝が当たってしまうから「立った方が安全じゃないか?」と思ってしまった。
*4:ちなみに僕は飲んでいたビールを溢してしまい、周囲の人にウェットティッシュやら何やらをお恵み頂いたり手伝っていただきました。周囲の皆様、改めて大変ご迷惑をおかけしました……。
*5:その筆頭に「4番サード筒香」がいたことが、彼の守備の安定感も含めてよくわからない。
*6:レギュラーシーズンでは8試合に先発し、防御率0.85と完全に封じられている。一方、救援陣の炎上やムエンゴに泣かされ、勝敗は1勝2敗となっている。
*7:柳田・今宮・牧原・周東は言うまでもなく、他にも第5戦の決勝弾を打った野村勇、日本シリーズ全試合3番を打った柳町達、CSで活躍した川瀬晃、正捕手となった海野隆司。投手では第5戦で好投の大津亮介、セットアッパーの松本裕樹、守護神・杉山一樹がいる。