試験が終わったので、旅に出ることにした。

0.序
その1ヶ月くらい前。Twitter上でこんなアンケートを取ってみた。
来月試験終わったらもういっそ旅に出ます!東京からどっちに向かえば
— トモヒロ(シラユキコジロー) (@tomo16tsurage) 2026年1月14日
お察しの通り、最近観たアニメの影響を大きく受けている。
何なら、最近は仕事もあれ、私生活もあれ、天候もあれで、非常にあれだった点もあれだった(←????)。まあ、僕は自称乗り鉄であるくらいには一応「外出」への欲求はあることと、宿は二週間前くらいに押さえて出かけたことは、異なるといえそうか。比べなくていいです。
しかしこう、もっと僕らは「雑」に、気軽に旅に出るべきだった。確かに鈴ヶ森ちかには、金と時間の余裕こそあったかもしれない。しかし多分、そうではない。そういうことではないのである。
ということで。

「マスコロ、旅に出r
「遅い」
はい。
1.新宿~錦糸町~千葉~木更津/総武線・内房線など
試験(と都内徘徊)
というわけで午前中の試験を終えた僕は、新宿駅から旅をスタート。

もっとも、夜行バスを降りてから、時間があるからと新駅回収をしに丸の内線や井の頭線に乗り、久しぶりに乗る中央線の233や通過する353にノスタルジーを感じ、なぜか都庁を見に行くなど、余裕な振る舞いをしている。いや、むしろ「既に旅は始まっているのだ」とでも言うかのようである。どちらが本番なのか、何をしに来ているのか。そもそも勉強はしたのだろうか。



ちなみに肝心の試験*1だが、普通にできた。
朝井リョウさんの学生時代よろしく「試験内容は全然分からなかったのだ。何これー!!である。ナニコレ珍百景である」*2と言いたいところだったが、残念ながら(?)試験内容は普通に分かった。流石に大学で国文学を4年やった身である。これでわからないわからない、などと嘆いているようでは、もはや卒業証書を返納したほうがいいだろう。もっとも合否の自信はない。こんな余裕をかました結果、落第どころか0点でしたとか受験級を間違えてました、みたいなオチがついたら、かえって「戯れ」としては良いのかもしれない。
新宿(11:59発)~御茶ノ水~錦糸町~千葉(12:55着)/中央線快速・中央総武線各停・総武線快速
前置きが長くなったが、中央線快速を御茶ノ水まで乗り、黄色い各駅停車のE231に乗り換え。錦糸町からは総武線の快速で、千葉を目指す。



この日は天候にも恵まれた。何なら暑いくらいで、冬用のコートやオーバーパンツは勿論のこと、パーカーですら早々にお荷物と化した。つくづくこの太平洋側の気候とやらが妬ましい限りである。快晴の下、高層マンションやショッピングモール、鉄橋、高速道路……それらの風景を、スカレンジは爆走して過ぎていく。
意外と空腹にならないので、千葉まで乗りとおし、すぐに乗り換えることにした。
千葉(13:00発)→木更津(13:38着)/内房線
ちょうど次の乗り換え地点である、木更津行きの209系が停まっている。


「戦ってきたんだなあ……」 (しみじみ)
家にあるPC版の電車でGO!では、この209系は水色の電車―京浜東北線として走っている。ちょうど乗車した車両は僕より3歳年上。前面の塗装を見ていても、まあ、そう思わずにはいられなかった。……誰か塗ってあげてほしい。
内房線は蘇我~安房鴨川を結ぶ路線。だがダイヤを見る限り、この列車のように千葉始発が多いようだ。千葉から1駅分は外房線を走行し、次の蘇我で分岐。房総半島の東京湾側へと進んでいく。
ここからはゲーム上は勿論、生涯でも未踏区間。早速、浜野、八幡宿と赤新駅を獲得。また京成千原線の学園前、おゆみ野、ちはら台はレーダーで獲得可能だ。……えっ、そんなのは邪道?ありがとうございます。僕はタテジマを着て*3おきながら、その心はとってもヨコシマな人間であるから、そういう手法は大好きである。黙りますすみませんでした。


小湊鉄道の乗換駅である五井に到着。……と、そのホームや車庫はどこかで時を止めているかのように見えた。キハ40の姿もあった。令和のいま、平成よりも前であるかのような、そんな光景である。Youtubeやテレビでも、この路線のことを聞いているから、必ず乗りに来ると決めている。
工場らが並ぶ風景を過ぎ、袖ケ浦を出発すると、アクアラインの高架を潜る。
内房線といえば、「さざなみ」という特急が館山まで走っている線区だ。ところが調べてみると、時刻表に全く表記がない。廃止になったのかと思ったが、一応下りは平日夜に数本、上りは朝に数本設定があった。といっても、区間は君津までで、完全に通勤特急としての立ち位置になったのだろう。土休日は新宿~館山間で「新宿さざなみ」が運転されるが、1往復(まれに2往復?)するだけである。



いつから、どうしてこうなったのか?と思ったが、youtubeを見ていてもやはり、この高速道路の開通、それに伴う利用者の減少を指摘する声が多かった。アクアラインの開通は1997年12月のこと*4。翌1998年には「房総夏ダイヤ」が廃止、その後2015年3月のダイヤ改正で、特急の区間縮小がなされたらしい*5。利用者側からして、果たしてこれがどのような効果があったのかはわからないが、とにかく高速道路や高速バスの発展が、鉄道、特に特急に打撃を与えることは想像に難くない。
そんな憎きアクアライン(?)の下を潜ったら、木更津はもうすぐだ。
木更津
ちょうど空腹なので、昼飯にする。
乗り換えの列車はほぼ1時間に1本で、最速が14時ちょうど。今考えるとコンビニで何か買って、車内で食ってもよかったかもしれないが、ともあれその次の15時の列車まで待つことにした。



気分が牛丼だったので、吉野家にした。安定にうまかった。そしてこの店舗はコンセントがあるし、なんなら持参しなくてもケーブルが備え付けてある。神なのだろうか。
列車待ちの間、近隣をうろついてみる。
後で気付いた話、ここは狸ばやしで有名な證誠寺(しょうじょうじ)がある。それも駅から徒歩で行けるらしいので、ミスったと思った。ふと気が付くと、地元の観光地や商店・ダイヤグラム・分岐器速度制限などが十分に把握できていないまま漫然と観光しているため、どんどん行程に遅延が発生。うーん、まあいいか。それに再訪の理由が一つできたではないか。
などと考え……てはいなかったが、歩いていると、

神社を見つけた。
この辺り一帯はかつて八剱(やつるぎ)と呼ばれていたそうだ。やがて、日本武尊の一行が浦賀沖からこの地に渡ろうとして暴風雨に遭い、それを鎮めるために入水した姫を悼んで、日本武尊はこの地に留まった。そのことにちなみ「君去らず」から「きさらづ」と呼ばれるようになったらしい。その後頼朝公が鎌倉幕府の開府にあたって、社殿を造営。大坂の陣で多くの船頭が徳川方のもとで大きな働きをして、この神社の御利益のおかげだといって、宮司に贈り物をしたこともあったんだとか。現在では海やこの地一帯の守護神として崇められていて、つまり相当、やばい。
また、この神社は日本の「聖地」を結ぶ光の道・「レイライン」というものの線上にあるそうだ。日本では、千葉県の玉前神社*6から、島根・出雲大社まで、春分と秋分の日に、太平洋から昇る日が一直線に貫くという。このライン上には、元伊勢や富士山頂も並んでいて、当神社も縁起が良いとされる「八」の数字を二つ有していることから、パワースポットとして注目されているそうだ。
つまり、



相当、やばい。
そんな有難いこの地の神様にご挨拶して、駅に戻った。
2.木更津⇄久留里/久留里線
木更津(15:00発)→久留里(15:54着)
ホームに降りてみると、


ご丁寧に「E130」と前面に自己紹介をしてくれている、2両編成の気動車が停車中。
単線・非電化。とっても浪漫溢れる響きだが、関東のJR線としては珍しく*7感じる。酒のつまみに良さそうな風景が広がっていそうだが、眠くなりそうだったのでやめた。調べてみるとこの100番台にはトイレが設置されていないらしいので、結果的にちょうどよかったか。
15時ちょうど。甲高い叫び声と共に、列車は動き出した。
木更津を出て内房線と分岐すると、列車は右へカーブ。次の祇園にさしかかるころ、車窓には既に、開けた風景が映し出されていた。



「良い……」
語彙力は試験で使い果たしてしまった。元々持ってこなかったし、持っていないとも言える。
窓ガラス越しに車窓を撮ってみたら、より一層空が青、というか青が青い。もはや空でも畑でもなく、青。肉眼ではもう少し何というか、暖かい春の色があったように思う。
快晴の下、田畑をゆく2両編成の気動車。なおも甲高く叫びながら、風景に溶け込むように、並走する車のドライバーに珍しそうな(?)視線を向けられながら、架線のない一本の線路上を走っていく。



憎き(?)館山自動車道の高架をくぐり、横田で上り列車と行き違いをした後、それまで開けた田園と青空だった車窓には、小高い山が近づいてくる。確かトンネルはなかったはず*8だが、徐々に標高は上がっているようだ。スピード感も少しゆっくりになっただろうか。
ううむ、とても良い。旅情、とは何ぞやと今でもよく分からずにいるが、この風景は多分それを含んでいると思う。45分ほどの乗車時間は、のんびりしていて、なのにあっという間に過ぎて、

終点・久留里に到着。
久留里
久留里は水が美味しいらしい。駅前の上総地域交流センターの駐車場脇には、湧き水が汲める場所がある。結構水量も多く、絶えず流れ出ている。ちょうど水筒が空だったので、

飲んでみた。かなりうまかった。
「平成の名水百選」に選定された水は、縄文時代からの水を含んでいるそう。地下450~650mから絶えず流れる湧き水。つまり相当、やばい。違いを説明しろと言われても無理だが、確かに美味しかった。
こういう水があると、

美味い酒もある、と思われる。
駅前の交流センターの隣には、日本酒ミュージアムがある。ここは試飲も可能らしい。列車待ちは言うて50分。近隣のカフェでスイーツにするか、神社まで行ってみるか、どれか1つだなあ、と思案した結果、酒になった。
ではいただくとするk
「試飲は16時までなんです……」
(うそだろお~??)
先にいたお客さん2人組との会話が聞こえてしまう。まあ仕方あるまい。切り替えてうろつくとするk
「近くの酒造さんで、17時まで試飲できるそうですg」
(マスコロ行くよ)
(早く行くよ)
会話が聞こえた瞬間にほぼロケットスタートを切っていたと思う。盗み聞きという何とも卑怯な真似をして申し訳ないが、酒には代えられない。親切な案内に感謝申し上げる。
というわけで改めて、近くの酒屋さんにやってきた。

「嗚呼……」
純米酒とりんごのお酒を呑んでみた。かなりうまかった。
まさに福を祝うという感じの、豊かな米の味わいである。一方のりんご酒も、豊かなりんごの味わいがする。既に酔っているが、酔っていなくても多分これしか言えない。だが確実に言える。これらのお酒はつまり、相当、やばい。
遠慮していたがお店の方から勧められたので、酒瓶も撮らせていただいた。お子さんにも癒されて良い時間になった。本来なら試飲させていただいたからには何か買うべきなのだが、
(……デカい瓶しかねえ)
呑み切れそうなワンカップや一合、二合の類が置いていない。これまで家呑み用に何度か日本酒は買っているが、四合瓶や一升瓶は買ったことがないのだ。結局何も買わずに出てきてしまったが、是非また呑みたい。
ちなみに、どうやら久留里では新酒飲み比べの会?なるものが毎年春に行われるらしい。近くには酒造がもう1件ある。酒と離れるが、カフェが数件あり、湧き水も数か所あるようだ。水の豊富さ、且つその清らかさが、この地を支えているといえる。
久留里(16:44発)→木更津(17:38着)
良い気分になって、あっという間に帰りの列車の時間。



行きで乗ってきたキハE130が、そのまま帰りの列車に充当されるようだ。
この駅も終着駅らしい雰囲気を持っているが、路線自体はここより3駅先・上総亀山まで伸びている。亀山湖と山に阻まれるように終わる、所謂「盲腸線」。本来なら終点まで行くべきところだが、日中亀山まで行く列車はほぼなく、行程が合わないので泣く泣く見送った。ところが、
件の知らせが舞い込んできたのは、出発の数日前。ここから先の区間は、なんと廃線が決定してしまった。亀山のダムや温泉なども気になっていたところだが、ここから先に列車で訪れることは……おそらくできないだろう。ちなみにそんな先の3駅は、レーダーで獲った。実にヨコシマなプレイである。
酒と水の余韻に浸りつつ、若干の後悔を残しながら、帰りの列車に乗る。しかし、


とても良い。
甲高い咆哮を上げて、キハE130は走り出す。夕日に照らされて、風景が煌めいている。走る列車のリズムに合わせ、おれの心も揺れている、ってなもんである。単線非電化のローカル線、これ以上ないシチュエーションだが、缶ビールやアルコールがないのが惜しい。だが、駅ナカの自販で買ったジュースも美味いし、何より汲んできた水が美味い。
すっかり気分がよくなって、途中で寝ていたらしい。気付くと終点・木更津が迫っている。名残惜しいが、良い風景・美味い水に酒に出会わせてくれた久留里線に感謝して、我々は気動車を降りた。
今日は木更津に泊まることにしている。日は落ちてしまったが、夕焼けの余韻が残る海へと歩いていく。
「マスコロよ」
思ったことを呟いてみた。

「旅って良いよな」
「気付くのが遅い&過去1まとめが雑」
はい。
3.次回予告&おまけ
経路
- 新宿(11:59発)→御茶ノ水(12:07着)/中央線快速
- 御茶ノ水(12:11発)→錦糸町(12:19着)/中央・総武線各駅停車
- 錦糸町(12:24発)→千葉(12:55着)/総武線快速
- 千葉(13:00発)→木更津(13:38着)/内房線各駅停車
- 木更津(15:00発)→久留里(15:44着)/久留里線各駅停車
- 久留里(16:44発)→木更津(17:38着)/同上
インスタ
おまけ
影響を受けたアニメ
お察しの通りこちら。
次回予告
2日目。我々は美味いもの・綺麗な海を求め、赤新駅の宝庫・房総半島を周る。そしてここにはもう一つ、乗ってみたかった列車があるのだった。
*1:漢検の協会がやっている「文章読解・作成能力検定」。個人受験はオンライン受験ができず、会場は東京23区・名古屋・大阪のみだった。
*2:参考;朝井リョウ『学生時代にやらなくていい20のこと」(文藝春秋・2012年)
*3:といっても正確にはホームはおろかレプリカを一着も持っていないので、正確にはタテジマを着ていない。にわか、と呼んでいただいて結構だが、球場でもビジター、ブラックダイナマイト、ウル虎、イエローメッシュ(FC記念品)……等、縞になっていないユニは一定数ある。これ何の話???
*4:参考→東京湾アクアラインについて | 東京湾アクアライン裏側探検
*5:ソースはwiki。
*6:「たまさき」神社。最寄り駅の上総一ノ宮も、由来はこの神社であろうか。→上総一之宮 玉前神社
*7:千葉県内のJR線ではここだけ。ソースはwiki(2回目)。
*8:路線全体では、上総松丘ー上総亀山の間に2か所のみ存在するらしい。