今年も新潟に、この時間がやってきた。

1.息吹く世界、高まる鼓動、飛ぶ外敵
晴れた!
青空が広がった!
鉛色の分厚い雲は消え、遮られていた日光が越後平野を照らす。白い塊の下敷きになっていた大地が姿を現し、色彩を帯びる。白鳥がいなくなったのは寂しい。だが、まさに生命が息吹き、始まるのをようやく実感する、と言ってもいい。空を仰ぎ見て、深呼吸し、勇み足で歩く。気分は間違いなく、アガっている。
今年もこの場所に来た。今年もこの時間を始めよう。深く深呼吸をしたら、このツイートと共に、止まっていた時計の針を再び動かすように……。

「やき………」
ヴえっくzししゅおぃんンッッ!!!!!!!
「うの時間だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「ツイ廃兼暫定3季連続無安打中のやきう民うるさいしきたないよ」
はい。
……なんか多いけど、しかし自分でも思う。これでは芸術点0である。
これを「球春」と言えば聞こえはいいが、ただの「春」は何なら冬以上に僕が嫌いな季節である。何度か触れたかもしれないが、ここにあるのは年度終わりの切羽詰まる感覚や、年度始まりの緊張と不安、そして一見は空の青と同じように澄み切っていそうな空気中にいる、天敵。尤もあまりに酷いときには空の色すら濁って見えるし、鼻から息を吸ったときにも悟る。粉だか砂だかはわからないが、ともかく僕に仇をなす敵がここにはいる。
この数日前から新潟は強風に見舞われた。余計に「外敵」が飛んでいる。おかげでマスクは外せそうにない。
天候がよく、気温も上がったものの、スポーツをやる上で良いコンディションではなかっただろう。職場でも屋外施設のキャンセルが数件あった。当然、野球も大変だろうなあ、何なら試合できないんちゃうか?……なんて危惧も、一球速報を追いかけながらしていたが、
試合終了
— オイシックス新潟アルビレックスBC【公式】 (@Albi_BC_PR) 2025年3月22日
オイシックス5-4日本ハム
先発能登選手7回1失点👏✨
代打髙山選手が勝ち越しタイムリー✨✨
最後は守護神上村選手が抑え、ホーム開幕勝利👏✨✨
勝利の合言葉いきます!
せーのっっ!!
/ #がたほー !!✨✨
\#オイシックス新潟アルビレックスBC pic.twitter.com/swM46S9R7E
今年のエコスタは、見事「がたほー」で始まった。
2.野球場、それは夢の空間で楽園で地獄
というわけで、3月23日がやってきた。
「引き返す」なら開幕前に
イースタンリーグは既に3月15日に開幕し、オイシックスは1中止があったものの、昨日を含めて5戦を戦っている。厳密に言うと、「引き返すなら」3月14日だった。だが、引き返さなかった。もっともそうしようと思えば、僕の初観戦となるこの日の前日でも間に合ったのかもしれないけれど、
ゲートをくぐったら、もう後戻りはできない

どっちにしろここまで来てしまったから、無理である。
現地民にとって、ゲートをくぐって通路を抜けて、まるで光の中から現れるようにグラウンドが見えた瞬間っていうのは、最高に興奮するものだと思う。つい三週間前には雪が覆っていた人工芝も、ようやく長い冬が明けた。待ち望んでいた春が来た、やっと野球が観れる!!そんな興奮。
だが、あのゲートをくぐった瞬間に始まって思わずツイートしちゃう「やきうの時間」とやらが、果たして我々をどのくらい喜ばせ、感動や楽しさ―見返りを与えるのだろうか。
それでもやきう民よ、やきう民をやるのか?
こと新潟球団では実を言うとそんなにないのだが、それこそ他に特定の「贔屓球団」を持つ者としては、応援するチームに抱くのは喜びより、鬱憤、失望、怒り……そういう類のものだったりする。ほんで、程なくして「二度と応援せんわこんなク〇球団」と言って、翌日にしっかりとスポナビ速報を見る。そんな日々を、かれこれ10年以上繰り返している。
去年の冬に投稿した「長文を読んだ」とサポーターの方に声をかけていただいた。とても嬉しい。あの情熱で卒論も書いてほしかったのはさておいて、こと「ちな○○」と名乗って特定の球団を贔屓されるやきう民の皆様には、繰り返しお伝え申しあげる。あのゲート、地獄の入り口かもしれません。引き返せないかもしれません。でも、本当にその先に行きますか?
……っていうのは、youtuber「えとーちゃんねる」が2024年開幕前に言っていた内容*1だ。同じ虎党だから余計に響いたのかもしれないが、球団関係なく「どこかを贔屓する全やきう民」、えとーちゃんねるの動画を見てほしい。新潟サポーターとハヤテファンの皆様には遅れてしまったが、届けば幸いである。そして覚悟するのだ。何ならギャンブルより依存性が高く、コストパフォーマンスも悪いかもしれない娯楽……。
それでもあなたは、おれは、「やきうの時間」を始め、続けるのか?

続けるようである。
このチーム、いける。
そんなこんなで、昨年はホーム最終戦の相手であった北海道日本ハムと対戦。スターティングメンバ―は、
(※は新加入)
主に昨季は上位打線で外野を守っていた藤原を9番・遊撃に据え、二塁だった園部を三塁へ、三塁だった小西は一塁へ、打順も入れ替えて……と、随分と印象が違って見える。捕手は開幕スタメンから大卒ルーキー・中澤を、4番には新戦力・大川を抜擢。捕手・中澤は、片山・片野に加え、新加入の山田和という、4人体制を敷く中での抜擢となった。また攻撃面では昨季までの主砲・小池智也が引退し、当然ながら新4番・大川にかかる期待は大きくなる。
苦手のビジターで勝った
先述の通り、既に5試合を戦い、2勝3敗で今日を迎えている。1個負け越しがあるのに、やはりその「2勝」が意味するところが大きく、少なくとも僕の近くでは「いける!」というムードが漂っていたように感じる。
ベルーナでの開幕戦、昨季はわずか8勝と苦手としたビジターゲームで、完封勝ち。ホーム開幕となった昨日は、(まあ色々あったものの)投打に持ち味を発揮して1点差で勝利。いずれの試合も開幕投手・能登嵩都が見事に大役を果たしてみせた。他、3戦目(vsロッテ)の薮田和樹もきっちりとゲームメイクをしたし、リリーフでは新加入の日渡柊太や、先発から転向した目黒宏也も好投した。

そうなると、早めの先制点と、中盤の追加点がほしいわけだが……。
??「これが今年のオイシックスだー!!」(クソデカボイス)
「先頭陽岱鋼四球!」
「知念ヒット!」
「園部タイムリーヒット!!」
昨日同様、幸先よく初回に先制。打順予想*2、ならびに初安打予想*3をいずれも砕いてくれた1番の陽は、この日2度の出塁がいずれも得点につながった。
とはいえ、無死のまま先制できただけに、その後の好機ではもう1点欲しかったところ、4・5・6番といずれも凡退。以降は立て直した日ハム先発・畔柳亨丞を打ちあぐねると、3回には長打を許し同点とされる。
しかし5回。日ハム・有薗の痛烈な打球をセンター知念の好守備で凌いだ、その裏の攻撃。
「陽と知念で無死1・2塁!!」
「園部バント!!」
「大川タイムリーで勝ち越し!!!!」
「高山タイムリーで3点目!!!!」
好調の3番園部に犠打を指示し、今日2三振の大川に好機を託す采配が的中。高山も続き、リードを2点に拡大。
さらに、
「先発牧野6回1失点でQS達成!!」
辛口でおなじみエコスタのスピードガンが148kmを表示した正確性はさておき、昨季と比べ明らかに直球の威力が上がっていないだろうか?140を計測するボールが多く、打者は直球に刺され、かと思えば130前後のスライダー?に、110くらいのチェンジアップ?が来る。やや微妙な判定に苦しんだように見えるも、3回の長打を浴びた後に後続を断ち切り、相手に流れを渡さない投球だった。
ここはやはり夢?
7回は2番手・日渡が抑えると、8回にはエドウィン・エスコバーが登板した。
【YouTube更新のお知らせ】
— オイシックス新潟アルビレックスBC【公式】 (@Albi_BC_PR) 2025年3月20日
エスコバー選手のチーム合流に密着✨✨
ユニフォーム姿もお披露目✨✨https://t.co/YYGj0oQmdX
ぜひご覧下さい🙇♂️🙇♂️#エスコバー#オイシックス新潟アルビレックスBC https://t.co/ekFN74RYCF pic.twitter.com/Mft8mBPVcV
……何を言っているのか自分でもわからないが、あのかつて「バーのS子さん」でおなじみ*4だった「オトコハダマッテナゲルダケ」のエスコバーで合っている。数日前に来日したばかりだというのに2点差の8回に出てくることもそうだが、報道が出たときから理解が追いつかなかった。
これは夢なのか?ただ、そういえば昨年の今頃も夢でも見ているかのような感覚だったので、「新潟のエスコバー」もそのうち溶け込んでいくものなのだろうか。
決着(??「楽しんでいただけたかな?」)
そして9回、守護神・上村知輝が登板し、

勝った!!!#がたほー !!!!!!!! pic.twitter.com/FBh4C14raQ
— トモヒロ/シラユキコジロー (@tomo16tsurage) 2025年3月23日
劇場たのしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいきっちりと5者凡退で締め、試合終了。
3-1というあまりに綺麗な勝ち方で、ホーム2連勝と上村25歳の誕生日を飾った。……サポーターとしてチームの勝利にはもちろんだが、自称・マニアとして大興奮、大歓喜である!!
ということで、やはり結論としては劇場と野球場は楽しく、球場飯は美味しく、サポーターと共に喜びを分かち合うことの幸福はひとしおで、ここに我々の喜びがあることに違いはないのだった。
非常に僕はいま、浮かれている。もっともギリギリ、日光と歓声と粉粒を浴びたという疲労が勝っているが、やっぱり浮かれている。ああ、野球ってええなあ。また野球が観られるんや、ええなあ。
……しかし帰宅後、気絶から覚めて思い出す。そうか、始まってしまったんだ。もうオフシーズンは、冬は、平穏といえば聞こえの良い退屈は、またしばらく来ないんだ。そういうことなんだ。
「もう逃げられないぞ、相棒」

「知らん、今季も全員捕食だ」
こうしてまた今年も、激アツで芸術的で汚くて美しい、おいしくてたのしい、そんな地獄の戦場に、我々は身を投じるのだった。
4.おまけ
超おまけ;その他所感
- 会員特典でもらえるトートバッグがめちゃくちゃいい。意外と大きいし丈夫。
- 会員特典でもらえるジャケットが普段使いに良いデザイン。材質的にも使いやすそう。ただしサイズには限りがあり大きいサイズはあまりなかったらしい。
- お見送りの人数がえぐすぎる。土日デーゲームは諦めるか……。(そもそも緊張で行けない)※ちなみに会員じゃなくても誰でも参加できます
- 上村がレールガンじゃなくなった……ガクッ(膝から崩れ落ちる音)
- 上村のアウトが全て奪三振。何か言われてたのは何だったのか。
- 黒羽根利規や伊藤隼太が新コーチとして加入。交換相手だったエスコバーと黒羽根がここで重なる。それにしても、どこのチームなのか。(困惑)
- グルメがなんか新メニュー増えてて、えび唐揚げがうまかった。豚串もカレーも全部美味いから一度食べて欲しい。ただし一般開場後は長蛇の列になるので注意(試合開始後だと1イニング表裏は消化してしまうかも……)。
- 遠征民向け)エコスタなら電車&バスで行けるが、スポーツ公園前まで行くやつに乗るより【S6系統 長潟線】を「宮本橋」か「南長潟」で降りれば、そこから徒歩10~15分くらいだけど本数も多いのでおすすめ。オイシ主催ゲームは駐車場無料*5だが、サッカーと重なった時は激込み&開門時間制限があったりするから注意されたし。
- 現状エコスタのゲームは球場のキャパ*6のおかげで「当日券完売」みたいな事例は起きていない。ちなみに個人的に外野開放を危惧した23日は3100人ちょい。グルメや企画もあることだし、なんか上には「引き返せない」とか「戦場」とか書いてあるが、そんなことは気にせず、もっと気軽に野球場へ遊びに行こう。
- 応援歌は……そのうち覚えます(そのうちとは)(最初は手拍子のリズムも掴みづらいと思うけど、慣れです)
- アルファ、どうしちまったんだ……?(大困惑)