むしょくとうめいのらくがき

鉄道と酒と野球ではしゃぐ4歳魚と26歳児の気ままな放浪記とか落書き 

【マロが行く】 師走、放浪、一杯の酒 -信越本線、ほくほく線など

 とりあえず一日電車に乗って遊ぶことにした。

 

 

 

1.新津~直江津/信越本線

 

 土曜日に予定がないという、どうも違和感を覚える一日のはじまり。おまけに天気は快晴であった。

 冬の新潟には極めて珍しい、澄んだ青い空が広がり、太陽が照らす風景である。先日の初冠雪の影響で、白く染まった越後平野*1に、光線がなおも降り注いでいる。……眩しい。

 

 この折角(?)の、快晴な土曜休みをどう使うべきか。とりあえず決めていることは、

「電車に乗ろう」

 これだけである。

 というわけで、とりあえず朝食をとって家を出よう。眩しいほどに晴れているが、肌に感じる空気は実に冷えていた。12月ともなれば季節通りである。おはよう冬、おはよう越後平野。朝日がのぼる、僕は旅する。

 時刻にして12時である。

 

①新津12:27発→長岡13:22着/438M*2

 新津駅に到着。早速、1番線に滑り込んできたE129系に乗り込もう。

 ……本来なら新津駅で15~20分ほど空気を吸ってから旅に出るのがお決まりなのだが、この日はギリギリになってしまった。既に昼で、朝飯は実質昼飯で、案の定相棒・マスコロには怒られ、駅の指定席券売機が使えず、充電は何故か既に1%であるが、まあそれ以外は上々のスタートを切ったといえる。

 指定席券売機で何を買おうとしたのか。

これである

 えちごツーデーパスである。

 金・土・日の連続する二日間で、新潟県のうちフリーエリア内における普通車自由席が乗り放題になるという切符だ。金額にして2,740円。新津が起点の場合、柏崎まで往復すれば余裕で元を取る*3ことが出来る。

 また、JR線だけでなくえちごトキめき鉄道北越急行などの路線も利用できるため、乗り換えの際に切符を買い直す手間が省けて助かる。「2day」をうたっているが、1日だけの利用でも、新潟県内で乗り鉄をするなら是非お供にするべき切符だ。

 ……それなのだが、今まで使ったことが無かった。

tomo16change-up.hatenablog.jp

 この切符は「金・土・日の連続する2日間」のみ有効である。つまり「日曜日はじまり」にはならないので、初めから日曜に取り扱いはしていない*4らしい。今回この土曜休みのチャンスを逃すまいと思ったのは、これが理由である。購入は指定席券売機、または窓口にて可能だ。

 

②長岡13:32発→柏崎14:17着*5

 さて長岡に到着である。

信越線長岡行きを下車㊨2両のワンマンカーに乗り換え

 同じ列車と記念撮影したようにしか見えないが、同じ列車ではないから仕方がない。同じE129系でも、4両編成から2両のワンマンカーになれば印象はかなり変わる。発車時に「列車から離れてください(真顔)」なんていうのもワンマン列車ならでは。

 信越本線は次の宮内で上越線と分岐、西へとカーブして信濃川を渡る。ここから先は里山、丘陵地帯。途中来迎寺ではそこそこの乗客が降りていき、塚山を過ぎると最初のトンネルを潜る。旅を始めたばかりだが、空気は昼下がりである。まあ、いいか。

 

③柏崎14:23発→直江津14:50着/特急しらゆき6号(56M)*6

 柏崎で2度目の乗り換え。ところで用事があるので一度改札を出る。

これに乗るためだ

 特急券を買うためである。

 新津を13:20に出発するしらゆき6号から、一本前の各駅停車に乗って逃げ切れるのは柏崎までだ。ここからは素直に、神の御導きを乞うことにしよう。順光線にアイボリーホワイトを輝かせたE653系が、ホームへ滑り込んでくる。……それにしても、様子がおかしい。

「……混んでいる?」

 自由席の4号車は、窓側はほぼ埋まっているような状況である。それでも柏崎で降りた乗客がいたため、入れ替わりで空席を確保できたような感じだろうか。

 柏崎から直江津という区間でも、特急課金による恩恵は大きい。もっともこの場合、「これを逃すと列車がこない」という意味合いの方が強いとは思われるが、どのみち僕らは653神に乗っている。それが全てではないだろうか。

 

 

2.直江津

 

 直江津に到着。ここでしばらく遊ぶことにする。

①バラエティ豊かな交通の要衝

㊨乗ってきたE653系しらゆき6号㊧雪月花

妙高はねうまラインのET127系

E129系 陰にはET122形の姿も

日本海ひすいラインの455系・413系「急行」

 遊ぶとはつまりこういうことである。ただホームを歩いてスマホを向けているだけなのだが、何でこんなに楽しいのだろうか。かつては確かに北越はくたか寝台特急が発着した交通の要衝であったが、令和の直江津駅とて彩はとても豊かではないか。我々兄弟の語彙力は再びあえなく喪失した。

 極めつけは、しらゆき6号のあとにのんびり発車していった雪月花、そしてその向こうを市振の関へと向かっていった急行列車である。

 

②化石と戯れる -D51レールパーク

 直江津は駅周辺も楽しいので気に入っている。

マスコロ「捕食するぞ」僕「彼らは水槽内で戦うことはないのか?」

 

 西口にはハイマートの駅弁に、電車を見ながら食べられるそば屋がある。少し離れるが水族館もできたし、日本海にも近い。だが今回はその逆に用がある。

直江津D51レールパーク

 ここには化石が眠っていた。直江津駅の南?東?口から歩いて5~6分くらいだったろうか?施設の名前が既に「D51」をうたっているので、既にあるのは知っていた。だが、分かっていても実物を見るのは感動するのだ。

 正確に言うと眠ってはいなかったが、ともあれ蒸気機関車が動いていて、413の車内に入れるという。家族連れが何組かいる中で、構わずキャッキャッ、とはしゃぐ25歳児に、3歳魚がまたも何か言いたげな視線を向けている。

「しかし弟よ。はしゃぐな、と言うほうが無理である」

「違う、そこじゃない」

 ん?何やら提燈が車体先端部を指している。

マスコロ「高速進行!!!!」僕「化石壊れる」

「乗るところが違う」 

 こいつもはしゃいでいる。完全にこれは教育の成果といえよう!ハハハ!*7

 

 

3.直江津十日町~越後湯沢/北越急行ほくほく線

 

 満足したので次の目的地へ行こう。

直江津16:57発→十日町17:41着/847M

ここである

 HK100形である。

 目的地は列車内にあるので実質完結なのだが、お楽しみはこれからだ。2両目「ゆめぞら」の転換クロスシートに乗り込んで、

こうなる

 居酒屋HK100の開店である。春に出来なかった、ローカル線に乾杯!なシチュエーションのもと、君の井酒造のカップをパカッ!と開けるのだ。

「……大丈夫かこいつ」

 相棒がまたも呆れている。なに、いつものことではないか。最近は確かに酒量が増えてしまっているが、鉄道旅という最高の肴があるのだから仕方がない。……ん、そういうことではない?

ほくほく線なのに呑んで大丈夫???」

「……そういえばそう」

 

 車内の掲示は確かに、こう訴えていた。

ほくほく線内にトイレはありません】(迫真)

 

十日町18:47発→越後湯沢19:21着/849M*8

 もっとも実際は承知の上であったので、十日町かまつだいあたりでお手洗い休憩をはさむことにする。これもフリー切符があれば比較的容易に出来る芸当だ。列車待ちは確かにすることになりそうだが、終電にはまだ早すぎる時間帯である。

 十日町で休憩後、再びほくほく線を東へ向けて出発した。犀潟を出たときは、西の方に濃い朱の色が見えたが、それすらも闇に吞み込まれてしまった。越後湯沢駅に到着である。

 

 

4.越後湯沢~新潟~新津/上越新幹線信越本線

 

①ホームにて

 越後湯沢駅の改札を出るとすぐに土産物・レストラン街があるが、これらが閉まるのはどうも早いらしい。だが、それでもこの一日を終わらせるにはまだ早い。そもそも、家に帰るまでが旅であり、休日である。

越後湯沢駅・新幹線下りホームに湧いている手湯(?)

マスコロ「捕食するぞ」僕「すまんな」

 ホームにあった手湯で(不満げなマスコロを横目に)ぬくぬくしていると、11番線に列車が到着するとのことである。何が来るのだろう。そういえば、上越新幹線の近距離タイプ「たにがわ」号は、ここ越後湯沢が終点*9だ。

……ん?

ホンモノ初めて見た

 なんということだろう。あの200系が復活したのかと思ったが、顔はどう考えてもE2系だった。それにしたってよく似合っている。実物にお目にかかれるとは思わず、大いに兄弟は感激した。

 

②越後湯沢20:15発→新潟21:03着/とき341号(1341C)*10

 12番線に乗り込む予定の列車が到着したのは、その数分後である。……またマスコロが何か言っている。

「……どしたの?もう電車来るよ」

「えっ?だってホームに入るだけなんじゃないの?」

 新幹線ホーム=入るだけの場所みたいな感覚だろうか。残念なことにあれはれっきとした乗り物で、旅客用の交通手段である。

 場内アナウンスが【10両編成でまいります】と告げる。ライトの黄色い光がトンネルを抜けてくる。こちらは見慣れた、ピンクと青の帯をまとった新幹線だ。

「このE2系見送ったら出るの?」

居酒屋E2開店!

「いや乗るんだよ?

「!?」

 提燈は興奮している。しかしそんなに驚かないでもらいたいものである。確かに、なんだ、あの……最後に乗ってから丸1年が経過しているのだが。その事実を改めて知らせると噛みつかれるだろうから、言わない。

 

③帰るところ

 車内に備え付けのトランヴェールを開く。前半、『旅のまにまに』というエッセイが目にとまった。

【帰りたい場所】

 作家・柚木裕子さんの、とある12月の駅での回想である。

 師走、というに相応しく、どこか急かされるように行き交う雑踏の中に、少女の泣き声を見つけた。帰りたい―それが少女の家か、はたまた別な場所を指しているのか。ふと蘇る、或る幼き日の夏の記憶。”帰省”という名目で、長い距離を旅し、親族の歓迎を受けた。お菓子は食べ放題だし、海で遊ぶのは楽しかった。それなのに彼女は、海もない、花火もしない、質素な料理を食べる、そんな日常に「帰りたくなった」と、気付けば涙を流していた―。

 

 僕にとっての帰る場所がどこなのか、という問題は、大学に進学し実家を離れたタイミングから、既にあった。当時下宿していた山梨の小さな町で、美しい自然と澄んだ空気を感じた。かと思えば東京の大都会がすぐ隣にはあって、次から次へと電車はやってきて、野球場もアキバもあって、つまり好きなものは何でもあった。

 大学を卒業し、こちらに戻ってくるときの心境は、山梨からも東京からも僕は出てきてしまったのだ、という寂しさの方が強かった。そしてしばらく経って「僕はどこに帰るべきなのか」「帰るとは何か」の問いをすることになる。

 

 ただ悲しいことに、長岡、燕三条と、闇夜の中を確実に北へ向かうこの進路は、暗闇の中にあったとしても確実に「家路」であった。

 いちおう今暮らしていて、自室と寝床となるベッドがある。住所となる家がある。そこに至るまでの小さな改札、ロータリー、商店街、住宅街の路地、橋。山は遠く、空はどこまでも広く、はるかに平野である。それらの情景が「まもなく終点、新潟に到着いたします」という案内放送で、否応なしに脳裏に映し出される。

新潟駅E2系と記念撮影 楽しい旅をありがとう!

 E2系が終着駅に辿り着く。少しの名残を惜しんだあと、足は勝手に乗り換え改札へ、そして在来2番線に停車する信越線・長岡行きへと歩き出す。また長岡へ戻ることもできたはずだが、それは考えなかった。

 

④新潟~新津(※時刻忘れました)/信越本線*11

 楽しかった。新幹線の車内で、窓枠の缶ビールが揺れている錯覚を起こし、たいへんに気分は爽快になれた。

 だがそれらはあくまで旅であり、夢なのだ。一睡の夢、一杯の酒である。乗り放題の切符を手にし、理想郷のようなものを求めても、気が付くと「帰ってきて」しまっていた。

新津に到着 すっかり真っ暗(もう22時だし)

 実に滑稽だが、もうそれを嘆くことも、悲しむのもやめようと思った。どこに恋焦がれたとて、そこには家もなく、待つ人もおそらくはいないだろう。結局のところ、この暗闇に広がる果てしない越後平野こそが、僕の「帰るところ」なのだと思う。

 それならば、また旅立てる日を楽しみにしようと、僕は最後の改札を出るのだった。

 

 

5.おまけ&まとめ

 

おまけ1(インスタもみてね)

 
 
 
 
 
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まとめ1・行程

信越本線 普通 新津12:27発~長岡13:22着 

信越本線 普通 長岡13:32発~柏崎14:17着

信越本線特急しらゆき6号 柏崎14:23発~直江津14:50着

直江津 D51レールパーク見学&休憩*12

ほくほく線 普通 直江津16:57発~十日町17:41着

ほくほく線 普通 十日町18:47発~越後湯沢19:21着

上越新幹線 とき341号 越後湯沢20:15発~新潟21:03着

信越本線 普通 新潟~新津(※時刻忘れました)

 

まとめ2・交通費

・ツーデーパス 2,740円

・しらゆき自由席特急券 柏崎~直江津 760円

・新幹線指定席特急券 越後湯沢~新潟 3,170円

 

おまけ2

「もう少し早起きしない?てか早寝しない???」

 

 はい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:その日、新潟市内(=平野部)は雪が降り白くなったが、阿賀町(=山間部)では雨のみで雪はなかった、という現象も起こった。標高が低くなるにつれて白くなる風景は、これまた違和感であった。

*2:時刻表 停車駅一覧(新潟-長岡):JR東日本 (jreast-timetable.jp)

*3:新津~柏崎(信越線経由):片道1,520円。

*4:したがって、日曜に上記引用記事のような行程を組む場合も、予め土曜に購入だけしておくことが推奨される。

*5:時刻表 停車駅一覧(長岡-柏崎):JR東日本 (jreast-timetable.jp)

*6:時刻表 停車駅一覧(特急しらゆき 6号(新潟-上越妙高)):JR東日本 (jreast-timetable.jp)

*7:つまりやっぱり一番はしゃいでいるのはこの25歳児であった。

*8:時刻表 停車駅一覧(直江津-越後湯沢):JR東日本 (jreast-timetable.jp)

*9:もしくはガーラ湯沢

*10:時刻表 停車駅一覧(新幹線とき 341号(東京-新潟)):JR東日本 (jreast-timetable.jp)

*11:462M(21:16新潟発)だったとは思われる。

*12:直江津D51レールパーク (naoetsu-d51-railpark.com)