今日も国道49号をドライブすることにした。
0.まえがき ~乗り納めになるかもしれんので~
あれこれと考えるふりをしてみるが、いっこうに左も右も脳が機能しない。こういう時は車に飛び乗るに限る。
数年前までは”別にいらないだろう”と思ってきたが、約1年と4カ月所有して、いかにこの地域では必須な乗り物であるかを思い知らされた。地方における問題点”公共交通の衰退or未発達””ショッピングモールやスーパーが駅から遠い”に関して、自分も大いに影響を被ったわけである。
つい最近読んだビジネス書で、自家用車は捨てて都市の駅近に住みなさい!的なことが書いてあって、大いに賛同した。通勤にも買い物にも必須な乗り物だが、必須アイテムにかける維持費の類は実に高くつく。ならば、家賃には目を瞑り、車がなくても日常生活ができる環境に身を置きなさい、というものである。その本では「たまにしか乗らない」「たまには乗りたい」という人向けにはカーシェアやレンタカーの利用を推奨している。
僕も一カ月先にどうなるか未定だが、都心に住むことになればそもそも車は手放さざるを得ないだろう。……これが「不徳の致すところ」である。
というわけで、まだ捕らぬ狸の皮算用ではあるものの、乗り納め的なことを今月はやっていこうとする次第である。
1.東へと向かう道路、ただそれだけ
新潟の真ん中で標識に「会津若松」を見つける浪漫
国道49号は福島県いわき市から、新潟県新潟市中央区へと至る一般国道である。
僕の地元・新潟でバイパスを走っていると、分岐路でたびたび<49 会津若松 阿賀>という表示を目にする。特に、茅野山ICで403号と分岐する時に見つけるのは無限の浪漫である。新津へ帰らずに、このまま進んで会津へ……なんて考えたのは一度や二度ではない。
また津川あたりまで進み、標識を見ると、
<会津若松 60km>
と書かれている。
「……行けるのでは?」
なんでも、いわき市から新潟市中央区までも総距離は250km前後。僕の軽自動車を満タン給油すると”航続可能距離”が450km~500kmくらい(これが結構バラバラなのだ)を表示するから、つまり行けるのだ。いや、いわきまでは行かないが、会津若松には行けるのでは?
というか、僕はまず49号で津川の先へ行ったことがない。シンプルに、その東へ行ってみたかったのだ。
高速道路のルールで通行するな、右折レーンも信号もあるぞ
49号は、新潟市中央区~江南区にかけては複数車線で、高速道路のような高架になっている区間もある。鉄道路線風に言うなら「線形が良いからスイスイと飛ばす」であるが、それゆえ後続車のあおりから逃げるためには70~80キロ近くをキープする必要がある一方、通行量もそれなりに多く一般道だから信号もあるので注意したい。というか今一度全ドライバー&ライダーに「ここは一般国道スピード落とせ」と言いたいところである。
だが横越を通過し阿賀野川大橋に差し掛かると車線は減少、住宅街に差し掛かり制限50キロの規制もある。僕が休日に49号を走るときというのは大抵、この阿賀野川大橋より東側、例えば国道460号と交差する水原の中心街か、五泉・安田方面(県道41号)から抜けたあとの原町交差点かのいずれかから合流する。
この日の僕は県道41号で、安田橋を渡ってくるルートを選択した。原町交差点を「阿賀・会津若松」方面へ折れると、山々がより青さと雄大さを増して立ち塞がる。気温はそこまで上がらなかったが、午前中は快晴。山の青、空の青、すっかり雪も桜も少なくなり、田園に張り始められた水。夏が始まる予感がした。
磐越西線と阿賀野川を、渡ったりくぐったり
ここからは阿賀野川と、向こう岸の磐越西線と並走する。馬下橋をくぐり直進すると、道の駅「阿賀の里」が近い。いつもなら休憩して引き返す地点だが、今日はまだ午前中、旅はこれからだ。
それまで高規格路線だった49号は、「阿賀の里」を通過すると急カーブと勾配、阿賀野川や谷にかかる橋が連続する。最初のトンネルとシェルターを抜ければ、次の道の駅「みかわ」が近い。だが、ここは物理的に微妙に入りづらいので、華麗に通過する。
勿論相棒はドライブにも連れていく。電車旅では、場合によっては乗っているのに鞄に引っ込めたままにせざるを得ないときもあるが、マイカーではその点気を遣わない。話だってできる。
「津川で休憩するね」
あれれ、返事がない。……もしかして酔ったか?僕も運転が決して上手いという自負はなく、いつもより飛ばし気味になってしまっている。同乗者がいるのに申し訳ないことをした。……ん?
「お腹空いた。捕食するぞ」
はい。
幾つかトンネルと橋、長い坂を上り下りすると、津川に差し掛かる。新潟口からは左側に「狐の嫁入り屋敷」、また川を渡って奥に進めば鹿瀬や赤崎山森林公園などがある。だがまず僕はファミリーマートへ急ぎ、トイレ休憩とおやつ&アイスコーヒーの調達を済ませた。
ドライブにはブラックじゃないと危ない?
ドライブのお供はコーヒー飲料。シンプルに酒は飲めないからだ。万が一にも足元が覚束無くなったり寝落ちしたりするのは駄目である。だが、こまめにトイレ休憩で停車する意味ではやはりカフェインは良く、気休め程度だが眠気にも効果がある。
ところで僕はブラックではコーヒーを飲めない。
これまで学業や仕事の合間に「できる風」に飲んでいたものは「白いBOSS」*1か「マウントレーニア」だった。冬場は「ネスカフェゴールドブレンド」のスティック。学生の頃たまに行っていた喫茶店では一回もコーヒーを頼んだことはなく*2、サービスエリアでもカフェラテばかり買っている。唯一ブラックで飲めるのはマクドナルドのコーヒー。あれは美味しい。あれだけは砂糖やミルクを付けてはいけないとすら思った。「マックのコーヒーだけはブラック」を推奨して回りたいレベルである。
というわけで、ファミマでもアイスカフェラテを買おうとした。ホットとは違い、アイスコーヒーは店内の冷蔵庫からカップを取り出してレジへ持っていくシステムである。……だが。
「MとLしか無え!!!!????」
なんてことだ。Sと書かれているのは「アイスコーヒー」だけである。「アイスカフェラテS」はこのお店には存在しなかった。しかも調べてみたら店舗でたまたま在庫切れなのではなく、メニュー自体にない*3のである。だが今の僕にはSサイズでじゅうぶんだった。Sでも十分大きいし、何よりM以上だと……少々、高い。
しかし僕は考えてみた。
マックのコーヒーならブラックで飲めるじゃないか。
そもそももう砂糖はいらないじゃないか。
何より運転するのだから、より苦いほうが目覚めにちょうどいいのではないか?
ええい!
「……その決意いる?」
はい失礼しました。アイスコーヒーS(税込100円)を買うために、随分と相棒をお待たせしました。
結論は「ファミマのコーヒーもブラックでも美味しい」である。心配なら、マシンの横にあるミルクを頂いていけばいいことだ*4。
プレイリストがどうも決まらない
眠気覚まし、といえば、僕は〈ドライブ〉のプレイリストを未だに迷っている。
「列車の中ではイヤホンをしない」というこだわりを勝手に持っている僕だが、歩いているときはむしろ欠かせないアイテムだ。音楽を聴くのも決して嫌いではないし、例えば野球の試合前、通勤時、散歩、寝る前、そしてドライブなど、各シチュエーションに対応したプレイリストを作っている。
だが、一概に好きな曲を聴けばいいというものでもないから困る。休日の行楽に超アップテンポな曲を、というのは気分ではない。かといって、いわゆる「●秒で眠りに落ちる」みたいな類のBGMも、運転中に聴くのは推奨しませんみたいな注意書きがあったりする。
冒険心や好奇心を歌うものとか、日常にあふれる美しさを明るく歌うものは入れたい。復路や夕方以降は少し落ち着きめというか、どこか気怠さのあるような曲もいいだろう。これから夏になるので、夏の終わりの悲しさを歌うようなものもいい。
私見・ドライブ中に是が非でも聴きたい曲10選
ということでプレイリスト〈ドライブ〉にあるもののうち、何曲か「これは外さないなあ」っていうもの取り上げたい。
- 快晴/Orangestar
- 初夏にこれを流しながらすいすいと走りたい
- 優しさの理由/ChouCho
- TVアニメ『氷菓』前期OP。「いつもの風景」が美しく見える気がする
- 未完成ストライド/こだまさおり
- TVアニメ『氷菓』後期OP。冒険心でどこまでも行ける気になる
- 青空のラプソディ/fhána
- TVアニメ『小林さんちのメイドラゴン』1期OP。
- まほうのかぜ/熊田茜音
- TVアニメ『スーパーカブ』OP。
- ナイトライダー/ひかりのなかに
- 「暗がり彷徨ってる」と歌い出すが、朝昼でも走り出したい一曲。
- Nowhere land/ART-SCHOOL
- 夕方以降や復路でよく聴いている。あいにくの雨や曇りになっても「多分きっと初めから」と開き直ることができる(のではないか)。
- 天使とスーパーカー/カネコアヤノ
- 「今日の天使はきみに決めた!」って、いつもマスコロに言っては嫌がられている(それはそう)。
- Under the Sand/VELTPUNCH
- How Long?/Reach Up to the Universe
おすすめあったら教えてください。ちなみに「あれもこれも」と入れていたら上記合わせて92曲になってて草生えた。実に6時間20分である。
2.気付けば遠くまで泳いできたね
道の駅にしあいづ
新潟口の玄関口。休憩した津川からは1時間もかからなかったと思う。野沢駅からもそんなに距離がない*5ので、鉄道でも来ようと思えば来れるだろう。レストランやフードコートが充実し、お土産屋さんの規模も大きい。
道の駅あいづ 湯川・会津坂下
再度国道49号を東へ進む。今回の企画は単に49号をひたすら東上することだが、ひたすら進むだけなのに磐越西線とは別れ、峠を越え、会津盆地に入ってきた。「道の駅あいづ」から駅メモにチェックインすると、只見線・会津坂下駅を拾った(個人差があるので、もしかすると若宮を拾うかもしれない)。
ここには農産物マーケット?やお土産屋さんがあるほか、レストランやジェラート屋さんが人気のようだった。お弁当フェアのようなものもやっている。ちょうどお腹がすいていたので一個買って、近くの川原で広げることにした。
新鶴駅(JR只見線)
只見線を2駅取り損ねがあったので、広域農道を南へすすみ、線路の方へ向かった。列車はこなかった。トイレ休憩も兼ねて、この駅にアクセスした後レーダーで赤新駅(会津高田・会津本郷)を取得。只見線コンプを達成した。
……いちおう新潟口(小出~大白川)のプチ遠征と、旅行社のツアーでちゃんと路線自体は乗っているので許して()
道の駅阿賀の里(かえり)
この後は線路を追いかけるようにして住宅街を西へ走り、道なりに進んだところで49号と合流。再び新潟を目指し、峠をのぼっていった。
高速道路に乗ろうと思ったが、結局往復ともに乗ることはなかった。新潟県に入り「阿賀の里」へ到着したとき、まだ時刻は17時前。10時半くらいの出発でも、余裕で行って帰ってくることができた。
「会津まで意外と近いんだね!たのしかった?」
自然の豊かさ、走りやすい道。阿賀野川が名前を変える地域までのぼった。小さな、しかしいつもよりは冒険したドライブ。きっとマスコロも楽しかっただろう。
「何も捕食できなかった。お腹空いた」
はい。
休憩した道の駅「にしあいづ」「あいづ 湯川・会津坂下」のレストランには、機会を見てリベンジしたいところだ。……というか、相棒・マスコロが福島初上陸であったことに、たった今気づいた。これが「不徳の致すところ」、いよいよ捕食される日は近いかもしれない。