むしょくとうめいのらくがき

鉄道と酒と野球ではしゃぐ4歳魚と26歳児の気ままな放浪記とか落書き 

【マロが行く】一勝にどうか軍神の御加護を -2024.2.24 山形・米沢方面

 今更だけど、初詣に行ってきた。

上杉神社

 

 

 

 

1.国道113号

 

 今年も僕は「はるのとなりのまぼろし」を見せられて、四日も経たないうちに雪と風に震えることになり、あまりに虚無い2月末を送っている最中である。ついでに言うと、連休がない。いや、あるから出かけるのだが……。

「去年は五連休だったんだよなあ」

今日も提燈が示す方へ

「知らん。とっとと出かけないと捕食するよ」

 はい。

 まあおれもどっか行きたいし……。

 

 ……ってことで今日はハンドルを握り、マスコロはダッシュボードより、提燈で行先を示す。そういう気分のこともある。とりあえず晴れている方へ走るか、と適当に決めて、採点機能無し・ボーカルありの一人カラオケに興じ、雪化粧という程度に白く染まった里山と、僅かな冬光線に照らされた山脈の冠雪に言葉を失いながら、国道290号を走る。

 そして1時間半くらい走っただろうか。気付くと県境の一歩手前くらいにいた。

マスコロ「クソ寒い」僕「ピクニックにはまだ早い」 -道の駅関川の近く

 新潟市を脱出し、新発田・加治川から分岐して国道290号を北上すると、JR米坂線の線路を越えてすぐT字交差がある。ここで左に向かえば坂町の市街地、右が山形方面である。国道113号は、新潟方ではほぼ米坂線と並走している。が、ここを列車が走らない期間が、かれこれ1年半近くも続いていることになる。

 T字路にぶつかると、提燈は当然の如く、右を指した。それは現実からの一時的な逃避であり、あるいは未知の渇望である。何より、今日は「終日不在」と言って張り切って家を出てきたので、簡単に現実に戻ってしまっては、つまらない。

 すぐにセブン、ローソン、道の駅「関川」がある。道の駅は温泉を併設している。この逃避行を「ゆるキャン△ごっこ」と称していた時期ならば、夏でも欠かせない要素だった。しかし、マスコロが怒るので、あまりしなくなった。ああ、でも人間とはよくわからない曖昧で不完全な生き物故に、マッチポンプという行為を好むのであっt

マスコロ「捕食するぞ」僕「やっぱり躊躇いが無い」

「それよりお腹空いた」

 はい。

 時刻は正午をまわった。そろそろお昼にする。

 

 関川を出ると、山間部である。道はいかにも県境っぽい様相になり、カーブとトンネルと勾配が続く。山と山の間を流れる荒川を、何度か渡る。木々の雪化粧もあいまって美しい。列車の車窓から眺めるのもまた違った見え方になるのだろう。ちなみに、

tomo16change-up.hatenablog.jp

 マスコロを連れずに、一度だけ乗ったことがある。この時は雪で何も見えなかったし、何故か途中で降りたし、何をしに行ったのだろうか。

 

 さて、車のカーナビは県境を越えても教えてくれなかったが、次の道の駅「白い森おぐに」の案内看板とかを見ていると、ここは山形なんだと理解する。停車しているのが7割以上新潟ナンバーだったとしても、ここは山形県西置賜郡小国町である。

道の駅「白い森おぐに」で昼食

 昼食はレストランでカレーを食べる。入店したら誰もいなかったので、やっているのかと不安になったが、注文してすぐに出てきた。

 いかにも「カレーライス」というカレーライスが目の前にあり、いかにもカレーライスという味わいが五感を支配する。

 もう、うまい。

 小学校のたぶん4年生くらいまでだったが、毎週火曜日はカレーの日と決まっていて、それが楽しみで仕方なかった。あの味……とは若干違うのだが、限りなく似ているし、こういうカレーライスを久しく食べていないから、満足だ。「こういうのでいいんだよ、こういうので」の最上位互換である。

 ちなみに最近はどういうカレーを食っているのかというと、シーフードだったり(香りが苦手)、具が細切れだったり(以前は大きかった)、大豆やキノコが入っていたり(苦手)するものである。

 

 ちなみに2年前にもこの道の駅は訪問したが、ここで引き返したので、自分の運転ではこの先は未開の地。今折り返しても夕方までには現実に戻ってしまうので、更に東へ進む。ここまで来ると案内標識に、

南陽・米沢】

 みたいな文字が表れる。とっても心惹かれる瞬間だが、逆側を走っていればこの辺から故郷(もしくは見覚えのある街の名前)が見えるようになるので、虚無さが増してくるのだろう。

 

 というわけで、

米沢まで走ってきた(晴れてるけどクソ寒い)

 確か15時くらいに米沢の上杉神社に到着した。白い森おぐにを出発したのは13時半ちょっと手前くらいだっただろうか。ちなみにこの間に2度の御手洗いがあったので、本気を出せばもっと速いのだと思う。僕のドライブは休憩が長いのだ。

 

 

2.上杉神社

 

 というわけで、初詣である。

マスコロ「一家安康全員捕食」僕「怒られるから隠れてなさい」

 何故片道130km近くも離れている隣県まで出向いたのかというと、

こういうことである

 その名の通り、米沢藩主・上杉氏が祀られているからだ。

 

 米沢が「米沢藩」となったのは、関ケ原の戦いの後、西軍に味方していた大名・上杉景勝が、会津120万石から米沢の30万石に減封された時である。つまり90万石分減ったので、家臣たちはどこに住み、どこを働き場とするのかで、まあ大混乱だったのだろう。そのような中で藩政の礎を築いたとされる重臣直江兼続の生涯が描かれたのが、大河ドラマ天地人*1である。

 ここには景勝公と兼続公の主従像、また江戸中期の名君・鷹山公、そして「御祭神」として謙信公の像もある。何故謙信公がいるのかというと、

www.uesugi-jinja.or.jp

(前略)遺骸は城中不識庵に仏式を以て鎮祭された。景勝公が会津を経て米沢に移封されるに当たり、御堂を米沢城内に移して仏祭を厳修した。明治の世を迎え御堂のまま神祭に改め、米沢藩中興の名君鷹山公を合祀して上杉神社と称し県社に列し、1876年(明治9)には新たに神殿が成り、遷座祭を行った。(中略)
 先年の神社制度の改革によって社格を廃して現在に至る。ー上杉神社ホームページ「御由緒」項より

 こういうことらしい。遺体に甲冑を着せて甕に納めた、なんていうのはよく聞く話だが、それを会津→米沢と持っていくのだから、当時の人々恐るべし。それも徒歩で、である。つまりはドライブでひいひい言ってなんかいられないということなのだが、まあ人間、限界がある。

 

 ということで、「義」と「愛」の先人たちに、今シーズン開幕前の御挨拶を行った。つまりは必勝祈願。必勝どころか一勝……いや、個人としてはまず一試合でも投げることでもじゅうぶん目標を達成したと言えそうなのだが、いずれにせよ自らの武運を祈念したく、かつ軍神にあやかりたく、ここを初詣に選んだ。なんとなくおみくじを引いたら大吉を引いてしまった。決して幸運を期待するわけではないが、まあ、よかったということにはしておく。

 

 あとなんか入り口にハトの大群がいて、参拝者の足元で遊んだり餌を要求したりしていた。何なら嫌がる子どもに飛び掛かったりしているのだが、僕らには全然見向きもしない。

 おかげで手元ではたいそう不機嫌にしながら、目を見開いては涎を垂らしているものもいるのだが、やはり魚を警戒しているのだとしたら面白い。でも、やはり食べないでほしい。相棒にとっては実に「凶」なのだろうが、ちゃんと今年はご飯をあげるから穏便に、平和に過ごしてもらいたいものである。

 

 

3.米沢駅

 

 ちなみに米沢は赤新駅*2である。だからというわけではないが、1mgくらいでも”鉄分”を補給できるときにはしておきたいのが、性というものだろう。何せここは、

E3系「つばさ」 -米沢駅にて

 新幹線停車駅である。米沢に新幹線は通っていないが、新幹線は停車する。それがこと日本においては文章として成立するのだが、実際に目の当たりにしてみると、まあ、違和感であった。例えもう一つの路線*3をゲームで散々乗務していようと、である。

 このE3系という見慣れた「ミニ新幹線」でも違和感があるのだが、新型のE8系は鼻が長いので、より新幹線らしい造りになっている。いかにも新幹線な流線形が、高架もなければ駅ビルっぽいビルもない、地方の駅へと滑り込む。おそらくはE3系も400系も、その「地方の在来線をトコトコと*4走る新幹線」という図式の違和感とともにデビューし、おそらくは完全に拭うことはないまま、そのバトンを次代へと託すのだ。

 

 新幹線は通っていない、と言った。書類上では当駅は、

奥羽本線 719系

 奥羽本線―ここでは「山形線」と呼ばれている列車と、

米坂線 キハ110系

 米坂線。この2路線が乗り入れている。

 分厚いモーター音を響かせてやってきた2両編成の電車には、見覚えがあるようで、ない。211系とは電源が違うし、スカートの形状も違うし、正面が種別なのか行先なのかということも違う。同じようなカラーリングの、わりと新しめの車両―E721系には乗ったことがあるが、この719系は何だかんだ初めましてである。ここを終点として、福島に折り返していくらしい。停車中、ブロロロロ~~!と何かが唸り始めた。実に趣がある。

 地元でよく見る顔の、2両編成の気動車もやってきた。キハ100とキハ110の見分けは雑魚なので未だについていないのだが、少なくともどちらかである。車止めホームは、新潟・坂町へのゲートなのだが、そこにいる列車に乗っても新潟にはまだ、行けない。……真っ白で何も見えなかった2020年12月の、リベンジを果たせる日を願うばかりである。

 

 さて米沢といえば、

マスコロ「捕食するぞ」僕「おれも食いてえ……」

 牛肉である。

 正確にはお弁当であり、「牛肉ど真ん中」という名称で売られている。つばさの停まる1番線ホームにもそれ専用?の売店があった。是非とも頂きたいところだが、腹の減り具合は微妙すぎたので、パス。案の定マスコロは激怒したが、どうせなら車内で頂く機会を待とうではないか、と言えば納得……

E3系をお見送り おそらくは見納めか -米沢駅

 マスコロ「それでいつ乗るの?????」

 わかりません。

 

 ちなみにこのE3系も一度だけ、マスコロ抜きで乗っている。大宮ー郡山間の乗車だったが、この車両乗りたさにあえて「つばさ」を選択したのだった。あれ以来東北新幹線も乗っていないなあ、なんて喋ったから、なおのこと相棒は激怒した。そんなん言うたかてお前、おーん……。

 山形行きの「つばさ」が去っていく。稚魚は、ばたばた、と手びれを振る。が、飛び立つことも出来なければ、乗れなかった新幹線をただ、見送るだけである。E3系のテールライトが遠ざかっていき、完全に見えなくなった。これがおそらくは見納めになるやもしれぬ、と悟った稚魚の提燈が、悲しそうに垂れさがった。

 

 まあ乗れなかったけど鉄分は補給できたし、神社は風情があったし、ドライブは楽しいし、おみくじは大吉だった。きっと相棒も楽しかっただろうし、僕にとっても毘沙門天の御加護で、良い一年になる気が……

地元のラーメン屋「無尽蔵」で 安定の鶏ガラ醤油

 ラーメンで締めたこの夜はまだ、してた。

 

 

4.おまけ

 

インスタ

 

 

翌日以降

「タイヤパンクした!!」*5

「電話の嵐に長蛇の列!!」

「変更点ばっかりで訳わからん!!」

「なんか雪降ってる!!」

「キャッチボールですっぽ抜ける!!」

 

 マスコロ「大吉とは?????」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:2009年放送=つまり僕が小6の時である。以来、しばらくは僕に戦国武将ブームが到来し、教科書の余白は「合戦図屛風」になるわけだが……。

*2:駅メモ」の未アクセス駅。

*3:秋田新幹線田沢湖線奥羽本線

*4:なお最高速度は130km。

*5:左後方のタイヤが目に見えて潰れていたが、幸い修理可能だった。