むしょくとうめいのらくがき

鉄道と酒と野球ではしゃぐ4歳魚と26歳児の気ままな放浪記とか落書き 

柄と文字は控えめな涼しくてゆったりしてる透けないやつをください

 服屋へ行った。

 

 実はここに「柄にもなく」と付けようか迷ったのだけれど、そうは言っても着る服がないのでは外に出られない。下は言うまでもないが、例えば水着などで上半身が剥き出しになる、というのも嫌なのだ。ゆえに小学校のプールの授業も素直には喜べず、中学ではプールがなくて安心し、高校の修学旅行では友人や家族に「グアムまで来て何故海にもプールにも行かんのだ」と不思議がられても頑なに首を振った。

 スーパー余談だが、体育着への着替えといい、体育祭の種目といい、高校にはもう少し男子生徒の人権を尊重してくれてもよかったのではないか?と、それとな~~~く言いたい*1

 

 そんなわけで服を買いに行った。

 ……ここで「いやコジロー、お前さんとてTシャツのひとつやふたつくらいもっているだろうよ」というツッコミをしないところが、友人方々や読者の皆様のお優しいところだと僕は常々感謝している。配慮を賜りありがとうございます()。

 ちなみに突っ込まれたとして「ない」と言えば噓になる。事実、引き出しで眠っていた殆どのTシャツに、余裕をもって袖を通すことができたのだ。そのうちの一つは阪神西勇輝の背番号入りTシャツ、一つはゆるキャン△のリン&なでしこのキャラクターTシャツ、一つは友人に誕生日プレゼントでもらったタイガースの応援Tシャツ、あと一つは……おっと、どこからか「もういい」と声が聞こえたのでこの辺でやめよう。

 先の「眠っていたTシャツ」のほとんどが、タイガースの応援グッズであったりアニメイトゲーマーズなどで買ったお土産だったりするのは否定のしようもない。これにプラスして、小・中で部活の練習用に着ていたものもあったりして、下は部屋着兼用のジャージ。流石に「今日も講義後は走りに行くのだ」と誤魔化してキャンパスライフを送るのは、無理があったように思われる。問題はたぶんそれだけではないのだが、どちらにせよ「もう少し服もまともに選べばよかったな」と思っている、かもしれない。*2

 

 ということで、お目当ては至ってキャラクターや特定派閥・チームの主張が極めて少ないものである。もっと言えば、イラストや文字のない「無地」が理想である。

 清掃バイトをしていた都合で、黒一色無地の半袖Tシャツを何枚か持っていたが、あれは汎用性抜群だった。何も書いていなければ神宮や東京ドームで間違って1塁側へ行ったって怒られまいし、アニメ研や文藝以外の友人同士の集まりにも行きやすさは上がる。

 ただ、問題がもう一つある。色はできれば白がよい。もしくは青や緑が入ってもよいが、欲しいのは白や薄いグレーを主体に、全体的に明るめな色合いのものである。

「好きな色は」と訊かれたら言うまでもなく「黄色と黒です」と答えるのだが、そういうことではない。この前蜂(←そういえば彼らもイエロー&ブラック族ではないか!ホンモノのトラもしかり、この色合わせは本来「危険」なのだ……)に刺されたばかりなのに、全く懲りていないではないか。余計に刺激してどうするのだろう。

 

 好きな色のことを差し引いても、押し入れに眠っていた着用可能な(且つ普段使いとして着ても違和感がない)夏服は、その悉くが黒い色をしていた。言われてみれば、リゼロのレムのTシャツも、なでリンTシャツも黒である。

 頑なに黒を選んで残していたわけではない。むしろ白&青みたいな服はずっと欲しかったのだが、どうも白いものは残らない運命にあった。

 何故か僕は白い服に悉く、縁がなかった。元々(親が買ってきて)持っていたものは、どうも材質のせいで涼しく感じられなかったり、何かのフシで汚してしまったり、サイズがいまいち合わなかったりで、結局多くは着なかった。

 

 自分で買ったことが、まったくのゼロだったわけではない。昨年も実は同じように、

「白の半袖が欲しい!」

 と思って、2枚ほど買った。ロゴやイラスト等の主張がなく、涼しげな材質で気持ち余裕のあるサイズのものを手に取って、レジで会計して店を出て、これで少しは夏の服選びがマシになるぞ!と、早速自宅で着用してみた。鏡を見ても大して違和感はない(当社比)、いけるやん!……何の自慢だったのか、今考えるとわからないけれど「どうだ」とばかりに胸を張った。

「……あれ、何か透けてません?」

 

 ちょうど野球をやっているから、下にアンダーシャツを着れば心配なく、そのまま練習用にできる。秋~春にパーカーの下に着るのでもいいだろう。サイズさえ合うなら何かと重宝する。……涼を犠牲にはするのだけれど。

 

 

 またある年は、やはり「白い夏用の!」ということで服を買おうとした。しかし服屋に行こうにも、どうも服屋に行くには越えねばならない、高い、高いハードルがある。

「どのような服をお探しですか?」

「お客様だったら、このようなデザインが似合うと思われますよ!」

 何故ファッションセンスだけでなく、服屋の店員さんとはコミュ力もお化け(誉め言葉)なのだ。一歩店に踏み入って、十秒足を止めた瞬間にはもう声をかけてくる。ちなみに「何か探してますか?」と訊かれても、そりゃあ似合いそう且つ着れそう且つ買えそうな服、と答えるしかないので、できればもう1000秒くらいは欲しい。店員さん、どうか猶予を、考える時間を……。

 というわけで、そんなコミュ障の買い物問題を解決してくれるのはやはり大正義Amazonである。且つ、虫眼鏡に「メンズ 夏用 白い服」と突っ込めば、それっぽいのがたくさん出てきた。なんと優秀なことか。結局手頃な価格で良さそうな商品は見つかり、購入ボタンを押した数日後には、白くて涼しげな素材のザ・夏服が届いた……のだが。

 

「入…………らない…………????????(困惑)」

 

 今頃、白い夏用のXLサイズ(日本サイズにしてS~Mサイズ程度)のパーカーは、友人が部屋着にでもしてくれていることだろうか。一度袖を通そうと試みた三日後くらいに、僕より少し小柄で細身な同級生に譲渡すると、その子がこんなツイートをしている。

「コジローくんが夏用のパーカーをくれたんだけど、涼しいし着やすい!ありがとう!!!」

 喜んでもらえて何よりである。僕としては、確認不足なまま通販で買い物をしてしまうという失態を犯したツケを押し付けたにすぎないのだが。

 

 

 

 サイズ対応表とかいう引っかけに騙されず、且つ何かとは言わないが諸々の部位が浮かび上がるような素材を引かない為には、やはり(そんなに店員がグイグイこなさそうな)店舗に足を運ぶしかない。意を決して近くのお店に入り、今度こそ、それっぽいものを二着ほど買ってきた。


「何も透けない!」

「かなりゆったりして着れる!さすが(日本における)XLサイズ!」

 

 ……弁明させてもらうと、普段はLサイズです。服を買うのって難しいですね。

 

 

 

 

 

 

 

*1:僕の一学年上の代までは、三年生による騎馬戦で男子生徒がみな上裸になっていた。ちょうど危険性が問題視されていた時期なのもあって種目自体がなくなり、我々の代は人権が守られたわけである。

*2:ちなみに、アニメイト等のフェアでキャラクター服などを購入すると一枚で3000円くらいする。それでしまむらなら半袖Tシャツを三枚は買えることに、当時のコジローは気づかなかったのだろうか。