今週のお題「お風呂での過ごし方」
大学時代、銭湯好きな友人の影響を受けて自身も週一ペースで近所の銭湯に通い、しまりんに影響を受けて*1お出かけ先でも温泉施設に立ち寄る、ということをしていたから、多分僕について「温泉やお風呂が好きなのかな」と思っている人も多いだろう。それ自体は正解である。今でも近場の温泉施設に行って、またスタンプカードに印を貯めたりしている。温泉は好きだ、お風呂最高。
したがって「入りたくない」とは全く思っていない。問題は、そういう好きなことや習慣化したい事項を「できたら苦労しない」という点にある。
マイカー通勤になって、家まで辿り着くまでの時間は確かに短縮された。通勤時間七分だなんて神過ぎる。ところが、自宅のガレージから玄関が何より遠い。さらに玄関をくぐっても、そこからリビングや洗面所に行くまでの道のりは途方もない。
つい数日前のことだ。遅番だと二二時までの勤務となるが、車なので寄り道・買い物して帰っても二二時四〇分には帰宅できた。
暦上では「初冬」と称される月に変わったこの頃も、日中は「残暑」というに相応しい日差し・気温となることが多かった。ぽかぽか陽気とか秋晴れとかいう語句で表するにはいささか度が過ぎている。十月一日はプール日和、なんと滑稽且つ虚無なことか。片付けをすべくプールのあるビニールハウスへ立ち入ると、ひと夏の激戦を切り抜けたはずなのに室温50度とかを計測していて、尚のこと虚しくて笑ってしまった。
今年も短期の監視員さんたちと互いのエールを交わし、涙のお別れをすることになった。何人かに「また遊びに来てね」と、多分来ないだろうなあと思いながら言ってみる。去年もそうだったが、また正社員数名しかいないすっからかんな事務所にポツンと取り残される寂しさを味わいつつ、一方ではプール営業がないぶん余裕ができて嬉しい。
暇なのにもかかわらずシフト表が中々灰色にならないのは、使ってくれてありがとうございます!というべきなのだろう。その意をどうやって示すべきか0.01秒ほど思案して、中指を突き立てて感謝を込めた。20分で解決した問題に対し怒られたのを伝え聞く*2……という全くこれまた意味が分からない出来事にも、ヘラヘラ笑ってやり過ごす充実したスキルを身につけることができた。僕も日々成長している。
話を戻そう。そうしてあまりに虚無な勤務をこなし、近所の範囲内で収まるはずの家路を二二時四〇分にゴールしたのはよかった。さて、ではあのお肩(車)から降りて、家に入ろう。車に施錠し、玄関をくぐり、靴を脱いでリビングに辿り着き、掛け時計を見る。
「23:10、だと……?」
ガレージから徒歩30分を要する自宅だなんてどんな豪邸だろう。残念なことに、距離にしても十メートルは無いと思う。
何はともあれ、まずは手を洗って消毒し、汚れた服を脱ぎ、あとはシャワーだけでも浴びて汗を流さなくてはならない。職場の制服(ジャージ)とハンカチ、カバンから出したタオルをまとめて洗濯籠に突っ込む。替えの部屋着や下着を取りに一度、洗面所を出る。
と、ここで止まってしまった。着替えこそ持っているが、まだ汚い体のまま着るのは気が引ける。つまりまだ「パンイチ」である。しかし状況は、あとは唯一身につけているものを脱ぎ、頭から湯を浴びて体を清め、綺麗な替えの部屋着を身にまとうだけ……。
「……日付変わったし、駅メモのログボ貰お」
パンイチのまま何十分経過したのだろうか。アプリを起動すると「おはようマスター!今日も一日頑張ろうね♪」という、あまりに眩しい笑顔が飛び込んでくる。残念だが、とあるカノンのマスターはこの数時間後に就寝し、半日を棒に振るそうだ。
それでも何とか意を決し、残りの衣類を脱ぎ捨てて風呂場へ入る。シャワーを浴び、頭、顔、身体……と順番に清めていく。お湯が肌に当たり、湯気に包み込まれるのが心地よい。いったん入ってしまえば、あとはこの手順で身を洗い流し、タオルで水滴をふき取り、着替えて終了だ。流石にお腹もすいたので、不健康は承知でカップ麺も食べよう。それで終われる……はずだ。
リビングに戻ると、相棒の魚が帰りを待っていた。
「おう、お風呂あがったよ。R-1飲む?*3」
話しかけても魚は答えない。なんだ、入浴後の水分補給という大事な手順を踏んだというのに。それよりお腹すいた、カップ麺はまだか?ということなのだろうか。……いや、話題をすり替えられる。というか、主がまだ手を抜いているのをお見通しなのだ。
「それよりちゃんと保湿した?あとストレッチした?ちゃんと肩回りと股関節、ほぐしておかないとダメだよ」
「……ハイ、これからです」
2歳魚を侮ってはいけない。しかし本当に、幼子に健康管理される保護者ってなんなんだいったい。
実は入るまでだけじゃなく、入った後にも試練が待っているのが自宅の風呂である。コーヒー牛乳やビールで「ぷはーっ!!」とやればいい、というものではなかった。結局保湿はハンドジェルとリップだけにいつも留めてしまうのだが、ストレッチは魚も指摘の通り、疲労回復や故障防止、投球パフォーマンス向上のためにも手は抜けまい。ちゃんとやらないと……
「……なんか1:30になってるな?」
この日は結局、肩周り+股関節+肘+アキレス腱のケアまで行い、ようやくカップ麺にお湯を注いだ。全てを終え、さらにもう二、三ほどの関門をくぐってからベッドに潜り込むと、時計の針はさらに一時間二〇分ほども進んでいた。
どうかこんな過ごし方、皆様はマネしないでください。あと毎日お風呂に入りご飯を食べている皆様、はなまるをあげます。