データの下書き保存をこまめにすることの重要性に、この歳になって気づかされた。
仕事でもなんでもなく、余暇の散歩のノリで書いているブログに教えられたのは予想外である。もっとも9月7日という日付を考慮しなくとも、深夜に何かするな!寝ろ!という神からのお告げなのかもしれない。名残惜しいが引退シマス。……エ、契約違反デスカ。
完成して「公開」を押した瞬間に消滅したその記事には、まあ「天気がいいので公園や川の近くで魚とぼーっとしたよ」ということを書いた。
もう秋である。
田んぼの色は豊かに実り、時々少し冷たくなる風と澄んだ空気を穏やかに照らす日差しはもう夏のそれではない。過ごしやすい季節になるね~、なんて言って、おやつを食べながら魚と戯れていたらクマバチに追い掛け回されたこと以外は、公園での一幕は静かな秋のそれであった。いや蜂さん、もう勘弁してくれ。
暦が九月に変わってからは、磐越西線に乗ってきた。
列車が終点となる津川まで行った。
用事があるわけではない。なんとなく、定期的に磐越西線には乗りたくなる。なんとなく乗っても、森の隙間をくぐり、川に沿って走っていく気動車の車窓は、眺めていて幸せになれる。予定のない休日にはとても似合う。
そういう線区だが、散歩のノリで乗ると帰れなくなったりするので準備はそれなりに要るのも事実である。駅の近くを散歩して、阿賀野川の対岸をキハ110が西へ走っていくのを悠々見送っていたら、次の列車まで2時間ほど待つ羽目になった。16:10発の次は18:13発。これぞ気ままな鉄道旅。……手(ひれ)を振りながらも「いいの?乗らなくて」という表情をしている二歳魚のほうが絶対しっかりしている。保護者はどっちなのだ。
おかげで沢山ぼーっとできた。昼間は微かに夏の面影を残していたホームも、夕暮れに戻ってみると肌寒さを感じた。山間の町を陰が包む。なのに、どこかあたたかい。
この日の記事が幻になった腹いせ(?)に、インスタにも記録をした。深夜にも関わらず投稿して数分でコメントが付いて、見たら野球でチームメイトになった先輩からだった。どうもこの「魚とお出かけシリーズ」が好評なようである。そういえば7月の試合にも連れて行って、ベンチで僕の登板を見守らせたんだったか。おかげで無四死球&初安打をマークできたから、次も連れていこう。……案の定「鳥谷を追いかけてロッテに鞍替えしたのか?」と突っ込まれたけれど。
しかし考えてみれば、すっかりいつも一緒な相棒になった。
一人でいるのも好きなのだが、やはり公園や人気のない車内において、寂しい思いはしなくて済んでいる。いつも車のダッシュボードが定位置だが、電車内でクロスシートの窓枠にちょこんと乗っかって、飲み物をお供に旅をすることも増えてきた。
どっちが好きなのかはわからない。魚にとってみれば、僕の運転する車をとるか、電車旅でキャッキャとはしゃぐ24歳児をとるかの二択である。おまけに「こっちがいい」と言われても、僕の手に掴まれて放浪に引っ張り出されていく。仕方あるまい、そうは言われてもかわいいので離したくないのだ(親バカ)。
津川まで気動車放浪旅をした翌日は、新発田までドライブに出かけた。
この日も日向ぼっこにはよい日和であった。
訳もなく、こういう公園のベンチに座り、ひたすらぼーっとするのが好きだ。短期のアルバイトの子に「おじいちゃんみたい」と言われたのは確かにそうである。だって、鞄で眠っている幼子を外へ出してやり、日を浴びて遊ぶのを見守ってやると、いかにもそれじゃないか。
……うん?どうなのだ。その割には、見守り時々カメラに収めているほうが、キャッキャ、とはしゃいでいる気がする。むしろ僕の方が幼い。
今月頭から施設休館になって、詰め詰め(当社比)だったシフトは一気に灰色*1だらけになった 。日頃悪態をついていても、やはり仕事があるというのは恵まれていた、と痛感する。ただ余裕ができたのはそれはそうで、作業の合間に雑談をするのも楽しい。
しかし四連休、もはや完全に暇である。書き終わったところでまだ初日の夕方が終わらないので、また散歩にでも行こうかな。
隣では「まだか、まだか」と、尾びれと提燈を揺らしながらじっと見つめるものがある。心配しなくても、これからもついてきてもらうよ。
*1:勤務予定表では「休み」の場合は背景がグレーになる。