むしょくとうめいのらくがき

鉄道と酒と野球ではしゃぐ4歳魚と26歳児の気ままな放浪記とか落書き 

フォークorスプリット(orチェンジアップ)

 持ち球種の呼称に悩んでいる。

 

 

 

1.決め球”チェンジアップ”ができるまで

 

 我ながら、「そんなことで悩む暇があったら配球や握り方・フォームを改良なり研究なりしてはどうか」と言いたくなるが、一方では実に悩ましい問題なので仕方がない。何しろ投球練習の時に、全く同じ握りの同じ球種なのに、

「フォーク行きます」

 なんて言って、キャッチャーに、

「そんなの持ち球に無いだろう。真面目にやれ」

 みたいなことを返されたら嫌ではないか。そもそも、練習で新球種を一、二球試す程度、寛大になってほしいものである。

 

 以前お話したかどうか忘れてしまったが、僕は”チェンジアップ”を”スプリット”のような握りで投げている。

 

「~のような」と言うのは、例えばスプリットは人差し指と中指で「挟む」感じなのに対し、以前の僕のチェンジアップは多少指を広げ、手首側で握る感覚だった。したがって「挟まないスプリット」とも言えるし、「極めて遅いストレート」とも言うことが出来たのだ。

 だが問題がある。

 挟まない、ということは、必然的に落差は殆ど無くなる。ストレートと比べると多少落ちるから、ゴロを打たせる使い方になる。しかし前に飛んでくれたらよいのだが、或る時は2-2からの決め球で投げてファウルにされ、ある時は二球連続で高めに浮いてしまい使い物にならなかった。

 

 つまり、非常に中途半端な球種なのだ。そもそもこの球種、最初は紛れもない「スプリット」だった。

 中3限りで野球を引退した僕は、約4年以上のブランクを空け、友人と遊びで野球をするようになった。ある時、落ちる球種が欲しくてこれを投げた。割と綺麗に落ちた。次に「チェンジアップ」も投げてみたが、これは暴投になった。一般的なチェンジアップー指を「OK」マークの形にしてボールを包む握り方と、人差し指と薬指で挟む握り方があり、僕は後者を選択したのだけれど、制御が効かずボールは大きく外に逸れてしまった。

 じゃあ、スプリットで行こう―この時はそう思い、投球練習を続けた。友人にフィードバックを求める。

「スプリットのほうがチェンジアップみたい」

 こうして僕の”チェンジアップ”は一度、完成した。ウホホング、球種偽っちゃダメだ、ダメであるよ。

 

 

2.語感的にどっちが好き?

 

 直球・(腕の振りでバレバレの)スライダー・(偽)チェンジアップの三球種をマスターした僕は、3年前に現チームに加入・即一軍昇格し、外野手用グラブのまま初登板を果たす。以来、何故か被安打数を上回る失点で登板した2試合をいずれもぶち壊し、その翌年もパッとせず、さらにその翌年は登板ゼロに終わり、今年に至るわけだ。

 改善ポイントは勿論他にも山ほどあるのだが、春先からの自主トレにより、多少は安定してきたと思う。その中で取り組んだことの一つがこれである。しっかり落とす球種と、ブレーキをかける(スピードを抑え、打者のポイントを前にする)球種の使い分け。ずっと”偽チェンジアップ”のままだったあの「多少は落ちる球」問題を、なんとかしよう、という試みである。

 

 ところで、「スプリット」という球種の概要には諸説ある。

 正式名称を「スプリット・フィンガー・ファストボール(SFF)」というこの変化球、日本で認知されているのは「落差の少なくスピードの出る縦方向の変化球」という解釈である。しかし、海外では「フォーク」という表現はなく、落ちる球種を全てスプリットと呼んでいる、との説もある。

 最近のプロ野球では投手の球速がアップし、140キロ超のフォークを投げるというピッチャーも少なくない。しかし、スピードが出ていても呼称は「フォーク」のままだ。また、落差が大きくワンバウンドするような球種を「スプリットですね~」と解説するシーンも見られる。

 フォークとスプリットは「投げ方が違う」との説もある。

halftime-media.com

「フォークは回転をかけないよう、手首を固定して投げる。一方、スプリットはストレートと同じように投げる」という見解である。こうすれば、スピード・落差には差異が生まれてくるだろう。

 

 しかし、何かの番組で見たのだが、球種と言うのは結構「自己申告」だったりするようだ。映像で見ている分にはその差異が分かりづらく、打者や捕手など近くで見ていても、例えばカーブのような軌道なのに、投手に訊くと「スライダー」だというケースはあったりする。

 スライダーにしても、かつては横に滑る球種という解釈だったが、現在ではオリックス・山岡泰輔のように縦のスライダーを決め球とする投手もいる。また、カーブもスピードの遅く、一度浮き上がるような軌道から曲がる球種だが、元阪神のセットアッパー、ピアース・ジョンソンのような「パワーカーブ」を武器とするピッチャーもいる。ジョンソンの「パワーカーブ」について印象を問われた打者のコメントに、「スライダーでしょ?」というものもあった。

 実際の変化(軌道)は、投手のフォームや体格にも左右されるし、その日のコンディションによっても違ってくる。強風の中でカーブが良く曲がるとかいう話も、どうやらプロ野球クラスでも無くはない……と聞いた事があるような。それはともかく、各球種は実際の軌道ではなく「投げ方」の差異に基づいて、呼称が決定される。カーブのような軌道に映像では見えたとして、手首を捻っていないからこれはスライダー、みたいなことである。

 

 こう考えると、あとは響き的に好きな方を選んでも別にいいのではないか?と思っている。僕的には、「スプリット」と言うと確かに少ない変化でゴロを打たせる自分の投球イメージに合致はしているものの、一方では「フォーク」で三振を奪うクローザーがずっと憧れだったので、やっぱり「フォーク」かなあ、と思う。

 ……だが、それ以上に「チェンジアップ」というカタカナは、もっとかっこいい。なんだ、こう、チェンジ!からの、アップ!が、良い!!!……なに言ってだこいつ。

 しかし、「フォークorスプリットorチェンジアップ」論争以上に、僕の球種への呼称に疑問がもたれているものがある。

 

 二年前のシーズン前、チーム練習でブルペン入りした時だったかな。クイックで速いストレートを投げ込んだのだが、力が入ってしまいワンバウンドになってしまった。すると、隣で見守っていたチームメイトから、こんなコメントを頂戴する。

「今の、チェンジアップ?」

 ウホホング!!!!!

 残念なことに、実戦で対峙する打者たちを見ていても、こちらはストレートで押しているつもりなのに、まるでチェンジアップにタイミングが合わないような反応をされることが多い。もういっそ、直球をチェンジアップと偽ろうかな。名前もかっこいいし。しかし、何か悲しいのは間違いない。ウホホング、ダメだ、だめであるよ。

 

 ともあれ開幕が楽しみであるよっていう月曜夜の落書き

 

 

3.次号更新予定

 

 次回は5/23(火)19:00に更新予定です。普通に一日過ぎてたのに今(6/5(月)の14:04)気づきましたすみません

 

tomo16change-up.hatenablog.jp