むしょくとうめいのらくがき

鉄道と酒と野球ではしゃぐ4歳魚と26歳児の気ままな放浪記とか落書き 

【駅メモ】修行レールトリップ ④磐越浪漫紀行

  夜と戯れる貴婦人。

 

0.序

 

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2020.11.29 津川駅

 SLが現役だった時のことを僕はよく知りません。3~4歳で鉄道に惹かれ始めた時にはすでに上越新幹線が走ってい(たし何なら名称も「あさひ」でなく「とき」に移っていたようななかったような気がし)て、SLを駆逐し置き換えたはずの電気機関車や電車・気動車が古参、やがては駆逐置き換え対象になり始めていました。

 

 ……すごいな。

 考えてもみれば、キハ40が次々と姿を消し、キハ110だって今や大ベテラン、485系も全運用から姿を消したはず。E1系や400系新幹線だって「文化財」扱いで博物館に飾られる時代です。昭和・平成・そして令和となった2020年、蒸気機関車=SLが、今なお鉄路で旅客運用についている姿を、想像できた人は決して多くないはず。

 C57 180号機が一時引退を迎えたのは1969?70?年のこと。そこから静態保存のち、20~30年近く経過して復活、そしてまた20年も走っているのです。昭和初期に製造され、一度すでに「昭和初期の文明遺産」となったものが、令和=現代でも臨時運用とはいえ人々の「生活手段」として役割を果たしている。様々なドラマを感じることが出来ます。

 

 なんか言っているけどこの前の日がチームの今季最終戦&活動納めでした。つまりいつもと同じくチーム合流の帰り道で、電車乗りたさ&駅メモ新駅欲しさに遠回りをして遊んでいるということです。

 つまりいつもの道草です。

 いかにお気楽に野球に臨んでいるかがよくわかりますね。2試合とも大敗、第二試合では先発で3回自責点5……だったけど内容としては良い感じに投げれたので許して。

 というわけで「ついでの冒険」でしかないアレですが、今シーズンをひとまずは労い、歴史と当時の呼吸に思いを馳せるSLの旅に参りましょう。

 

 

 

1.それでも夢の超特急 ~大宮→郡山 東北・山形新幹線「つばさ」~

 

 もはや獣道みたいな森の中とか、遮るもののない田んぼのど真ん中を、国鉄型車両がのんびり走る―素晴らしい風景ですね。そんなに暑くもないよく晴れた日なら窓を開けて、風に髪を乱されながら進むのも楽しいでしょう。恥ずかしながら未だに「青春18きっぷ」を使ったことのない人間ですが、もし使うとしたらそんな風景に出会いたい。

 ただ「JR線普通列車自由席乗り放題」でどこへでも行けてしまう素晴らしい切符を、ましてや鉄道好きで駅メモerでそこそこ遠出もしているにも関わらず、今まで使ってこなかった理由としてはこうです。

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常磐線を走っているE657系「ひたち・ときわ」

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高山本線を走るキハ85系「ひだ」

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中央西線を走る383系「しなの」

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推し

 こういう電車に乗れないんですよね。特急列車っていうんですけど。

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E6系「こまち」

 あるいは新幹線っていうんですけど。

 

9:22 大宮発

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今回はE3系「つばさ」に乗車

 ※便宜上今回は「東京・新宿に出るルート」及び「新宿ー大宮」は割愛します。

 というわけで出発しましょう。普段は東京・大宮ー新潟間の「とき」しか乗らないので、このE3系「つばさ」には人生でも初乗車となります。

 大宮駅では上越新幹線東北新幹線が分岐します。上越新幹線に乗れば東京・上野・大宮ー新潟を乗り換えなしで行き来できるのに、頭の悪い僕は遠回りをするというわけです。東北新幹線はここで分岐すると、宇都宮、小山、郡山、福島、仙台、盛岡、そして新青森へと進んでいきます。

 今回は郡山で磐越西線と接続するルートになるので、まずはその郡山を目指します。乗車するE3系「つばさ」は郡山より先、福島駅まで「やまびこ」を後ろに繋いで走ります。今回は分離する前に降りてしまうから「お乗り間違いないようご注意ください」も何もないけれど、福島以降でうっかり寝過ごしやら間違いがあると大変なことになりますからね。

 さて、先ほど「何故18きっぷを使わないのか?」という問題に触れました。結論は「特急や新幹線が好きで乗りたいから」ということだったわけですが、特急や新幹線を使うとできることというのがこちら。

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大宮駅で販売していた「とりめし」

 

 優等列車で食べる駅弁、至高。

 駅弁を食べる、というのは実はそこそこハードルが高いと考えている筆者です。確かに買って食べる分にはいいのですが、どうせなら車内で食べたいのです。しかし、普通列車で且つそこそこな混み具合を見せる車内では遠慮してしまうもの。客室と出入口が仕切られていて、座席にテーブル・ドリンクホルダーがあって、且つ進行方向を向いてある程度の仕切り?となっていると、わりと「車内でものを食べる」ハードルは下がるようにも思えます。

10:13 郡山着

 今回は土曜・日曜ともお天気にも恵まれ(試合も快晴の中でできたよ!)、青空の下に流れていく車窓を眺めながら、鶏肉三昧なお弁当に舌鼓。面倒なので「駅メモ!」は新幹線駅だけチェックインし、レーダーとルートビューン大量消費祭で進みます。最近は新幹線・特急の車内にフリーWi-Fiとコンセントの設備も増え、僕のような駅メモerにはありがたいものとなっています。

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「つばさ」は郡山の先、福島駅で後ろのE2系「やまびこ」を切り離し

 というわけで、約50分とそこらへんの乗車で郡山駅に到着しました。E3系もすっかり古参ではあるけれど、まだまだ走り続けて欲しいものです。今度は福島、山形方面も是非目指そう。 

 

 

2.英世と志士の郷を尋ねて ~郡山→会津若松 快速「あいづ」~

 

 郡山駅からは在来線に乗り換え。ここは東北本線水郡線磐越西線磐越東線が交差するターミナル駅です。

 この時間帯はホームにキハ110系気動車E721系701系電車の姿が見えました。通過したどこかの地点で、在来線の電力が交流に切り替わったのですね。以前は455系電車や、485系の「あいづライナー」が運転されていたけれど、もう電車も交流専用のものに統一されたのでしょうか。

 

10:41 郡山発

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E721系電車は駅メモ「よしの」のモデルでもある

 ここから会津若松まで、快速「あいづ」に乗車です。先述の通りかつては485系が快速「あいづライナー」として運用されていましたが、なんでも快速になったり特急になったりしている列車名なんですね。前は「ビバあいづ」っていう特急列車もあったり、僕の記憶に新しいところでは「あかべぇ編成」という塗装もあったりしましたね。現在はE721系電車の一部を指定席として区切り、自由席は乗車券のみで乗れる快速列車として走らせているようです。

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途中では磐梯山の優雅な姿も

 途中は四季島の待避をしたり、磐梯山の姿を眺めたりして、気持ちのいいローカル線の旅を楽しみました。旧中山宿駅も面白かったですね。沿線は野口英世の生まれ故郷もあるとか。こんな風に山を仰ぎ、風と戯れたのでしょうか。

 

・11:50 会津若松

 約1時間10分の乗車で、快速「あいづ」の終点・会津若松に到着。

 この時点で「磐越西線(郡山~会津若松)」は制覇できました。この路線は途中「猪苗代湖畔駅」があるけれど、少なくとも10年前の時点では「行楽シーズン以外は全列車通過の臨時駅」だったはずです。取り逃がし無いようお気を付けください。まあレーダー&ロケット大量消費祭すれば問題ないです。

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幕末の主要舞台となった会津のシンボル・鶴ヶ城

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鶴ヶ城下のお土産どころで「銀シャチ焼き」を買って食べました

 ここで一度旅を中断し、温泉に入ったりお城まで歩いたりしました。

 会津若松鶴ヶ城などの観光スポットもそうですが、駅近くに気軽に入れる天然温泉「富士の湯」があるのも素晴らしいですね。試合で疲れた体をじっくりと労わることができました。

 城下町らしい整備された街並みに、落ち着いた雰囲気の建物・お店があり、風情ある町だなという印象を受けました。温泉以外はさして何もできなかったので是非再訪したいですね。(一日数本とはいえ)磐越西線で乗り換えなしで行けるのですし。

 

 

3.夜汽車、汽笛、峠を行く

 

 ということでSLに乗りましょう。

 何かの記事?本?に書いてあったのですが、「旅のクライマックスをどこに持ってくるか」で楽しさが変わるとか何とか。なるほど、まあ日常から物理的に離れ、リフレッシュした後の帰り道で「また明日から現実か……」となるのは嫌なものです。どうせなら帰り道だって楽しく行きたい。僕もその一文を読んでからは、旅行からの帰り道で特急や新幹線に乗ったり、ちょっと贅沢や冒険をするようにしています。

 まあ行きは行きで贅沢してるような気もするんですけどね。

 それはそれ、これはこれです。

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 このリニューアル後の客車には初めて乗りますね。新しいけれど、一方ではより大正~昭和モダンな雰囲気を出していておしゃれです。いや、もう「客車」っていう響きだけで素晴らしい、たまらない。

 

15:25 会津若松

 城下町・会津若松を出発です。汽笛が高く、初冬の空に分厚く響き渡る。手を振る笑顔に見送られながらホームを後にしていくのは、在りし日にもたぶんそういうのはあったんじゃないか、なんて想像してみたり。

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 ああ素敵……(語彙力)

 発車・停車する時の「ドスン!」という分厚い衝撃。やはり現代の旅客運用では、単体で動力をなさない「客車」と牽引する「機関車」という構図そのものがあまりないですからね。機関車ばかりに目が行きがちですが、この12系客車も味わい深いもの。窓を持ち上げて、靡く黒煙の香と戯れ、直に聞こえてくる鉄の音を楽しむこともできます。

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会津盆地を抜け、一ノ戸鉄橋を渡ります

 特に鉄橋の時なんかはたまらないですね。より分厚い鉄の衝突音が響きます。秋~冬にかけては日が短く、一ノ戸川橋梁に差し掛かるころには写真のような風景を見ることができました。

 秋の夕暮れで黄金色に染まる会津盆地を抜け、トンネルを幾つか抜けるころには、すっかり日も沈みます。

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5号車売店で「風味爽快ニシテ」を購入

 たまんねえ……

 そこまでお酒が好きな人間ではない(というかビールは基本的に飲めません)ですが、この「風味爽快ニシテ」は大好きです。新潟限定で、お土産屋さんとか一部コンビニで取り扱っています。新潟を訪れた際は是非ご賞味ください。

 ということで(つまみがおまんじゅうですが)夜汽車とビールを堪能しました。汽笛が漆黒の山間にこだましていくのに、耳を澄ませて乾杯。この後、何か飲みたかったので追加でもう一本買いました。

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確と記憶に残したい

 津川駅ではSLの整備・点検&給水が行われます。

 以前にSLや保存車両などの話をして「かつてそこにあった日常」「日常だった風景」が好きだ、と言ったような記憶があります。まさにこの風景も、大正~昭和期の会津⇄新津・新潟間の鉄道運輸においては多分「日常」だったであろうもの。今に引き継がれてこうして作業にあたっている機関士・整備士の方も凄いですし、過去にあった風景の中で鉄道運輸に携わっていた人や、客車に乗っていた人、列車を見送っていた人……など、様々な風景に思いを馳せました。

 

18:40 新津着

 3時間以上の長旅……ですが、どうしてもあっという間に感じられてしまいます。蒸気機関車の汽笛がある風景も、そういつまでもあるわけではありません。しっかりと噛みしめて、記憶に残していきたいですね。

 

 というわけでゴールです。何か今回、都会の通勤列車→新幹線→地方のローカル線→SLという情報量豊かすぎる鉄旅で楽しかったです。ちなみに行きは試合会場までの移動に特急乗りました。ホント満喫してんな。

 今回の旅、郡山より先をメモライズしました。

磐越西線乗り通し 郡山~会津若松~新津】

 31駅です。良かったら挑戦してね。

 ※途中喜多方や荻野など抜けがあります。すまんな。

 

 それでは今回はこの辺で、お布団どうぞ。

 身体を冷やさないように、良い冬を過ごしましょう。